tag:blogger.com,1999:blog-5823224967488880502024-02-18T13:09:18.506+09:00version.3https://sites.google.com/view/spe-gym/
走りや身体作りの指導など、各種のご依頼はジムのサイトよりどうぞ。小田急線、千歳船橋駅から徒歩3分のパーソナルジムです。Unknownnoreply@blogger.comBlogger265125tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-36515202551101752132024-02-18T13:07:00.003+09:002024-02-18T13:08:47.549+09:00第20回乳酸研究会雑感<p> 第2回から参加をして今回が第20回。そして来年は八田先生の退官記念講演の会となるのかな、といった感じの第21回。長いですね。アスリートな人でも参加しやすいテーマを取り上げてくださるので、いろんな人が参加している研究会です。陸上競技の大会で遭遇した時に、次回のテーマの話を聞いたりお願いしたりといった感じのこともありましたが、来年以降はどうなるのか。そんなわけで感想です。<br /><br />抄録のダウンロードはアークレイさんのサイトにありますので、<br />そちらをご覧ください。<br /><a href="https://arkrayathletesupport.com/info/20th-lactic-acid-study-group/">【NEW!!】第20回乳酸研究会開催情報 抄録集UP | トップアスリートを支えるスポーツトレーナーのための科学的トレーニング塾 (arkrayathletesupport.com)</a><br /><br /><a href="https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/people/k0001_03777.html">門口 智泰 | 東京大学 (u-tokyo.ac.jp)</a><br />最初は門口先生の酸化ストレスに関して「酸化ストレス応答の二面性、活性酸素種は善か悪か」というタイトルでの話。活性酸素種は生体の恒常性維持に必要ではあるが、それが過剰になると病気にもなっていくという話です。トレーニング効果を高めるかもとなってたくさん活性酸素種を作ろうと努力したら、病気になって運動が不能になる可能性があるわけですね。人間の身体は一定の状態を維持するようになっているわけで、一定の範囲で収まるようにするのが大事ということでしょう。<br /><br /><a href="https://www.kanagawa-u.ac.jp/professor/details/details_102009.html">北岡 祐|神奈川大学 神大の先生 (kanagawa-u.ac.jp)</a><br />北岡先生は「健康スポーツにおける酸化ストレスの功罪」というタイトルで。活性酸素種(ROS)について、少なすぎても多過ぎてもダメといった感じの話で、門口先生と同じような感じ。いつもながらの早口でテンポがよく、聞きやすいと個人的には思う発表です。活性酸素はトレーニングにおいては必要だけれど試合の時にはいらない、バランスが大事という具合ですね。<br /><br /><br /><a href="https://www.nature.com/articles/s41388-020-01477-8">The transcription factor NRF2 enhances melanoma malignancy by blocking differentiation and inducing COX2 expression | Oncogene (nature.com)</a><br /><br /><a href="https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28976703/">The effects of NRF2 modulation on the initiation and progression of chemically and genetically induced lung cancer - PubMed (nih.gov)</a><br /><br /><br /><a href="https://www.arkray.co.jp/japanese/?ct=Japan">アークレイ株式会社 (arkray.co.jp)</a></p><p>商品紹介。ラクテートプロ2にはお世話になっております。<br /><br />休憩<br /><br /><a href="https://research-er.jp/researchers/view/829287">【研究者データ】小谷 鷹哉 | 日本の研究.com (research-er.jp)</a><br />小谷先生は「筋収縮による筋肥大メカニズムと抗酸化物質の摂取による影響」というタイトルで。筋タンパク質の合成量にはリボソームの増加も関係しているという話。酸化ストレスによってリボソームの翻訳活動が停止してしまうので、リボソームは増えるけれど合成が進まないという話が。1日に3回のトレーニングでリボソーム合成は最も高まったが、筋タンパク質合成は最も低かったとのこと。あとは抄録にもある通り、人間での抗酸化物質であるビタミンCの投与は筋肥大を促すことはなく、維持または減らすといったデータがあるということで。<br /><br /><a href="https://metagen.co.jp/">株式会社メタジェン - 腸内環境に合ったヘルスケアをあたりまえに (metagen.co.jp)</a><br />福田先生は「腸内環境に基づく層別化医療・ヘルスケアがもたらす未来」というタイトルで腸内細菌の話を中心に。青山学院大学の駅伝部の腸内細菌のデータから、速い選手には多く存在している菌があるということ。<br /><a href="https://diamond.jp/articles/-/318535">青学陸上部所属ランナーの腸内細菌を調査、「ある菌種」が走行タイムを改善 | カラダご医見番 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)</a><br />人によって腸内細菌のタイプがいろいろあるし、薬の効く効かないといった個人差は腸内細菌によって影響するという興味深い話でした。一度は検査をして自分の身体はどういったものを摂取するのが良いのか、というのを調べてみるのは効果的な気がします。<br /><a href="https://www.calbee.co.jp/newsrelease/230425.php">ニュースリリース 『Body Granola』 | カルビー株式会社 (calbee.co.jp)</a><br />カルビーとのグラノーラも興味深いところです。<br /><br />そんなわけで今年もアスリートにとって重要な情報がたくさん出てきたなと思うところですが、個人的にはもう10年くらいはこの分野に興味を持って論文を眺めてきたわけです。きっかけとなったのがアスタキサンチンですね。抗酸化作用によってトレーニング後の疲労を軽減するという文句で発売されていた商品に対して、抗酸化作用によってトレーニング効果は下がらないんですか?と質問したところ、害ではあるがトレーニング効果にはならないと言われて疑問をさらに持った辺りです。<br /><br />抗酸化物質の補給は若い女性の筋力トレーニングによる効果を弱める <br /><a href="https://tf-ver3.blogspot.com/2023/04/blog-post.html">https://tf-ver3.blogspot.com/2023/04/blog-post.html</a><br /><br />抗酸化サプリメントの摂取はSIRT1の活性を抑制する <br /><a href="https://tf-ver3.blogspot.com/2023/03/supplementation-hinders-role-of.html">https://tf-ver3.blogspot.com/2023/03/supplementation-hinders-role-of.html</a><br /><br />ビタミンCとEの摂取は筋肥大に効果ないどころか <br /><a href="https://tf-ver3.blogspot.com/2020/12/blog-post_6.html">https://tf-ver3.blogspot.com/2020/12/blog-post_6.html</a><br /><br />ポリフェノールを豊富に含むアイスクリームは酸化的ストレスを減少させる <br /><a href="https://tf-ver3.blogspot.com/2017/01/blog-post_28.html">https://tf-ver3.blogspot.com/2017/01/blog-post_28.html</a><br /><br />北岡先生や木谷先生、福田先生に休憩時間や懇親会でちょっと質問をしてみましたが、抗酸化のサプリメントを摂取する必要性は多分ないであろうという昔からの考えを変える必要性は特に無さげです。あとはビタミンCの摂取はどうなんですかねぇ、というのは長いこと言っていますが、これもやはりトレーニング効果を下げるからやめた方が良いと思います。多くて1日に1000mg程度でしょう。それを超える摂取はどうですかね。マイナス効果の方が大きいと思います。実際、トレーニング相談に来る人に対してビタミンCのサプリメントの使用をやめてもらうようにすると、皆様パフォーマンスが上がった、筋肉が増えたという人がほとんどでしたし、不要でしょう。ただ、仕事が忙しいとか食事が不十分であるという人にとっては大事でしょう。足りなくてもダメなので。十分に摂取出来ている場合は不要でしょう。練習直後にビタミンCを大量に摂るとかは愚の骨頂だと思うのでやめた方が良いと思いますし、トレーニーな人たちが大好きな鶏のササミとブロッコリーのセット、あれはブロッコリーを茹でてビタミンCを減らしているとは言え、食べてる量がそこそこ多かったりするのでダメでしょう。トレーニング効果を打ち消す食事ですよね、と長いこと指摘をしておりますがブームが消えません。今回の話でもブロッコリーに含まれるスルフォラファンという話がありましたが、ブロッコリーそのものを食べてビタミンCを摂取しすぎてはダメですので、難しいですね。まぁ朝食でしっかり摂取して夕方にトレーニング、といった分割ができれば良いのではと個人的には考えて説明・指導をしてきておりますが、この辺りは未だにエビデンスが出ておりませんので何とも言いきれません。腸内細菌の話に関しても、普段の食事でどれだけ整えられているかになるので、とにかくいろんなものを食べた方が良いですとのことでしたので、多分そのストイックな食事があなたのパフォーマンスを伸ばしてくれない原因ですよ、と言ってきたのは正解なのだろうと思います。なお、小谷先生は石井直方先生のところで学ばれていたので、久々に石井直方イズムを感じる話が聞けて楽しかったです。今から20年ほど前に学会の手伝いをして石井先生と一緒に電車で帰ったのが懐かしい記憶です。サプリメントの前にまずはしっかり食べろ、というのが基本ですね。それでも足りない分はサプリメントです。練習直後などで食欲が湧かないとか次の日も練習が高負荷といった場合は大事でしょうが、そうでない場合は思っている以上に不要なのがサプリメントです。まぁでも現実的には理想的な量やバランスを食べられないので、サプリメントを上手く使うのが大事になるかと思います。そんなわけで、本年はこの10年くらいの確認作業がしっかりできた、とても有意義な時間でした。また来年を楽しみにしております。</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-15900027601073861272023-08-19T17:00:00.001+09:002023-08-19T17:08:26.211+09:00男性の自慰行為とホルモン応答<p>Hormonal response after masturbation in young healthy men - a randomized controlled cross-over pilot study<br /><a href="https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34937544/">Basic Clin Androl. 