2014年11月24日月曜日

取りあえず答え合わせ

本来やるべき仕事へのやる気が出ないので、

じっくりと添削を入れてみましょう。

先日あったtweetです。

”筋肉痛の原因は筋繊維の破損です。自分の筋肉ができるパフォーマンスの限度を超えると、筋繊維が破壊されて炎症が起きます。これが筋肉痛です。 筋繊維の破損が起こることにより、より強い筋繊維が作られます。筋肉痛は成長の印とも言えます。筋肉痛のときはタンパク質を多めに。”

 さんのtweetより


まず「筋肉痛の原因」です。

これは現在のところ明確な話が出ていません。

昔は筋肉の損傷と言われていましたし、

エキセントリックな運動をやると筋肉痛になるので良いと言われたりもしました。

しかし、近年出された論文からは筋線維に損傷がなくても筋肉痛が出るといった症例がいくつか報告されています。

こうした点から筋線維の損傷も一つの要因ではあろうが、痛みの根本ではない可能性が示されました。

そうした中で出てきたのがブラジキニンのような発痛物質です。

神経系へ痛みを伝える物質が生じる事が筋肉痛の原因では?

といった話ですね。

現在ではこの方向で話が進んでいますが、

疲労の原因と同じく筋肉痛の原因もいくつかの要因があると思った方が良いでしょう。

これが原因!!といった表現は難しいかと。

続きまして

”自分の筋肉ができるパフォーマンスの限度を超えると筋線維が破壊”

という文章。

限度を超えないでも低負荷で繰り返していれば筋線維に微細な傷がつくことはありますね、

最大限度を超えるということは1RMですよね。

そんなトレーニングをしている人はまずいません。

でもって筋線維が破壊となると、

これは筋肉痛ではなく筋の損傷であり、

筋挫傷や筋断裂といったケガの範疇になってくるかと思います。

文章には注意しましょう。

その次にあります

”筋繊維の破損が起こることにより、より強い筋繊維が作られます”

これですね。

すでに述べたように筋線維が破損したらケガです。故障です。

わずかな傷でも筋肉痛が起こると言われているんですけど、

破損なんていうレベルになったらもう大変です。

即座に病院に行きましょう。

で、

より強い筋線維が作られるという表現ですが、

筋肥大は加圧トレーニングやスロートレーニングの研究結果から、

筋線維に微細な傷がつくような事がなくても生じていますので、

以前に言われていたような筋線維がどうこうといったものは不要です。

より強い筋線維となるにはかなりの日数が必要となりますし、

現状の科学ではこれを観察するのはまだ無理とされています。

筋肉内にある水が主な理由ですね。

水が増えたのか筋肉が増えたのかの観察が非常に難しいので。

ということで、

これを断言すると未来から来た人が話をしていることになってしまいます。

”筋肉痛は成長の印とも言えます”

ここまで来たら想像は出来るかと思いますが、

成長とか何も関係ありません。

体内で代謝物質が作られた事を感じるのみです。

何が起こっているかはよく分かりません。

もちろん痛みを伝えることで運動を制御しようとしている事などが推測されますが、

やはり詳しくは分かりません。

最後になりましたが、

”筋肉痛のときはタンパク質を多めに。”

これに関しては間違いとも言い切れませんが、

運動後に素早く摂取するのが大事ですね。

最近では直後では無くても良いという主張も見られますが、

運動直後や睡眠前のタンパク質摂取は効果があるというデータはありますので。

特にロイシンの摂取は重要みたいですね。

tweet主の言われるような筋の損傷が起こるようなトレーニングをした後なら、

修復するためにもタンパク質は直後に摂取すべきでしょうし。

なお量に関しても様々なデータがありますが、

一度に20g以上の摂取(人によっては体重×0.24g)をしても大きな効果はない、

そうしたものがありますので。

この辺りも近年は新たなサプリメントの登場などによって、

多くの議論やツッコミが起こっている状態ですね。

tweet主のプロフィールには”スポーツ科学の視点から~”とありますが、

残念ながら時代遅れになってしまったスポーツ科学でのお話のようです。

ということで、

筋肉痛はよく分からないというお話でした。

2014年11月6日木曜日

エナジードリンクは効果があるのか

Effects of red bull energy drink on repeated sprint performance in women athletes.

