2021年11月27日土曜日

マスクを着用しての運動は無着用の時と負荷は変わらない

Effect of Wearing Surgical Face Masks During Exercise: Does Intensity Matter?
Eric Tsz-Chun Poon Front. Physiol., 26 November 2021 | https://doi.org/10.3389/fphys.2021.775750

コロナ下においてマスクを着用して運動すると負荷が高くなるのかという議論が多く起こり、実際に研究も行われて負荷が高くなるというデータが出てきたが、これらに関しての疑問から
条件を変えて実験を実行。

・マスク着用時には強度が最大酸素摂取量の75%以上に達するとキツさを感じるようになるが、生理的な負担の違いは観察されなかった
・肺、循環系、免疫系などの生理系に重大なリスクと負担を与える可能性があるという、Chandrasekaran and Fernandes, 2020の指摘などがあるが、こうした実験はマスクを着用した上に呼気ガス測定用のマスク(ガスマスクのようなやつですね)を着用しており、空気の循環がより低下して負担が大きくなっていたと考えられる
・Shawら(2020)では疲労困憊するまでの自転車でのテストにおいては、動脈血酸素飽和度や心拍数HRに関して、ピーク時のパフォーマンスとの相対的な関係においてマスクをしている場合としていない場合で差がないことを示されている
・マスクを装着した被験者は暑さや湿気を感じたり、呼吸に抵抗を感じたりするなどの不快感を訴え、これにより最大努力をすることが難しくなり、運動強度が増すにつれて疲労が早くなる可能性がある(Driverら、2021)

不快感は運動の制限要因となるということが言える論文ですね。顔にマスクが密着することで空気が吸い込めないように感じるけれども、実際には不快感の方が制限要因として大きいかもしれないわけで、これはトレーニングをしている時の環境が良い、ストレスなくできるというのが大事ということにつながる話かもしれません。酸素が吸える量が少なくなるなども言われてきましたが、そんなことは特に無いというのも明確になりましたので、軽い負荷の運動であるならば、マスクをしても特に問題はなさそうです。ただ、不快感が高くなる場合は別なので、夏場などはやはりマスク無しが良さそうです。冬場は寒さ対策として活用しても効果的かもしれませんね。軽い負荷の場合は呼吸に悪影響は特になさそうなので。