2021 Dec 23;31(1):32. doi: 10.1186/s12610-021-00148-2.</a><br />Eduard Isenmann et.al<br /><br />テストステロンの話を眺めていたら出てきた論文で興味深かったので読んでみましたが、テストステロンの数値が1日で上下するけれども、それをエロ動画を見ることで抑制することが可能なので、トレーニング効果を最大限に発揮するためにはトレーニングの何時間か前に動画を見ておくのが良いかもしれないということが示されています。今回の実験では14時に動画を見て、18時頃にテストステロンとコルチゾールのバランスが最も良くなった。分解が減って合成が高まるもっともよいタイミングですね。ただこれ、普通に仕事をしている人ですと仕事中にトイレで...といったことになるので難しい気もします。電車の中で東スポなどのエロページを眺めているおじいちゃんたちは、やはり下半身が元気なんだろうな、といったことも考えたりで何とも興味深いところです。ちなみに過去にはマスターベーションによる体への負荷といったものも眺めましたが、ブログにも書いてありますが、基本的にはほとんど悪影響はありません。体勢が悪いとか時間をかけすぎといった問題点くらいです。ですので、トレーニングをしっかりと考える場合はやはり動画やらで興奮をするのは大事、日常的に見られるものなら、ですね。プレワークアウトサプリメントとしてスマホの待ち受け画像なんかにしておくのは有りなのかな、と思いました。なお女性に関しても似たような論文があった記憶がするので、そちらも探してそのうちまとめようかと思います。<br /><br /><br />・テストステロンなどのホルモンは、パフォーマンスの向上と筋成長に大きな役割を果たすとされている[1]。テストステロンはタンパク質の生合成を刺激し、繊維含量を変化させることで骨格筋の同化作用を促進することが知られている[2]<br />・人間では総テストステロン(TT)の98%が性ホルモン結合グロブリン(SHBG)やアルブミンなどの輸送タンパク質と結合しており[3,4,5,6]、TTの最大2%が生物学的に活性な形態(遊離テストステロン、FT)で見られる。TTとは対照的に、FTとその代謝物であるジヒドロテストステロン(DHT)のみが細胞内のアンドロゲン受容体(AR)と相互作用することができ、同化作用を促進する<br />・テストステロンに加えてコルチゾール(C)もヒトの代謝に決定的な役割を果たしており、これは視床下部-下垂体-副腎軸によって調節されている[7, 8]。コルチゾール濃度の上昇はTT濃度に悪影響を及ぼすと考えられているが[9,10,11]、初期の研究では運動後のFTとCレベルの間には正の相関関係があることが示されている[11]<br />・興味深いことに、専門家の間やソーシャルメディアにおいてレジスタンストレーニングの数時間前に性行為を行うことでFT濃度やFTとCの比率が上昇し、それによりトレーニング適応、特に筋肉量の増加が改善されるのではないかという仮説が立てられ、議論されている。しかし、この仮定を支持する科学的証拠はない<br />・性交やマスターベーションがホルモン反応に及ぼす影響について分析すると、それらは主にエンドルフィン、ドーパミン、オキシトシン、プロラクチンの放出と関連している[12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22]。オーガズム後、プロラクチンレベルは増加し、オキシトシンとドーパミンレベルは有意に減少することが様々な研究で示されている [12,13,14,15,16,17,18,19,23] 。性行為がテストステロン(総テストステロンおよび遊離テストステロン)、エストロゲン、コルチゾールおよび黄体形成ホルモン(LH)のホルモン濃度に及ぼす影響についての調査は不十分である<br />・過去数十年の初期研究では、マスターベーションまたは性行為後60分間は、TT濃度に変化がないことが観察されている[15, 24]。さらに性的な禁欲の影響と射精後のテストステロン濃度の変化に焦点を当てた研究もある[25]。初期の調査や研究では、FT濃度は性行為と性的興奮の両方によって影響を受けることが示されている [26] 。さらに、視覚刺激によってTT濃度が急性的に上昇することを示す研究もある[27,28,29,30]が、性交後またはマスターベーション後のTT、FT、C濃度の詳細な動態に関する研究は不足している<br />・今回の研究ではマスターベーションと視覚刺激が、TT、FT、およびC濃度の動態ならびにそれらの比(TT/C;FT/TT;FT/C)に及ぼす影響を調査した<br /><br />・8名の若い男性(年齢:27.1歳、身長:181.7cm、体重:87.7kg)が本研究への参加。参加者は健康な若者でドイツ体育大学ケルンでスカウトされた身体的、心理的、性的機能障害がなく、少なくとも3年間のトレーニング経験があり、バックスクワットで体重の150%以上、ベンチプレスで体重の120%以上のパフォーマンスを有し[31]、恋人がいる。ステロイドその他の薬物は使用しておらず、健康補助食品の摂取も制限された<br />・視覚刺激を伴うマスターベーション(AG)、マスターベーションを伴わない視覚刺激(VG)、視覚刺激とマスターベーションを伴わない受動的設定(PG)の3つに分けてホルモン濃度の変化を観察。実験の48時間前と検査日には性行為と身体活動、アルコールの摂取を禁止。12時間の絶食後に朝の8時から実験を開始、用意された食事を2回摂取し14時から自分の好むポルノ動画を鑑賞<br /><br />・マスターベーションと視覚刺激はFT濃度のみに影響を及ぼすと仮定できる。マスターベーションを伴った場合が最も数値は上昇した。概日リズムでのFTの減少を抑制することが可能<br />・筋力トレーニングの過程でマスターベーションを繰り返すことにも潜在的な効果がある可能性がある<br />・レジスタンストレーニングの前にマスターベーションという形で1回性行為を行うだけで、テストステロンによる強い適応を引き起こす可能性があるとは言えないが、筋力トレーニングと組み合わせてFTの分泌を増やすことで、筋の成長や筋線維含量の変化により強力な適応をもたらす可能性はある<br />・マスターベーションとは別に調査されたホルモンの概日リズム、トレーニングの時間帯は、筋成長の潜在的な調節因子と考えられるが、今回の研究結果からするとレジスタンストレーニングは、FTとCの比率が最も高くなる夕方(この研究では18:15)に行うのが最も効果的であるが、モチベーションのような他の生理学的・心理学的要因も重要な役割を果たすので、その点の考慮も必要である。特に、ストレスレベルの上昇はコルチゾール放出の増加 [7] と関連しており、テストステロン濃度とFT/C比に悪影響を及ぼす [9, 34]<br /></p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-89769367022020799002023-08-16T13:00:00.002+09:002023-08-16T15:19:35.358+09:00クレアチンは筋肥大に影響するのか<p>The Effects of Creatine Supplementation Combined with Resistance Training on Regional Measures of Muscle Hypertrophy: A Systematic Review with Meta-Analysis<br /><br />Nutrients. 2023 May; 15(9): 2116.Published online 2023 Apr 28. doi: 10.3390/nu15092116<br />Ryan Burke, Alec Piñero, Max Coleman, Adam Mohan, Max Sapuppo, Francesca Augustin, Alan A. Aragon, Darren G. Candow, Scott C. Forbes, Paul Swinton, and Brad J. Schoenfeld<br /><br />・クレアチンはレジスタンストレーニング(RT)の適応を増強するための数少ない有効な栄養補助食品の1つと考えられている[1]。クレアチンサプリメントの摂取により、骨格筋の総クレアチン(遊離クレアチンとホスホクレアチン)が増加し、アデノシン三リン酸を素早く再合成する能力が高まり、高強度運動が可能となる[1]<br />・クレアチンはインスリン様成長因子-1(IGF-1)、筋原性調節因子、衛星細胞、細胞水分補給、カルシウムおよびタンパク質の動態、グリコーゲン含量、炎症、酸化ストレスに影響を及ぼし[2]、長期にわたる筋の肥大に影響を与える可能性がある[3]。筋力[4,5]、パワー[6]、無酸素性代謝に関連するパフォーマンスは向上することが示されている[7]<br />・クレアチンサプリメントとRTの併用は、RTとプラセボと比較して除脂肪体重の増加が大きいが、除脂肪体重は体水分を含むすべての非脂肪組織から構成されるため、骨格筋量を示すものとしては不正確である。実際、除脂肪量の標準的な指標とされることの多いDXAは、筋肉の大きさを評価するための指標とされる部位特異的画像法 [13,14] による縦断的な肥大変化との相関が比較的低い<br />・クレアチンサプリメントを摂取すると全身の水分が増加することが示されている[16]。クレアチンは浸透溶媒として作用することから、その水分補給効果の大部分は細胞内にあると考えられている[17] 。しかし、クレアチンサプリメントによる除脂肪体重増加の一部は、おそらく尿量の減少を介した水分貯留に起因すると考えられる[18]<br /><br />・対象とした研究は (1)クレアチン補給とRTの併用と、クレアチン補給なしでRTの効果を検討したもの、(2)期間が6週間以上、(3)18歳以上を対象としたもの、(4)英語の査読付き学術誌で発表されたもの、(5)磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)や超音波など画像により変化を調査したもの。血流制限が行われているものは排除した<br /><br />・合計10本の論文が基準を満たした。研究期間は6~52週間。4つの研究は若年成人(21~26歳)を対象とし[33,34,35,36]、6つの研究は高齢者(57~72歳)を対象とした[37,38,39,40]。4つの研究は男性のみを対象とし[35,37,38,39]、1つの研究は女性のみを対象とし[40]、5つの研究は男女両方を対象とした[33,34,36,41,42]。2つの研究では、トレーニング経験者が用いられ[34,36]、他の研究では未経験者が用いられた。すべてのRTセッションは週に2~5回行われた。1つの研究は肘関節屈筋のトレーニングのみに焦点を当てたものであり [35]、他の研究はすべて全身トレーニングプロトコルを実施。1つの研究ではクレアチンのローディングがあり、これは5日間連続して20g/日のクレアチンを摂取した後、残りの期間5g/日のクレアチンを摂取するというものであった[35]<br /><br />・クレアチンサプリメントとRTの組み合わせによる筋肥大の部位変化を検討した最初のメタ分析であり、このレビューに含まれるサプリメントとレジスタンスプロトコルのプール解析では、クレアチンサプリメントをRTと組み合わせると、局所的な骨格筋肥大が促進されることが示された。しかし、プラセボと比較して、この効果はかなり小さなものである<br />・以前のメタアナリシスでは全身の除脂肪体重が有意に増加し(1.1~1.4kg)[2,9,10,11]たことが示されているが、これはクレアチンによる体水分総量の増加に関連していると考えられ、細胞外液の蓄積などを反映している可能性がある。また、除脂肪量での測定は全身の非脂肪組織を考慮に入れていることから、画像診断では評価されなかった部位や他の組織(例えば、骨[42])での肥大が起こったことも考えられる。これらの仮説については、さらなる調査が必要である<br />・身体の部位、年齢、調査期間についてサブ解析を行った。