Amino Acids. 2012 May;42(5):1803-8.

Astorino TA1, Matera AJ, Basinger J, Evans M, Schurman T, Marquez R.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21461905

255mlのレッドブルを女性アスリートに飲ませると効果があるのか、

それを調べた実験が上のものです。結論を言えば効果が無いというオチです。



一方で、




Effects of a Caffeine-Containing Energy Drink on Simulated Soccer Performance
  • Published: February 14, 2012
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0031380

Juan Del Coso,Víctor E. Muñoz-Fernández,Gloria Muñoz,Valentín E. Fernández-Elías,
Juan F. Ortega,Nassim Hamouti,José C. Barbero,Jesús Muñoz-Guerra

http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0031380


レッドブルを630ml近く飲んで体重kgあたり3mgのカフェインを摂取するようにして効果を調べたら、

サッカーのパフォーマンスは向上したという結果になっております。

なおレッドブルのカフェイン量は 32mg / 100ml となっています。

250mlのものを3本飲んだら効果が出る可能性があります。

なお、ACSM(アメリカスポーツ医学会)が出しているレポートでは、


大量に摂取すると効果はあるとされています。

ただ、明確にパフォーマンスを向上させるのか、という点は微妙ですので禁止物質には指定されていません。

2014年11月5日水曜日

たまにやる、乳酸のまとめ話

さて、年に数回だったり、数年に一回だったりで書き記してます乳酸の話。

世間での認識は未だに疲労物質という意見が多い感じはしますが、まぁ仕方がない。

取りあえずこれを読んで頂いた人からはそのような認識がなくなればよいかな、

そう思って書き記します。

まず乳酸とは何か?

簡単に言えば糖が分解された時に発生するものです。

乳酸菌というのがヨーグルトなどの発酵食品なんかに出てきますけど、

あれは糖を分解して乳酸を作り出す菌です。

で、人間の身体でも糖の分解というのが行われています。

例としては速筋というものが使われる時、食事で糖を摂取した時などがあります。

人間の筋肉は速筋と遅筋で構成されていますが、白筋とも呼ばれる速筋は、

エネルギーを作り出すためのミトコンドリアやエネルギーを輸送する毛細血管が少ないため、

分解によってエネルギーを作り出せる糖の利用がメインとなります。

遅筋の方は赤く見える事から分かるように、毛細血管が多く、

ミトコンドリアも多いために酸素を使って脂質を分解してエネルギーを作り出す能力が高いです。

人間の活動において速筋は最大で発揮出来る力の60%あたりの負荷を掛けると動員されます。

そうなると糖の分解によってエネルギーを作り出そうとします。

糖が分解されて使われる過程を解糖系と呼びますが、

この過程において糖はピルビン酸というものになってから取り込まれます。

しかし、ピルビン酸になる量は一定であるようでして、

それ以上の分解が行われた際には乳酸という形で保存されておきます。

一昔前は酸素が不足すると乳酸が作られると言われていましたが、

糖の分解が増えピルビン酸がたくさん作られる事が原因なのです。

なお、酸素が不足するという話ですが、

体内での酸素飽和度を測定すれば分かるように、

人間が運動をしている時に酸素が不足することはまず無いですね。

パルスオキシメーターで測定をしている光景なんかを現在でもたまに見かけますが、

酸素は十分にあるという結果になるかと思います。

で、一定量しか作られないピルビン酸から乳酸が出来る流れを理解してもらった所で、

この乳酸はどうなるのか。

当然ながら体内において酸素を用いてエネルギー源として利用されます。

老廃物やらなんやらと言われていた時代もありますが、

それは運動後に疲労した状態を測定すると乳酸がたくさんある、

そうした結果があったからです。

詳しくはこちらを


”生化夜話 第47回 美しすぎる相関性が生んだ思い込み - 乳酸と筋肉疲労”
http://www.gelifesciences.co.jp/newsletter/biodirect_mail/chem_story/132.html