クレアチンサプリメントの摂取は、体の部位に関係なく同様の効果を示すことが明らかになった。これは、レジスタンストレーニングを行った男性において、上半身の除脂肪体重が下半身に比べて増加した(上半身:7.1%対下半身:3.2%)というDXA由来の研究とは対照的である [43]<br />・個々の筋群の効果の大きさも小さく、プラセボに対する改善幅の中央値は0.10~0.16cmであった<br />・期間が長い研究はすべて参加者が高齢であり、研究期間ではなく年齢により変化している可能性がある<br />・研究の限界としては<br />1、女性のみで調査した研究は1件であった<br />2、RTを行っている人を対象とした研究が2つしかなく、よりハードなトレーニングができる人たちの方がクレアチンサプリメントから大きな利益を得られる可能性がある<br />3、クレアチンサプリメントに対する反応にはかなりの個人差があり、Greenhaffら[47]は、被験者の約20~30%が「非反応者、ノンレスポンダー」であると報告している。この特徴としては、初期の筋クレアチンレベルが高いこと、II型線維の割合が低いこと、筋線維CSAが低いこと、および除脂肪体重が低いことなどが挙げられる[44]<br /><br /><br />クレアチンが筋肥大に影響を与えるのかっていう話に関しては、一般の人でも効果は出ない人が20~30%ほどいて、そうした人は筋横断面積が少ない、速筋が少ない、脂肪量が多い、クレアチンが十分にあるといった状態なので、まずは普通にトレーニングをしていくのが良さそうですね。そしてある程度の段階になったら筋力を高めるためにクレアチンを摂取する。それによってパフォーマンスは向上するが、じゃあそれが筋肥大につながるかと言われるとデータからはよく分からんとなっているのがクレアチン。筋肥大はさせるけど細胞が蓄えられる水を増やしているだけであり、純粋に筋肉を増やすという観点では不要かもしれないですね。筋力が高い方が筋肥大しやすいのか、という謎も残っているので、その辺りも眺めたいところです。</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-47298036557452518392023-08-09T15:00:00.014+09:002023-08-16T15:20:00.827+09:00長時間の静的ストレッチが、膝伸展筋の筋力変動の強度を高め、複雑性を低下させる<p><b>Prolonged static stretching increases the magnitude and decreases the complexity of knee extensor muscle force fluctuations</b><br />Jamie Pethick,et.al PLoS One. 2023; 18(7): e0288167.<br />Published online 2023 Jul 21. doi: 10.1371/journal.pone.0288167<br /><br />・ウォームアップは持久的な軽い運動やストレッチ、競技で行われる運動に類似した特定の運動などから成り立っている[2]。ストレッチに関して、静的、動的、弾性、および固有の神経筋促通(PNF)の4つの主要なタイプが認識されているが[2]、長年に渡って静的ストレッチ(SS)がウォームアップに組み込まれてきた[3]<br />・SSは筋肉をストレッチ感覚が得られるまでまたは不快感が到達するまで伸ばし[4]、その位置で15から60秒間保持するものであり[6]、その目標は、可動域の増加、筋腱損傷の発生率の減少、運動能力の向上など[1、3]にある。可動域の改善については強いエビデンスがある[7]<br />・適切なウォームアップなしに長時間(筋群ごとに60秒以上)のSSを行うと、運動能力を低下させるという結果も示唆されている[8]<br />・運動前のSSが最大筋力パフォーマンスを低下させることを示す研究は多く、ストレッチの持続時間と最大筋力パフォーマンスの減少の大きさとの間に関係が見られる[12、13]<br />・60秒以上のストレッチは最大筋力の有意な減少をもたらす[8、13]。よって、最大筋力を発揮したい運動の前に長時間のSSを行うことは避けるべきである[14]。ただ、最大筋力はパフォーマンスの唯一の決定因子ではなく、筋力を制御する能力、適切なレベルの力を正確に生成する能力も運動能力の決定に重要[15]であるが、研究はほとんど行われていない<br />・筋力の発揮はゆらぎがあることが分かっており、筋力をコントロールすることは、パフォーマンスに重要な影響を及ぼす可能性がある。神経筋疲労は力の変動 [21] の大きさの増加と複雑さの減少によるものであり、力の安定性の低下と適応性の低下 [22] を示す。このような変化は運動課題の失敗リスクを増加させるとされており[15]、スキルを必要とする動作のパフォーマンスの低下につながる可能性がある<br />・筋単位の選択や放電率の変化が力の制御の変化に関係があるとされている[23]。最大筋力の発揮に対するSSによる減少の影響は、筋単位の活性化[10]および放電率[24、25]の変化と関連している。これはSSが筋力制御に影響を与える可能性があることを示唆している。これらの筋単位の行動の変化は、60秒未満のSSの影響を受けないと考えられている[2]。<br />・本研究の目的は、急性のSSが筋力制御に与える影響を調査し、力の変動の大きさ(すなわち、SD、CV)および複雑性(すなわち、ApEn、DFA α)に応じて定量化することであり、60秒以上の長時間のSSが膝伸展筋の力の変動の大きさを増加させ、複雑性を減少させる結果が示され、力の制御の低下を示す応答が想定された<br /><br />・12名の健康な男性(年齢23.8±5.3歳、身長1.77±0.05m、体重76.8±6.2kg)で週2~3回軽い運動を行っている。実験前の24時間に激しい運動をしておらず、実験前の3時間に食事やカフェイン飲料を摂取していない<br /><br />・SSの前に3秒間の等尺性膝伸展MVCを実施。これらのMVCは60秒間の休息で区切られ、連続した3回の収縮のピーク力が互いに5%以内になるまで続けられ、最初に行った3回の収縮で5%以内の値を達成したものがほとんであった。参加者に3秒間のカウントダウンが行われ、最大限の力発揮が行われた。SSプロトコルの直後と10分後の測定では、各時点でMVCを1回のみ実施した。<br />・5分間休息した後、25、50、75%MVCで一連の間欠的等尺性膝伸筋収縮を行った<br />・事前のストレッチングMVCと一定の力のタスクを実行した後、被験者は休憩してからストレッチなし、30秒、60秒、120秒。4つの条件でストレッチを実施。不快感を感じ始める位置で保持される立位の大腿四頭筋ストレッチ[5]。ストレッチのない条件では室内を120秒歩き回り、筋肉の温度をSSによって達成されるレベルと同様に保った<br />・ストレッチ終了直後、被験者はダイナモメーターでMVCタスクを実施、ストレッチ終了から1分後に開始され、1回のMVCのみを行った。事後の力の制御タスクは、さらに30秒後に開始し、SS介入前と同じ手順、および目標力が使用された。これは、ストレッチ終了後10分後に繰り返されました。<br /><br />・本研究ではSSがその後の最大下等尺性収縮中の膝伸展筋力の制御を低下させることを明らかにした。120秒間のSSは、50%および75%MVCでの収縮中の力の変動の大きさを増加させ、複雑さを減少させた。これらの反応はarEMGの増加を伴っており、運動単位プールの活性化が進んでいると考えられるが、25%MVCでの収縮時には力制御の変化は認められなかった。<br />・60秒以下のストレッチは力制御に影響を及ぼさなかった。これらの結果から、長時間のSSの影響は、最大筋力を必要とする運動だけでなく、中強度から高強度の筋収縮において正確な筋力発揮を行う際にも影響があると考えられる<br />・長時間のSSに続く筋力の制御の低下は、その後の運動パフォーマンスに影響を与える可能性がある。力を制御する能力が高いほど疲労抵抗力が高くなるので、今回観察された力の制御の低下は、持久的な運動において制限値に達するのにかかる時間が短くなる可能性が感がられる[34]。また、力の制御の低下は、転倒とそれに続く怪我のリスクが増加する可能性があるとされるが、引き続き研究が必要となる。長時間のSSをやった後に筋力の発揮を制御する必要がある運動を行う場合、10分以上の間を空けるとよいかもしれない<br />・静的ストレッチによる力の減少は、運動ニューロンの興奮性の低下による可能性が示唆されている[38]<br />・本研究での120秒のストレッチの持続時間は過度であると考えられるが、以前の研究との比較を可能にするためである[2]。SSの持続時間と力の制御の変化との間に関係があるかを調べるためであったが、力の制御に影響を及ぼす筋単位の挙動の変化は、60秒未満のSSの影響を受けないとされている[2]。また、ストレッチの前に有酸素運動と呼ばれるものを行っておらず、ストレッチの後にも動的なものを行っていない。これも静的ストレッチのみが力の制御に与える影響を単純に調査するためである<br />・最近のいくつかの研究では、静的ストレッチが総合的なウォームアップ内で利用される場合、その後のパフォーマンスへの影響は微小または良好であることが示されている[41、42]。エアロビックなウォームアップの後に6セットの30秒の静的ストレッチを行った後、大腿の筋肉のEMG出力の複雑性が40% MVCでの等尺性収縮中に増加するという最近の研究もあり[43]、本研究で観察された筋力の複雑性の低下とは対照的である<br />・静的ストレッチが総合的なウォームアップの一部として行われる場合の力の制御への影響を調査することは、この研究の次のステップである<br /><br />ストレッチ話が目に入ったので、最近のストレッチ事情を見ていこうと思いまして、とりあえず流れてきた論文を見てみましたが、最大筋力が低下するからというだけで考えてはいけないということですね。最大筋力以外にも必要な出力レベルがある競技は多く、例えばサッカーにおいてターンする時などは出力が必ずしも最大である必要はないけれど、そこでの発揮がおかしくなっていると思った通りの動きにならずに故障リスクが上がってしまう、と。あとは力の発揮と一言で言うけれど、実際には筋肉と神経とその他の諸々が絡んでいる複雑なものであり、単純化して考えすぎてもアカン、ということですね。最大出力だけでトレーニングをする日は120秒もストレッチはしないで30秒以内の軽めのストレッチにして適度に刺激を入れる、その際にまずは全身運動などをやって筋肉を、身体を温めてからやるとストレッチによるマイナス効果はほとんどないよ、ということで。その辺りの論文を次は眺めてみようかなと思います。まぁしかし、120秒も同じ部位をストレッチしている人ってほとんどいないかとは思いますが、喋るのに夢中でずっとストレッチしているという光景は見るので、なかなか微妙なところですね。ストップウォッチを持って何秒くらいやっているかを計測してみると良いかもしれません。大腿部を座った、寝た状態でストレッチをする人は60秒くらいは簡単にやってしまうので。</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-60012745840786594372023-08-03T12:00:00.001+09:002023-08-03T14:52:17.763+09:00持久的競技のトップ選手のトレーニング特性とパフォーマンス決定要因の長期的な発達<p><b> Long-Term Development of Training Characteristics and Performance-Determining Factors in Elite/International and World-Class Endurance Athletes: A Scoping Review</b><br />Hanne C. Staff, Guro Strøm Solli, John O. Osborne & Øyvind Sandbakk<br />Sports Medicine volume 53, pages1595–1607 (2023)<br /><br />・持久的なスポーツにおいて、パフォーマンスは長期に及ぶ複雑な相互作用によって決定される。適切なトレーニング量、頻度、強度が適切に配分されることがトレーニングによる適応を促すために必要となる。この過程は10〜15年が必要とされるが、最近の研究では競技によってエリートレベルに到達するために必要な時間やトレーニング量にかなりのバリエーションがあると報告されている[1,2,3,4]。遺伝的なポテンシャルに加えて、選手とコーチの動機、スキルセットと経験、トレーニング仲間、サポートスタッフ、トレーニング環境と施設なども選手のポテンシャルに影響を与える[5, 6]<br />・筋肉への負荷と怪我のリスクが競技やトレーニングによって異なるため、トレーニング量(TV)の重要性が強調されている[10]。トレーニング負荷はトレーニングの強度や頻度により操作できるが、これらの要因の増加がどのように相互作用して最適なトレーニング刺激を提供し、生理学的要因とパフォーマンスの発達を最適化するかについては限られたエビデンスしかない[9, 14]<br />・持久的なトレーニングの強度分布(TID)を説明し、異なる研究や選手間での比較をするために3つのゾーンモデルがよく用いられている。低強度トレーニング(LIT)、中等強度トレーニング(MIT)、高強度トレーニング(HIT)と呼ばれ、ゾーンの分割には概念的および実践的な課題があるが、再現性のある血乳酸アンカーポイントを使用して各ゾーンを分離し、対応する心拍数と知覚的努力の評価と組み合わせることがおそらく最も効果的な方法とされています[9, 15]<br />・過去の研究では成功した選手のトレーニングの70〜90%がLIT、残りの10〜30%がMITおよびHITと報告されている[9,18,19]。強度分布のバリエーションは、検証されたスポーツの特性、個々の発達、LIT・MIT・HITを決定する方法の違いによるものと考えらる[10,20,21]。持久的なアスリートにおいて、キャリアのどの段階でも同じTIDを採用すべきかは明確ではない<br />・成功している選手は、最大酸素摂取量(VO2max)、乳酸閾値または無酸素閾値、および作業経済性または効率性が高いレベルで特徴づけられている[22]。これらのパフォーマンス決定要因の長期的な発達は、トレーニング、心身の成熟、性別などさまざまな要因に影響され、選手のキャリア全体で異なる発達パターンが見られる[23]<br /><br />・合計17のピアレビュー論文が含まれ、16の研究は後ろ向きの研究デザインを使用し、平均約7年(範囲2〜17年)の期間をカバー。これらの研究は合計109人の参加者で、約4分の1が女性。両性を含んだ2つの研究は全参加者の2/3(n = 73; 67%)で、女性24人と男性49人が含まれていた。女性のみの研究は全参加者のわずか5%(n = 5)で、男性のみの研究は28%(n = 31)。7つのオリンピック競技の持久的なアスリートが含まれており、中距離・長距離走(n = 41)、水泳(n = 41)、サイクリング(n = 13)、ローイング(n = 6)、トライアスロン(n = 6)、バイアスロン(n = 1)、クロスカントリースキー(n = 1)。パラリンピックの種目からは水泳で1人。研究の大多数(n = 11; 65%)は2010年以降に発表。大多数(85%)はスペイン(n = 52)とオーストラリア(n = 40)からであり、残りはノルウェー(n = 7)、クロアチア(n = 4)、イギリス(n = 3)、フランス(n = 2)、ベルギー(n = 1)<br /><br />トレーニングの特性<br />・クロスカントリースキー、バイアスロン、ランニング、サイクリング、ローイング、およびパラ水泳のアスリートを対象とした個別の研究で、6つの研究は6〜17年間のトレーニングデータ。どの研究もジュニア年齢以前のトレーニングについては報告していない。トレーニング頻度、強度、速度、高地トレーニングなどの他の重要なトレーニング特性はほとんど説明されていない。具体的には、4つの研究がトレーニング頻度に関する情報を含み[29,30,31,32]、3つの研究が強度と速度トレーニングを報告[30,33,34]、4つの研究が高地トレーニングの使用に関する情報を含んでいた[30,33,34,35]。1つの研究は最も成功した5年間(30〜35歳)の高地トレーニングについて詳細な説明があったが、より早い時期の高地トレーニングに関する情報はなかった[30]。他の研究では、高地トレーニングが行われたことは簡単に記述されていましたが、詳細なデータは提供されていない<br /><br />トレーニングボリューム<br />・合計8つの研究が、TVの進行的で非線形な増加を報告しています[29, 30, 32, 33, 34, 35, 36, 37]。クロスカントリースキーとマラソンランニングからの2人の女性ワールドクラスアスリートは、ジュニア時代には比較的低いTVを持ち、18〜20歳からピークパフォーマンスの年齢までの10〜12年間に80〜500%増加しました[30, 35]。ローイングとサイクリングの2人の男性アスリートでも同様の傾向が見られ、18〜23歳の間にTVが50〜80%増加しました[29, 36]。また、1人の女性パラ水泳選手も23〜26歳の間にTVが約70%増加しました[34]。さらに、17〜21歳の2人の男性中距離ランナーはTVが約50%と66%増加しました[32]。一方、21〜31歳のワールドクラスの男性バイアスロン選手はTVの増加が非常に低かった(30%)[33]。3つの研究では、26〜30歳の間にTVが1年間で500〜900時間の範囲で頭打ちになることが報告されました[30, 31, 33]。特にTVの大きな増加はキャリアの早い段階で起こり、ワールドクラスの女性クロスカントリースキーヤーでは20〜24歳の間にTVが60%増加し、スペインの男性サイクリストでは18〜20歳の間にTVが60%増加した[30, 36]。</p><p><br /></p><p>トレーニング強度の分布<br />・トレーニング強度の分布は6つの個別の研究で説明されている[29, 30, 33, 34, 37, 38]。1つの研究では、後期の段階で女性のクロスカントリースキーワールドクラス選手のLITとMITが増加し、HITの量が減少することが報告されている[30]。2つの研究では、男性のローワー(週に漕いだキロメートル数)とロングディスタンスランナー(相対的な分布)では、LITとHITの両方のボリュームが増加し、MITのボリュームが減少する傾向が見られた[29, 38]。中距離ランナーでは17〜22歳の間に週に走ったキロメートル数がLIT、MIT、HITで増加した[37]。ワールドクラスの男性バイアスロン選手とワールドクラスのパラ水泳選手の両方において、10年間で比較的安定したTIDが報告されました[33, 34]<br /><br />パフォーマンスを決定する要因<br />・VO2maxの増加が4つの研究で報告された[29, 38, 39, 40]。男性ローワーの相対的VO2maxは25歳から32歳の引退まで4%増加[39]。他の2つの男性ローワーに関する研究では、16歳から20歳までのVO2maxは29%増加し、16%の相対的な増加が見られた[29, 40]。これらのうちの1つの研究では、20歳から27歳まで13%の増加が見られ、28歳で安定化した[29]。男性中距離ランナーでは、2つの連続したシーズンでLITとHITの割合を増加させることでVO2maxが11%増加した[38]<br />・5つの研究では、長距離ランニング、トライアスロン、サイクリング、クロスカントリースキーのエリート/国際レベルおよびワールドクラスレベルのアスリートの相対的なVO2maxの値に変化はなかった[30, 35, 41, 42, 43]。6つの研究では、サブマックスパフォーマンスを決定する変数(乳酸/無酸素閾値および/またはエコノミー/効率など)[29, 30, 35, 38, 40, 44]および6つの研究では、パフォーマンス指標(最大速度、最大出力、およびVO2maxでの速度など)[29, 35, 38, 39, 40, 44]の向上が報告されている。これらの変化は2〜17年の期間で、ワールドクラスのランナーやクロスカントリースキーヤー、およびローワーに見られました<br /><br />・このレビューに含まれる研究の大部分は、最も弱い科学的根拠とされるケーススタディであり、結果の一般化の可能性が制限されます。しかし、ポーラ・ラドクリフ、ヤコブ・インゲブリクトセン、モー・ファラーなどワールドクラスレベルのアスリートに関する詳細な情報を提供している<br />・特定の年におけるTVの大幅な増加の背後にある理由を理解し、大きな増加がパフォーマンスおよび生理的な発達をより促進するか、逆に停滞のリスクが高いかを判断するためにはさらなる情報が必要<br />・世界クラスのレベルに到達するためには長期的な献身的なトレーニングが重要です。時間とともにトレーニング量(TV)は非線形に増加し、ピークパフォーマンスに近づくとプラトーが現れることがある。トレーニング強度の分布(TID)の概念は注目されており、LIT(低強度トレーニング)、MIT(中強度トレーニング)、HIT(高強度トレーニング)の割合は選手のキャリアの中で変化することが示されています。<br /><br />パフォーマンスを決定する要因<br />・研究では、複数年にわたるパフォーマンスの向上が報告されている。VO2maxは個人差があり、一部の選手はキャリアの早い段階で最適化される一方、他の要因がその後の改善をもたらすことがある。VO2max以外の要因も、18〜20歳以降の持久的なスポーツ選手のパフォーマンス向上に重要な役割を果たすことが示されている。これはPaula Radcliffの研究[35, 44]で示されており、18歳の時点で既に高いVO2max値を達成していたが、ランニングの経済性とランニングパフォーマンスの改善は数年にわたって徐々に発展し続けた<br /><br />・3つの研究ではピークパフォーマンスに近づく際にTVのプラトーが見られた。また、TVが減少したが、パフォーマンスレベルが維持されている場合もあった[30]<br /><br />持久的な種目においては長期的なトレーニングの積み重ねによってパフォーマンスが改善されるが、そのトレーニングには身体的な要素だけでなく技術面もあり、最大酸素摂取量に関しては早い段階でピークに達しているので他の要因が大事になる。練習量も年を経るに連れて増えていき、一気に増える年が見られるが、それによって向上したパフォーマンスはプラトーになり上昇するのが難しくなる。あとはひたすら積み重ねていくのみ、という感じですかね。まぁ問題点として記載があった通り、じゃあそこまでのトレーニングはどうしたらよいのか、というのが抜けてしまっているので難しいところです。ジュニア期のトレーニングの積み重ねがシニアになって出てくるのは間違いないので、中学生や高校生の頃は飽きずに丁寧にフィジカルを鍛え、少しずつ量を増やせる身体を作っていき、成長期が終わって身体も耐えられるようになってきたら量が増えていく。そうした流れでやれるのが理想なんだろうなと思います。あとは高負荷なトレーニングは本当に少ないので、持久的な種目をやっている人はまずは土台を作る軽い負荷で量をしっかりこなす、そうした点が大事かなと思います。</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-12120660525799218822023-08-01T10:00:00.002+09:002023-08-01T21:16:29.559+09:00持久的な運動中と運動後の肝臓のグリコーゲン<p><b>Liver glycogen metabolism during and after prolonged endurance-type exercise</b><br />American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism<br />Vol. 311, No. 3 01 SEP 2016<br />Javier T. Gonzalez, Cas J. Fuchs, James A. Betts, and Luc J. C. van Loon<br /><a href="https://doi.org/10.1152/ajpendo.00232.2016">https://doi.org/10.1152/ajpendo.00232.2016</a><br /><br />・持久性運動中の炭水化物ベースの燃料の役割は、約100年前から知られている(63)<br />・中程度から高強度の運動時における炭水化物の重要性は、1930年代に示された(20)<br />・運動中の筋肉グリコーゲンの利用と重要性は、1960年代に筋肉生検技術とによって示された(12, 13)<br />・筋肉グリコーゲンの利用に重点が置かれてた一方、肝臓グリコーゲンの評価は技術的な問題から難しかったため、運動中の肝臓グリコーゲンの使用に関するデータはわずかしか得られていなかった<br />・1960年代(9, 100)および1970年代(39, 77-79)に、Menghiniが開発した肝臓生検技術を利用して、人間での生体内肝臓グリコーゲン利用を報告することが可能になった。