運動後に乳酸は安静にしていれば長くても1時間程度で利用されて通常の値に戻ります。

軽い運動で血流を高めていればもっと早く値は下がります。

激しい運動の翌日の疲労の原因は前日から溜まっている乳酸だ!!

そんな話は昔の考えです。

ということで、

「速筋を動員するような負荷の高い運動・糖質を多く含む食品の摂取」

これらが体内の乳酸を増加させます。

また、体内に乳酸があると筋肉の出力が高まるという研究結果もあります。

こうした乳酸の話が見直されていったのは


Lactic Acid--The Latest Performance-Enhancing Drug


サイエンス誌に2004年に掲載されたこの論文による所が大きいでしょう。


これ以降は乳酸が疲労物質であるというのが見直され、

むしろパフォーマンス向上のために大いに役立っているという研究がたくさん発表されました。

その一方で疲労の原因とは何か?

これが大きな謎になりました。

ただ、疲労の原因というのはあまりに要因が多過ぎて、

一つのものが理由であるということを断定できないという話になっています。

運動を制限する要因としては
1.エネルギー源の不足(糖質や脂質の減少)
2.エネルギー生産が追い付かない
3.体温上昇
4.筋線維に微細な傷がつく
5.カリウムやカルシウム、ナトリウムといったイオンのバランス変化、減少
6.腱の弾性変化
7.脳での感知
8.以下略