断食によって肝臓グリコーゲンが急速に減少することが示され(100)、断食または極めて低炭水化物な食事によって48時間以内に完全に枯渇することが示された(79)。また、食事に十分な炭水化物が含まれている場合に肝臓グリコーゲンの正の再補充が始まることも示された<br /><br />・食後、血糖の過剰放出を緩和し食後の高血糖を和らげるために肝臓グリコーゲン合成が行われ、肝臓グリコーゲンの分解と合成は同時に起こる(69, 82, 86)。病気などで肝臓グリコーゲンの適切な合成または分解ができない場合には、多くの代謝異常が引き起こされる<br />・脂肪酸とグリセロールの供給によって肝臓グリコーゲンが調節されることが示されており、非エステル化脂肪酸(NEFA)とグリセロールは肝臓グリコーゲンを約84%抑制することができることが報告されている(98)<br />・食後から肝臓グリコーゲン濃度がピークになる(約5時間後)までのグリコーゲン補充の平均速度は約6 g/h(101)<br /><br />・運動後には特定の筋肉に対してグリコーゲンのSupercompensation(超回復)が起こる(13)。持久的なトレーニングにより、通常時の筋グリコーゲン濃度はトレーニングしていない状態と比べると20~66%増加する(10, 44, 67, 97, 117)<br />・筋グリコーゲンの貯蔵量が多いと、筋グリコーゲンの枯渇が疲労に寄与するタイミングを遅らせるかもしれない。アスリートでは、絶対および相対的な高い運動強度で長時間の運動ができるので、筋グリコーゲンを非常に低いレベルにすることが可能となる(28)<br />・肝臓のグリコーゲンの貯蔵量は、持久的なトレーニングやインスリン感受性の違いによって変化しない<br />・トレーニングしていない人では、肝臓グリコーゲンの分解率は運動強度が高くなるに連れて著しく増加していく。持久的なトレーニングを行っているアスリートでは、高強度運動時における肝臓グリコーゲン分解の減少が見られる。最大酸素摂取量の80%を超えるような高負荷の運動になると脂肪分解が抑制されるため、肝臓グリコーゲンの消費が著しくなり血中グルコースの低下をもたらす。これが運動を制限する要因の一つとなる<br />・肝臓グリコーゲンの代謝は、最高酸素摂取量の80%未満の運動強度でしか研究されていないため、トレーニングされたアスリートにおける過剰なホルモン反応が、最大運動時における肝臓グリコーゲンの利用にどのように影響するかは不明<br /><br />・長時間の中程度から高強度(>最高酸素摂取量の60%以上)の持久的な運動において、炭水化物が最も重要な燃料源となり、炭水化物摂取を運動中に摂取しない場合、肝臓および筋肉のグリコーゲンは最高酸素摂取量の70%で90分の運動をした後に40~60%減少する(18, 97)<br />・長時間の運動中の炭水化物摂取はパフォーマンスを向上させる(118)。これは血糖値の維持、炭水化物酸化率を高く維持する、筋肉グリコーゲンの利用の節約などが含まれる(19, 108)。筋肉グリコーゲンの節約は一部の研究で示されているが(96, 109, 110)、全ての研究で見られるわけではなく(27, 36, 47, 58)、測定のタイミング(96)および運動のタイプまたは筋肉繊維によるものと考えられる(110)<br />・運動中の適度な糖摂取(約0.6-0.8 g/min)が肝グルコース産生を抑制できることが示されており(17)、大量の糖摂取(約3 g/min)は運動中の肝グルコース産生を完全に抑制することもある(59)。これらの結果から運動中の炭水化物摂取は肝臓のグリコーゲン分解を抑制し、肝臓グリコーゲンの減少を緩和すると示唆されている(19)。摂取された炭水化物が新たに合成されたグリコーゲンとして蓄積されるか、直接的に血中にグルコースまたは乳酸として放出されるかは不明<br /><br />・運動後の筋グリコーゲンの再補充は、十分な炭水化物摂取(1時間に体重1kgあたり1.2 g)によって最適化される(8, 15, 115)。糖と果糖の混合物が単独の糖(ポリマー)よりも筋肉グリコーゲン再補充をさらに増強することはほとんどないことがますます明らかになっているが(40, 106, 122)、運動後の回復初期に十分な炭水化物摂取をする際には、ブドウ糖と果糖、ブドウ糖とスクロース)の摂取がブドウ糖だけの摂取よりも良いと推測される(40)<br />・肝臓のグリコーゲン再合成に与える影響に関する研究は少ない(18, 29, 30, 40, 74)<br />・ブドウ糖のみを摂取した場合、肝臓グリコーゲンの最大再合成率は約4g肝臓グリコーゲン/hほど(18, 29, 40)。運動後のブドウ糖摂取による肝臓グリコーゲン再合成率は、混合食を摂取した場合に安静状態で報告される約6 g/hの肝臓グリコーゲン再合成率よりもかなり低い傾向になる(101)。よって、脂肪とタンパク質を炭水化物と一緒に摂取することで、肝グリコーゲンの合成を増強する可能性が推測される。混合食を摂取した場合のより大きなインスリン分泌は、肝臓グリコーゲンへの純粋なグルコースの取り込みと貯蔵を増加させる可能性がある(4, 16, 113, 115)<br />・安静時はフルクトースとガラクトースが肝臓で優先的に代謝される(7, 41, 78)。したがって、グルコースとフルクトースまたはガラクトースのいずれかを一緒に摂取することで、運動後の肝臓グリコーゲン再合成率をさらに増加させることができる(18, 29, 40)。一緒に摂取することで肝臓グリコーゲン再合成率は約4 g/hから約8 g/hにほぼ倍増する<br />・グルコースとフルクトースを一緒に摂取することで、単独摂取よりも腸管吸収速度が速くなる(54, 56, 57)<br /><br />筋グリコーゲンに関しての補給の話はよく知られていますが、脳や肝臓に関してはイマイチかと思われるので、再度確認しておくとよいかなと思います。持久的な運動をする前に補給を十分にすることでトレーニング効果が高まるので、効率を高めたい場合は事前の食事、練習後の食事への意識を高めるのが効果的です。運動中に関してはまだ研究不足となっていますので、今後に期待です。脂質も大事なのでしっかり摂取しましょう。ガラクトースも効果的となるので、牛乳などが苦手ではない人は積極的に飲むとよいかもしれません。</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-35109484183090523962023-04-15T23:04:00.001+09:002023-04-15T23:04:33.602+09:00抗酸化物質の補給は若い女性の筋力トレーニングによる効果を弱める<p>Antioxidant Supplementation Impairs Changes in Body Composition Induced by Strength Training in Young Women<br />Int J Exerc Sci. 2019 Mar 1;12(2):287-296<br />Maurilio T Dutra et.al<br /><br /> 筋力トレーニングは筋肥大と身体組成の変化を促進することが知られていますが、抗酸化物質の補給を組み合わせた場合の影響については、ほとんど研究がされていませんでした。この研究の目的は、抗酸化物質の補給を組み合わせた筋力トレーニングが、若い女性の脂肪量と脂肪以外の体重に及ぼす影響を調べることでした。ダブルブラインドの設計で、33人の被験者(22.9 ± 2.5歳、57.7 ± 8.4 kg、1.6 ± 0.6 m)は、ビタミン群(n=12)、プラセボ群(n=11)およびコントロール群(n=10)に分けられました。ビタミン群とプラセボ群は、10週間にわたって筋力トレーニングプログラムに参加しました。ビタミン群はトレーニング期間中にビタミンC(1g /日)とE(400IU /日)の補給を受けました。脂肪量と脂肪以外の体重はDEXAで評価されました。従属変数の違いを調べるために、複数の3×2(群×時間)の混合要因分散分析(ANOVA)にTukey調整を施しました。有意水準はP≤.05で設定されました。プラセボ群だけが、トレーニング後に全体的な脂肪以外の体重を増加させました(34.9 ± 4.9 vs 36.3 ± 4.8 kg、P<0.05)し、全体的な脂肪量を減少させました(21.8 ± 7.8 vs 21.0 ± 8.3 kg、P<0.05)。さらに、プラセボ群だけが、コントロール群と比較してトレーニング前後の脂肪以外の体重の変化率が有意に高かった(4.0 ± 3.4 vs -0.7 ± 3.1%、それぞれ、P<0.05)。これらの結果は、慢性的な抗酸化物質の補給が、若い女性の身体組成における筋力トレーニングに関連する改善を緩和する可能性があることを示唆しています。<br /><br />・強度トレーニング(ST)は筋肥大と体組成の適応を促進する。<br />・STに抗酸化物質サプリメント(AS)を組み合わせた場合の適応については、ほとんど研究がなされていない。<br />・この研究の目的は、STとASの慢性的な効果が若い女性の脂肪量(FM)と脂肪フリー量(FFM)に与える影響を調べることである。<br />・偽薬群とビタミン群の2つのSTプログラムを10週間行い、FMとFFMをDEXAによって評価した。<br />・偽薬群のみが、10週間のトレーニング後に総FFMを増加させ(34.9±4.9 vs 36.3±4.8 kg、P<0.05)、総FMを減少させた(21.8±7.8 vs 21.0±8.3 kg、P<0.05)。<br />・さらに、偽薬群のFFMの変化率は、コントロール群と比較して有意に大きかった(4.0±3.4 vs -0.7±3.1%、P<0.05)。<br />・結果から、慢性的なASは、若い女性の体組成におけるSTに関連する改善を軽減する可能性があることが示唆された。<br /><br />Chat GPTでの日本語訳とまとめが秀逸なので、これを使って自分の目で確かめていくのが良さげですね。問題点はやはり、少し雑という点です。コントロール群があったりなかったりなど微妙に異なるので、とりあえず全文を翻訳させてから要点をまとめてもらうとよさげです。年齢と被験者数、プロトコルなどいくつか設定しておくと非常に便利な使い方ができそうです。こりゃぁブログを書く必要性が無くなりますね。まぁサッと見直したい時のために残しておくのが効率が良いので、随時作業をしていきたいと思うところですが。</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-4212982109349800912023-03-17T12:00:00.007+09:002023-03-17T23:34:31.413+09:00抗酸化サプリメントの摂取はSIRT1の活性を抑制する<p>Antioxidant Supplementation Hinders the Role of Exercise Training as a Natural Activator of SIRT1<br />Carmine Sellitto et.al<br />Nutrients. 