ということで挙げればキリがありません。

これよりも多くの原因があるのに一つに断定できるとしたら、

それは限りなく怪しすぎる情報となるでしょう。

複雑に絡み合う体内の活動が原因で疲労は起こるわけです。

また、筋肉の肥大に関係するという話もありますが、

その辺りも”乳酸値が高まるような状態はトレーニング効果が出る状態である”、

といった方が適切かと思われます。

そんなわけで、

乳酸が溜まっている状態は疲れている状態の事もありますが、

そうでない場合もあるという事をご理解頂ければ。

陸上競技や水泳などでは耐乳酸トレーニングという言葉がありますが、

あれは表現としてはおかしいわけです。

乳酸をたくさん作ってたくさん利用できるのが能力の高いアスリートです。

もちろん、

マラソンのような種目では乳酸をたくさん作らない方が理想的ですので、

種目に応じて異なるという事も言えますが。

正しい理解をして適切なトレーニングをする。

そうすることで自らの可能性がより高まるかと思います。

日本の企業であるアークレイさんもあれこれ情報を出してくれていますし、

正しい情報を見つけて頂ければ

”乳酸の基本 -乳酸は悪者なのか?”
https://biz.arkray.co.jp/lact/hatta/


2014年10月10日金曜日

長距離走における持久力

長距離走においては持久力というものが大事だと言われますが、

この持久力というのはスピードに付随していなければ意味がありません。

速く走りつつ、そのスピードを維持する。

そのために鍛えるべきは速筋のエネルギーを作り出す能力です。

速筋は遅筋よりも大きな力を発揮する事が出来ますが、

毛細血管やミトコンドリアが少ないために、

エネルギーを生産する能力が低いため持久力に乏しい。

そこで速筋に持久力を持たせるようなトレーニングを行うことが大事になります。

ここで大事になってくるのが乳酸であろうと言われています。

乳酸が溜まった状態でのトレーニングを続ける事により、

ミトコンドリアの発現が増えると考えられています。

これをトレーニングにおいて実現するためには、

高負荷でのトレーニングが求められます。

しかし、高負荷でのトレーニングによって追い込まれた感じを得る事で満足する、

それでは意味がありません。

高負荷によって乳酸が生成されるわけですが、

その状態をキープする事が大事になります。

それ以上のスピードに上げると負荷が向上してエネルギーの再生産が間に合わなくなります。

そうなると運動が続けられなくなるので、

負荷を下げる事が必要になります。

つまり、

運動の負荷を上げていくと追い込まれた感じは得られるが、

ミトコンドリアの発現を増やすような刺激としては不十分になりやすい。

なのでトレーニングとしては乳酸が生成されるような負荷を維持し続けるか、

最初に高い負荷を掛けて徐々に下げていくようなトレーニングが理想的となります。

2014年8月23日土曜日

牛乳を飲むと筋肉の合成が高まる


Milk ingestion stimulates net muscle protein synthesis following resistance exercise.



http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16679981

 2006 Apr;38(4):667-74.


アミノ酸の摂取などによるタンパク質合成の話はよくあるが、

レジスタンストレーニングをした後に牛乳を飲むのは効果があるのか?

そうした疑問を調べてみたのがこちらの実験。

効果があるに決まっているじゃないか、そう思う人も多いかもしれませんが、

そんな当然だと思われていることを調べるのが研究者の仕事です。

まぁ結果は当然のように合成を高めております。


2014年8月13日水曜日

筋グリコーゲンの含有量は筋小胞体からのカルシウムイオンの放出量を調整する


Muscle glycogen content modifies SR Ca2+ release rate in elite endurance athletes


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24091991

 2014 Mar;46(3):496-505.


持久的種目のエリート選手を対象とした実験となっていますが、

筋グリコーゲンの含有量は筋小胞体からのカルシウムイオンの放出量を調整する、

というのが結論です。

筋グリコーゲンの減少はカルシウムイオンの放出を減らすため、

疲労の原因となり、ピークパワーの回復も遅らせるといったことが示されています。

筋グリコーゲンの減少、それに伴うカルシウムイオンの放出が疲労の原因の一つである、

そうした点を理解して頂ければ。

2014年8月12日火曜日

ビタミンCの摂取はトレーニングによるミトコンドリアの生合成を阻害しない


Vitamin C supplementation does not alter high-intensity endurance training-induced mitochondrial biogenesis in rat epitrochlearis muscle



 2014 Mar;64(2):113-8.

近年、ビタミンの摂取によるトレーニング効果の減少が言われるようになっていますが、

ラットを使った高強度の持久的なトレーニング実験ではそれが観察されなかったと言っています。

ラットのepitrochlearis muscleですので、

このあたりは条件設定が変わると結果も異なってくる可能性はあります。

同様の実験に注目です。


2014年8月11日月曜日

プライオメトリックとバランストレーニングの組み合わせのトレーニング効果


The combination of plyometric and balance training improves sprint and shuttle run performances more often than plyometric-only training with children



 2014 Feb;28(2):401-12

子供にはプライオメトリックだけでなくバランストレーニングも一緒に行うべき、

そう結論付けています。

理由としては子供はバランス能力がしっかりと発達していないから、となってます。

バランス能力を鍛えることでプライオメトリックなどによるケガの予防にもつながる、と。

2014年8月10日日曜日

思春期前のサッカー選手における高強度トレーニングの効果


Effect of strength and high-intensity training on jumping, sprinting, and intermittent endurance performance in prepubertal soccer players



J Strength Cond Res. 2014 Feb;28(2):413-22.

思春期前のサッカー選手に対して高強度のトレーニングを行うのは良いのかどうか、

それを検討したのがこちらの論文です。

結果としては効果があるとなっておりますが、

それぞれの選手の発達に応じた負荷の設定など、

基本的なことを忘れてはダメでしょうね。

2014年8月6日水曜日

運動中のたんぱく質摂取は必要か


Is There a Need for Protein Ingestion During Exercise?


Sports Med. 2014; 44: 105–111.

運動中におけるタンパク質の摂取が有効かどうか、

これに関する話題だけでなく運動前後に関する先行研究の話などもあるので、

かなり参考になるかと思われます。

取りあえず、どのタイミングであれタンパク質の摂取は効果的である、と。

プロテイン、という言葉に引っかかって”プロテイン”という商品に拘ることが無いようにしましょう。

プロテインとはあくまでタンパク質のことです。

2014年6月16日月曜日

トレーニングが与えるPGC1-αの発現


Exercise-induced expression of peroxisome proliferator-activated receptor γ coactivator-1α isoforms in skeletal muscle of endurance-trained males.



peroxisome proliferator-activated receptor γ coactivator-1α(PGC1-α)の発現が運動によって引き起こされるが、
持久的なトレーニングを積んでいる人ではどうなるかを調べた論文。
トレーニングを考える上での基本となるものであり、この分野は継続的に注視しておく必要がある

2014年6月15日日曜日

筋線維のタイプはどのように決定されるのか


Transcriptional co-activator PGC-1α drives the formation of slow-twitch muscle fibres

Nature 418, 797-801 (15 August 2002) 


筋線維には大きく二つの速筋と遅筋に分類されることが知られていますが、これを決定する因子が何なのか?
これを調べたものがこの論文です。そもそもにトレーニングするとどのような生理学的な変化が体内に生じるのか?
それを理解しておくとトレーニングの組み立てや練習効果を狙う事も可能になります。
近年では成長ホルモンが成長因子ではなく、PGC-1αが成長因子であるとも言われていますが、
そうした変化を素早く把握しておくことが、より強いアスリートになるためには大事かと思われます。

2014年5月23日金曜日

クレアチンの摂取による筋力への影響


Creatine supplementation prevents acute strength loss induced by concurrent exercise.

 2014 May 20.


クレアチンの摂取が筋力の上昇に効果的という論文は多々ありますが、
持久的な運動と強度の高い運動を組み合わせるとどうなるかを調べてみたのがこちら。
クレアチンの減少が運動制御の一要因であると推測する人もいますので、
こうした研究を追っていくのは新たな発見につながるかと思われます。

2014年4月22日火曜日

女性へのプライオメトリックトレーニングの効果

Effect of plyometric training on lower limb biomechanics in females.

2014 Jan;24(1):44-50.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24100464

男子選手に比べて女子の選手、特に陸上競技の長距離をやっている選手があまりやっていないプライオメトリックトレーニング。これにどのような効果があるのかを調べたデータ。ケガの予防やら出力の向上やらが見込め、より高いパフォーマンスにつながるはずなのに、何故やらないのか。

2014年4月21日月曜日

長期間の筋力トレーニングが方向変化のスプリントに与える影響

Long-term strength training effects on change-of-direction sprint performance.

2014 Jan;28(1):223-31.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23588486

サッカーやラグビーなどのスプリントとジョギングが続くような種目における、筋力トレーニングの効果を見た実験。子供の頃からやった方が有意差のある違いにつながっていくとしています。身長が伸びなくなるという不安がある人などなどあるかもしれませんが、その辺りは自己判断でどうぞ。そもそもに、それが本当か調べるところから始まり、この論文における負荷なども考慮すべき話なるかと思います。

2014年4月20日日曜日

グリコーゲンの貯蔵量が筋小胞体からのカルシウムイオン放出を調整する

Muscle glycogen content modifies SR Ca2+ release rate in elite endurance athletes.