2022 May 17;14(10):2092<br /><a href="https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35631233/">https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35631233/</a><br /><br />Introducition<br />SIRT1, activated during ET, can counteract aging and age-associated diseases by increasing the cellular antioxidant capacity and improving mitochondrial biogenesis [13,14,15]<br />However, the ET-related effects, including SIRT1 activation, strongly depend on the type, intensity, and duration of the training [16,17,18,19].<br />SIRT1は持久的な運動(ET)によって活性化され、ミトコンドリアの生成を促すが、トレーニングの種類、強度、期間に大きく影響される<br />However, these beneficial effects can be eliminated when aerobic training is performed at a greater workload [17].<br /><br />※17の論文を見ると持久的なトレーニングをより大きな作業負荷で実施した場合はその効果は抑制される<br /><br />Materials and Methods<br />One of them (MDR-S) consumed, every training day and in conjunction with meals, antioxidant supplementation (S) consisting of 240 mg vitamin C and 15 mg vitamin E, together with 861 mg sodium, 555 mg chlorine, 381 mg potassium, and 66 mg magnesium.<br />抗酸化物質として240mgのビタミンCと15mgのビタミンEを摂取。被験者はおよそ50歳前後の男女16人<br /><br />Discussion<br />The main finding of this study is that aerobic ET combined with an exogenous source of antioxidants is associated with an increase in systemic antioxidant capacity but not in SIRT1 activity. <br />この研究の主な発見は、抗酸化物質を摂取して持久的な運動を行うことは全身の抗酸化能を高めるが、SIRT1活性は増加させないことである<br /><br />On the other hand, an accumulation of oxidative stress during ET can lead to damage of all cellular constituents and could impair athletic performance [26]. For this reason, athletes often resort to antioxidant supplementation, including vitamins E and C, to prevent or reduce possible ET-related negative effects, especially muscle damage [26,27].<br />持久的な運動中の酸化ストレスの蓄積は、細胞の損傷につながり運動能力を低下させる可能性がある[26]。アスリートは、持久的な運動によるある悪影響、特に筋肉の損傷を予防または軽減するために、ビタミンEやCなどの抗酸化物質の補給に頼ることが多い [26,27].<br /><br />An exogenous source of antioxidants could interfere with ET-related outcomes, leading to effects that are actually detrimental rather than beneficial.<br />抗酸化物質の補給によって持久的な運動によるトレーニング効果を減らしてしまう。<br /><br />Similarly, the effects of daily intake of vitamins C and E were investigated using muscle samples [32]. Paulsen et al., in a double-blind randomized controlled trial, observed that ET-related muscle adaptations were hindered in athletes taking 1000 mg of vitamin C and 235 mg of vitamin E daily for 11 weeks.<br /></p><p>Paulsenらは毎日1000mgのビタミンCと235mgのビタミンEを11週間摂取したアスリートにおいて、持久的運動による筋肉の適応が阻害されることを発見した。ビタミン類の摂取はミトコンドリアの生合成マーカーの上昇を弱めることにつながった。運動能力の低下とは関連しなかったが、抗酸化物質の補給と持久的運動の併用を検討する際には注意が必要であろう[32]。<br /><br />A review including crossover and controlled trials highlighted mixed results. Some studies reported that vitamin C at a dosage of more than 1 g daily could impair physical performance through a possible reduction in mitochondrial biogenesis, while others did not observe a statistically significant impact [36].<br />クロスオーバーや対照試験を含むレビューでは、さまざまな結果があり、1日1g以上のビタミンCを摂取すると、ミトコンドリア生合成が低下し、身体能力が低下する可能性があるとする研究もあるが、統計的に有意な影響を観察しなかった研究もある[36]<br /><br /><br /><br />トレーニングの目的が筋肉を増やしたりミトコンドリアを増やしたりという点であるならば、ビタミンCの摂取は240mgほどでも多すぎるということになるのかな、と。ビタミンCがサプリメントで簡単に摂取できるし、健康のためには大事みたいに思っている人が多く、気軽に摂取している人が多いかと思われますが、それによってトレーニング効果を下げているよ、という点が忘れられてます。特に240mgの摂取はみかん3個程度なので、簡単にいけます。ちょっとした飲み物でも簡単にいけますし、筋肉大好きな人たちがよく食べているブロッコリーなんかもビタミンCが多く含まれています。あれは減量期の食事であれば良いかもしれませんが、筋肉を増やしたいタイミングにおいてはブロッコリーを多くした食事は好ましくないと言えます。ただ、ビタミンCを多く摂取することで体脂肪を減らす効果はあるというものもあるので、タイミングが大事ということになるかと思います。<br /><br /><a href="https://tf-ver3.blogspot.com/2020/12/blog-post_6.html">version.3: ビタミンCとEの摂取は筋肥大に効果ないどころか (tf-ver3.blogspot.com)</a><br /><br />まぁ何年か前に同じことを扱っているので、そちらもご覧いただければと思います。</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-9594906188018291232023-03-16T09:23:00.002+09:002023-03-16T09:23:10.591+09:00ゼラチンとビタミンCの摂取で腱の回復を高める<p>Vitamin C–enriched gelatin supplementation before intermittent activity augments collagen synthesis<br />Am J Clin Nutr. 2017 Jan; 105(1): 136–143.<br />Gregory Shaw, Ann Lee-Barthel, Megan LR Ross, Bing Wang, and Keith Baar<br /><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5183725/">https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5183725/</a></p><p><br />イントロ<br />・運動は、コラーゲン合成を増加させる(6-8)、コラーゲンの架橋に関するリシルオキシダーゼの発現を高める(9)<br />・ビタミンCとアミノ酸のプロリンによってコラーゲン産生が増加し力学が向上する(21)、グリシン摂取量の増加によって損傷後のアキレス腱の力学が向上する(29)。これらはコラーゲンとビタミンCを増やす栄養介入により、コラーゲン合成が向上することを示唆している<br /><br />方法<br />・健康な成人男性8名が被験者。絶食後の朝に48mgのビタミンCを含む低カロリー飲料に0、5、15gのゼラチンを溶かしたものを摂取し、6分間の連続縄跳びを実施。運動後、実験室で4時間安静にし、その間に4回の血液サンプルを採取。4時間後の血液サンプルの後、カニューレを外し、被験者は実験室から退出。<br />・6分間の連続した縄跳びを3回/日を6、12時間後24、30、36時間後、48、54、60時間後に実施して再度測定</p><p>結果<br />・腱の太さに変化はなかったが機能の改善が見られた<br />・P1NP(Ⅰ型プロコラーゲン-N-プロペプチド)は15g群で大幅な増加(5gでは大きな増加は見られない。プラセボより高いくらい)<br /><br />discussion<br />・15gのゼラチンを摂取してから1時間後に運動を開始すると、運動後の回復期にコラーゲン合成が促進されるという仮説を強く支持。プラセボ群とゼラチン15g群の運動4時間後のPINP濃度の比較で顕著に示されることから、ゼラチンが運動後のコラーゲン合成をサポートすることを明確に示している<br />・コラーゲン含有量はゼラチン補給群でのみ増加したが、すべての群で力学的な増加を示した。血清中のビタミンC濃度は測定していないが、80mL中に48.5mgのビタミンCを400mlに溶かしたドリンクの摂取が力学の向上に影響を与えた可能性がある<br />・ビタミンCはコラーゲンの合成に必要であり(41)、ビタミンCはコラーゲン架橋酵素であるリシルオキシダーゼ(42)、プロリルおよびリシルヒドロキシラーゼ(41、43)をも活性化し、これによりコラーゲン架橋を増加させる(44)<br /><br /><br />運動により骨や腱の合成・剛性が高まるが、それをさらに高めるのがビタミンCとゼラチンの摂取。15gほどのゼラチンなので通常では摂取されない量ですが、アキレス腱その他の治りがイマイチな人は行ってみると良いと思います。ただ、ビタミンCが多くなりすぎると筋肉その他の能力向上が大きく制限されてしまうので、タイミングが難しいという問題もあります。朝にしっかりと摂取して夕方に運動、寝る前にも摂取して軽く刺激、というのが良いかと思います。ヒールレイズ程度の運動でも刺激としては十分というのが先日の論文ではあった通りなので、寝る前くらいならばいけるでしょう。まぁビタミンCが50mg程度であればそこまで問題は無いと思いますが、おおよそ1日で100mgも摂取すれば十分、1日に300mgで多すぎというのがアスリートな人たちでの数値だと思われるので、1度に50㎎だと1日の半分くらいなのでなかなか多いかな、と。この点はまた後日に。とりあえずはゼラチンをしっかりと摂取して運動をしましょうね、と。なお、食品成分データベースですと、プロリンは豚で100g中に13gほど。角煮などで摂取すると考えるとカロリーが…、となりそうですので、やはりサプリメントでしょう。