2014 Mar;46(3):496-505.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24091991

疲労の原因がグリコーゲンの減少と、それによるカルシウムイオンの放出低下による筋肉活動の減少、そのようなことが理解できる一本となっているかと思います。疲労の原因はそれ以外にも様々ですので、あくまで一つの要因であるといった理解でどうぞ。

2014年4月14日月曜日

走速度と接地パターンを調査してみた

Relationship between Running Speed and Initial Foot Contact Patterns.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24504424

2014 Feb 5

長距離選手の接地パターンを調査してみた結果、

一定の傾向が観察されたというものがこちら。

スピードが上がっていくに連れて接地位置が変化するというのは想像出来る話ですが、

さてはて、これを見て普段の遅い時の走りにどのような意識を与えれば良いのやら。

2014年4月13日日曜日

ダイナミックストレッチングはどのような影響を与えるか

Effects of dynamic stretching on strength, muscle imbalance, and muscle activation.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24042312

2014 Mar;46(3):586-93.

ストレッチが筋力の低下に影響するという論文が多く出てきて、

あれこれと調査が行われている近年ですが、

出力が下がるという意見が多いスタティックなストレッチだけでなく、

ダイナミックなストレッチングにも悪影響があるかもしれませんよ?

といった事を調査した論文になります。

まだまだ意見が出てきそうですが、

多くのデータからベストな考えを構築出来たら良いでしょう。

2014年3月27日木曜日

ストレッチを行う時間とその影響

Acute effects of different stretching durations on passive torque, mobility, and isometric muscle force.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23524367

2013 Dec;27(12)

近年、ストレッチの功罪というか効果の有無というものが多く研究されています。
静的ストレッチによって出力が下がるという意見が多く出されていますが、どれくらいの時間をやれば影響が大きいのか、そうしたものに着目したのがこの論文です。30秒以上同じ所をやると出力が下がるとされているものが多い気がしますが、そんな時間同じ部位をストレッチしないという意見もあります。実際、運動をしている人を観察しますと、60秒くらいしている例を多々見かけますが。ストレッチをどのように取り入れるかを考えないとトレーニング効果が下がってしまう、この現実をしっかりと見つめる時期ではないでしょうか。

2014年3月26日水曜日

PGC-1α骨格筋におけるアミノ酸の代謝に関与する

PGC-1α-Mediated Branched-Chain Amino Acid Metabolism in the Skeletal Muscle

http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0091006

Published: March 17, 2014


近年、PGC-1αに関する研究は多く行われており、持久的な運動に関して考察するうえでは重要なものであると考えられます。そもそもにトレーニング効果とは何ぞや?といった話になるわけですが、筋肉が増えたら強くなる!!といった単純な話を細分化していくとエネルギーを輸送する機能の向上なんていう話が出てきます。このあたりに関しての話にPGC-1αは登場してきます。

まあ簡単な話ですとこんなところから

http://www0.nih.go.jp/eiken/info/pdf/06_p7.pdf

↑のような糖尿病といった話なんかにもつながっていきます。こうした糖の分解といった話は、運動をする上ではとても重要なので、興味を持って読むと面白い閃きが生まれるかもしれません。

2014年2月24日月曜日

持久的な競技を行う選手への筋力トレーニングの効果とは

The Effect of Strength Training on Performance in Endurance Athletes

http://link.springer.com/article/10.1007/s40279-014-0157-y

筋力トレーニングを行う事で持久的な競技を行っている選手のパフォーマンスが向上するという論文は多く出ております。リンク先のreferencesから56本の関連論文がありますが、こうしたものをベースにしてさらなる研究を積み重ねていくことが必要である、そのようにまとめております。
まだまだ研究すべきことはたくさんあるが、多くのデータが出されているので参考にすべき、そのように言えるかと思います。

足首のテーピングに関する効果の検討

Residual Mechanical Effectiveness of External Ankle Tape Before and After Competitive Professional Soccer Performance.

Clinical Journal of Sport Medicine: January 2014 - Volume 24 - Issue 1 - p 51–57

http://journals.lww.com/cjsportsmed/Fulltext/2014/01000/Residual_Mechanical_Effectiveness_of_External.6.aspx

足首のテーピングがどの程度の時間において効果があるのかを検討したもので、サッカー選手を対象としています。
時間が経つと効果が弱くなるというイメージがありますし、結果については本文を読んで頂ければよろしいですが、やはりテーピングをしないで試合に出られる状態がベストというのは言うまでも無いですね。