</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-30172586704702660962023-03-10T17:00:00.001+09:002023-03-10T18:03:50.803+09:00アキレス腱の回復には適度な運動が効果的<b>Current Clinical Concepts: Conservative Management of Achilles Tendinopathy</b><div><br /></div><div>Karin Grävare Silbernagel, PhD, PT, ATC, Shawn Hanlon, MS, ATC, CSCS, and Andrew Sprague, DPT, MS, PT</div><div><div>J Athl Train. 2020 May; 55(5): 438–447.doi: 10.4085/1062-6050-356-19</div><div>https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7249277/</div></div><div><br /></div><div><div>Key Points</div><div>・Achilles tendinopathy is a clinical diagnosis based on localized tendon pain and swelling and pain with activities.</div><div>・Exercise that provides mechanical loading of the Achilles tendon is the treatment with the highest level of evidence.</div><div>・Treatment should focus on activity modification and progressive tendon-loading exercises.</div><div>・Full recovery of symptoms does not ensure full recovery of function or tendon structure.</div><div>・The best prevention is to recognize early “minor” symptoms and treat with load control.</div></div><div><br /></div><div>このキーポイントが大事なのは間違いないです。</div><div><br /></div><div><div>Injury Mechanism</div><div>The Achilles tendon is mechanoresponsive, meaning it will adapt to the loading demands placed on the tissue.9,12 The exact cause of tendinopathy varies; however, the most common cause in athletes is excessive loading with inadequate recovery time between training sessions.13</div></div><div><br /></div><div>怪我のメカニズムとしては回復時間が不十分であることが多い。</div><div><br /></div><div>Risk Factors</div><div>The risk for developing Achilles tendinopathy is considered multifactorial, with intrinsic or extrinsic risk factors that relate to causing either decreased load tolerance of the tendon or movement patterns that overload the tendon.16 Decreased plantar-flexor strength, deficits in hip neuromuscular control, abnormal ankle dorsiflexion and subtalar-joint range of motion, increased foot pronation, and increased body weight are intrinsic risk factors that can be addressed during treatment.16</div><div><br /></div><div>リスクファクターとしては足底屈筋力の低下、股関節の神経筋制御の障害、足関節の背屈および距骨下関節の可動域の異常、足のプロネーションの増加、体重の増加などが挙げられる</div><div><br /></div><div>The treatment with the highest level of evidence for Achilles tendinopathy is exercise rehabilitation (Table 2).6,16,33 </div><div><br /></div><div>”トリートメントとして大事なのは運動による負荷である”</div><div><br /></div><div>具体的な例はtable2にあるのでご覧ください。まぁ踵を上げる運動を20~30回あたり繰り返す程度です。難しいことは特にありません。これをしっかりとやる。素早くやると負荷が上がる。踵を地面まで着けようとすると負荷が上がるので、踵に何かを置いておくと良いとのこと。</div><div><br /></div><div><div>Recovery Phase</div><div>The aim of the recovery phase is to regain the strength of the calf muscles and improve the Achilles tendon's tolerance to load (Table 3). Exercises are performed daily. As symptoms subside and calf-muscle function improves, the exercises are progressed by increasing the number of repetitions, range of motion, and speed of movement.</div></div><div><br /></div><div>ふくらはぎの筋肉はアキレス腱の機能をしっかりと発揮するためには必要であるということですね。</div><div><br /></div><div>Our return-to-sport program is based on the premise that the tendon tissue requires a longer recovery from heavy loading activities (36–72 hours), whereas lighter activities can be performed more often.47</div><div><br /></div><div>Light-level activities can be performed daily, medium-level activities need to be followed by 2 recovery days, and high-level activities need to be followed by 3 days of recovery</div><div><br /></div><div>アキレス腱の回復には36時間から72時間という時間を要すると考えて、高負荷な練習の場合は72時間ほどを必要とするという考えに基づけば、土曜日に練習をした後に火曜日に高負荷な練習を行うのは腱の回復が間に合わなくなるので好ましくないということですね。ランナーの皆様が実施する週に2回の高負荷なポイント練習と呼ばれるものは、回復の面から見ると間に合わない。狙いを変えて腱に与える負荷の小さくなる練習をどちらかでは実施すべき、と。</div><div><br /></div><div>PREVENTION</div><div>We therefore propose that the best prevention is to recognize the early “minor” symptoms and treat these with load control (adjusting training loads) instead of ignoring them or only addressing the symptoms.</div><div><br /></div><div>予防としては負荷をコントロールすることで対処をする</div><div><br /></div><div><br /></div><div><br /></div><div>全文を読んでもそんなに長くないので、ご覧になることをおススメします。とりあえず、足関節や股関節の辺りにも問題の原因があるという認識が大事ですね。あとは高負荷の場合は72時間が回復に必要なので、この点のコントロールということですね。ケアが足りないから痛みが出ると考えずに、負荷を調整。週に1回しか高負荷な練習はできない。もっとやりたいならば、股関節や足関節、ふくらはぎなど関わる他の部位の強化もしっかりと行うべきですね。</div>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-48600297012073306132022-11-13T15:12:00.005+09:002022-11-13T15:12:58.937+09:00パワーリフティング選手の記録向上と年間試合数Effect of Competition Frequency on Strength Performance of Powerlifting Athletes<br /><br />Pearson, Joshua Spathis, Jemima G. van den Hoek, Daniel J. Owen, Patrick J. Weakley, Jonathon1, Latella, Christopher<div><br /></div><div>https://journals.lww.com/nsca-jscr/Abstract/2020/05000/Effect_of_Competition_Frequency_on_Strength.3.aspx</div><div><br /></div><div>Journal of Strength and Conditioning Research: May 2020 - Volume 34 - Issue 5 - p 1213-1219</div><div><br /></div><div>回数をこなすほど良い記録が出やすく、2回目の試合で最も良い成績を出せる可能性が高い。しかし、年間の試合の上限は4回になるであろう。</div><div><br /></div><div><br /></div><div>相関が弱すぎて何とも言えないデータですが、1回目で確実に記録を出して、2回目でより高いところを狙う、3回目で少しチャレンジをしてみて、4回目で最大のピークを作る、という流れになるのかと思います。普段のトレーニングと結果がつながりやすいのがパワーリフティングですが、当然ながら体重などの調整をしていく中で記録の変化も出てしまう、トレーニング効果の増減も出てしまうので、そこまで回数を増やせないという経験通りのデータだと思います。</div>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-48714395448008454822022-08-01T07:30:00.002+09:002022-08-12T15:19:51.468+09:00運動中の脂質酸化能力はインスリン感受性に関連するWhole-body lipid oxidation during exercise is impaired with poor insulin sensitivity but not with obesity per se<div><br /><a href="https://journals.physiology.org/doi/abs/10.1152/ajpendo.00042.2022?utm_source=AJPEndo&utm_medium=Twitter&utm_campaign=7.18.2022#">Avigdor D. Arad</a>,et.al 13 JUL 2022<div>American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism</div><div><a href="https://doi.org/10.1152/ajpendo.00042.2022">https://doi.org/10.1152/ajpendo.00042.2022</a><br /><br />過体重や肥満が運動負荷に及ぼす脂質の酸化能力に関しては、</div><div>食事におけるエネルギーバランスや栄養素の問題、運動の強度や時間の問題、インスリン感受性の問題などが考えられる。この実験ではインスリン感受性と過体重・肥満の関係を調べた。</div><div><br /></div><div>・被験者は運動を日常的にしていない正常な体重の人15人と過体重・肥満の人15人</div><div>・代謝的に健康な群と不健康な群に分類</div><div>・ガス交換閾値(GET)の70%と100%で一定の速度で自転車運動を実施</div><div>・脂質酸化能力の低下は体組成と関係なくインスリン感受性が悪いと低下する(過体重や肥満での影響はほぼない)</div><div><br /></div></div><div>瘦せようと思って運動を開始しても脂質の利用能力が低くて思った以上に痩せない、そして運動を諦めてしまう人がそれなりにいると思いますが、過体重だからみんなインスリン感受性が悪いということもないと思いますが、まずは感受性を高めるための運動をするのが良さそうですね。HIITのような短時間で高負荷な運動が効果的とされたりしているので、20秒の全身運動をまずは始めてみるところからが良いのではないでしょうか。</div>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-6302313489023561182022-03-11T09:10:00.000+09:002022-03-12T09:36:43.349+09:00慢性的なアキレス腱への痛みへのPRP注射の効果<p><b><span style="font-size: large;">Effect of Platelet-Rich Plasma Injection vs Sham Injection on Tendon Dysfunction in Patients With Chronic Midportion Achilles Tendinopathy<br /></span></b><b><span style="font-size: large;">A Randomized Clinical Trial</span></b></p><p>Rebecca S. Kearney, PhD; Chen Ji, PhD; Jane Warwick, PhD; et al</p><p>JAMA. 2021;326(2):137-144. doi:10.1001/jama.2021.6986<br /><br />・3ヶ月以上続くアキレス腱中央部の痛みを持つ成人において、多血小板血漿の単回注入PRPは、治療後6ヶ月のプラセボ注入と比較してより良い機能をもたらすかを調査<br />・アキレス腱の中間部に疼痛を有する240名の参加者を調査し、6ヶ月後の平均は54.4 vs 53.4で統計的に有意ではなかった<br />・多血小板血漿の単回注入は、プラセボの注入と比較してアキレス腱の機能障害を有意に減少させることはなかった。<br /><br />無料なので詳細はお読みください。アキレス腱へのPRPは大きな効果が無さそうです。効果があったという人は、何もしないでも同じレベルまでは回復した可能性が高いということで。</p><p><br /></p><p><span style="background-color: white; font-size: 15px; white-space: pre-wrap;"><a href="https://twitter.com/Seth0Neill/status/1501863247070195712?s=20&t=r5pxf6FobA226ia_sTbjBQ">https://twitter.com/Seth0Neill/status/1501863247070195712?s=20&t=r5pxf6FobA226ia_sTbjBQ</a></span></p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-87971917088088751342022-02-05T15:00:00.001+09:002022-02-05T16:55:45.456+09:00スクワット後の回復への介入、冷却と着圧タイツの利用が若年男性と高齢男性へ与える影響<b>Recovery From Eccentric Squat Exercise in Resistance-Trained Young and Master Athletes With Similar Maximum Strength: Combining Cold Water Immersion and Compression</b><div><a href="https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphys.2021.665204/full">https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphys.2021.665204/full</a></div><div style="text-align: left;"><div style="text-align: right;">Julian Schmidt et.al Front. Physiol September 2021</div><br /><div>・異なる年齢層の個人における筋力トレーニング後の回復とそれへの介入効果を調査</div><div>・同程度のパフォーマンスをする若年者と高齢者で、スクワットからの疲労と回復の時間経過と回復への介入の効果を比較</div><div>・仮説として高齢者は回復が遅く、運動による筋疲労の後、外部から適用する回復への介入の効果がより高い可能性があると考えて実験を実施</div><div>・若いアスリート8名(22.1±2.1歳)とマスターアスリート8名(52.4±3.5歳)の二群で、ハーフスクワットの1RMが個人体重の120%以上であること、過去1年間で週に2回以上のレジスタンストレーニングを行っていることが被験者の条件</div><div>・ガイドバーベル付きのスミスマシンを用いてスクワット(膝の角度が90°)を実施</div><div>・プロトコルは8回を9セットで最終セットはmomentary muscular failure、1RMの70%の強度で運動不能になるまで実施。ケイデンスはエキセントリック(しゃがむ)に4秒、コンセントリック(立ち上がる)に2秒、全10セットの総運動時間は約480秒、セット間の休憩時間は3分とした(Raederら、2016より)</div><div>・回復への介入は全身の浸水(CWI)による冷却の直後にコンプレッションタイツを着用。CWIは15分間で浴槽に座ったまま頭と首を除く全身を冷却。水温は12±1℃を維持。これは最近のレビューでCWIは水温11~15℃、浸漬時間11~15分で筋肉痛に対して最も効果が得られるとされているから(Machado et al.、2016)</div><div>・2分ごとに脚で円運動を行うよう指示。着圧タイツ(medi GmbH & Co. KG, Bayreuth, Germany)は、上下の脚の周径に基づいて参加者に個別に調整(平均圧力は18~21mmHg)、CWI後48時間着用運動後12~24時間で最も効果があるというBornら2013年を受けて。測定時とシャワーを浴びる時には着用していない</div><div><br /></div><div>結果・考察</div><div>・筆者らが仮説とした「マスターアスリートは若いアスリートよりも高い疲労レベルに達する、回復が遅い」ということは観察されなかった。これが生じた原因にはマスターアスリートは傷害のリスクと回復の必要性を予測しながら、慎重に身を守るように最終セットに入ったことが挙げられるが、最終的な評価は困難である。</div><div>・もう一つの仮説として、CWIとコンプレッションタイツを併用し長期間使用することで、浮腫の改善や運動による二次的な筋損傷や筋肉痛の感覚の減少、筋代謝物のクリアランスの改善、運動後の副交感神経活動の増加により運動後の回復を改善できると考えていたが、本研究では、パフォーマンスの回復や疲労と回復の筋収縮マーカーに対するMMRの効果はないことが明らかになった。回復への介入の後に筋肉痛の改善は認められたものの、クレアチンキナーゼ(CK)活性の回復を有意に改善することはなかった</div><div>・3人の参加者だけが回復への介入から利益を得る可能性が高いが、その他は、一貫性のない反応を示した。パフォーマンスの回復に対する回復介入の効果は、若いアスリートでより頻繁に観察される傾向があった。運動誘発疲労が複雑であり、個々の身体システムで異なる効果を引き起こす可能性があるが、睡眠、心理的ストレス、習慣的な身体活動、食事摂取なども重要な要因であり、本研究では食事摂取量のみを標準化し管理した</div><div>・回復介入の効果は年齢より個人の嗜好や信念によって異なる可能性があると推測される(Roelands and Hurst, 2020)</div><div>・どちらの年齢層においても複数の参加者が主観的な疲労感においてはポジティブな反応を示したが、パフォーマンスにおいてポジティブな影響を与えたのは一人だけであった。別の一人は感覚は良くないと答えたが良いパフォーマンスを示した。したがって、一般的な運動後の回復は、年齢に関係なく個人差があることを考慮する必要がある。しかし、個人の感覚だけを考慮することは、パフォーマンスや筋機能の回復に関して誤解を招く恐れがある</div><div>・長期的な回復への介入はトレーニング特異的適応が減衰する可能性がある、トレーニング適応の悪化の可能性と短期的な回復効果の有益性のバランスをどのようにとるかが議論されている。Fröhlichら(2014)、Robertsら(2015)、Poppendieckら(2020)が、筋力トレーニング後のCWIの使用は筋量と筋力の長期的な上昇を抑制することを示しているが、その影響はかなり小さいと考える</div><div>・本研究では運動後の回復に生理的な影響を及ぼさなかったと言えそうである</div><div>・研究デザインの限界としてサンプルサイズがあり、マスターアスリートが基準を満たすことは困難であった。最大強度のレベルが同等であり身体組成が似ているにもかかわらず、パワーにおいて明らかに異なっていた。高齢のアスリートにおいて垂直跳びのパフォーマンスと伸筋力が有意に低いことやテストステロンの基礎分泌量が低かった。よってパフォーマンスの完全なマッチングは実現しなかったと考えられる</div><div><br /></div><div><br /></div><div>マスターアスリートは若いアスリートよりも疲労レベルが高くなることも、回復が遅くなることもないというのは面白いなと思う一方で、やはり自らダメージを抑制するようなトレーニングを無意識に選択をしている可能性がありそうですね。高齢者に顕著なだけで若い人でもやっていそうですし、それが故障を少なくできる人なのでは、と思います。そして疲労感が無いことがパフォーマンスの向上につながるかと言えばそんなこともなく、むしろこのズレが生じてしまうことによって故障のリスクも高まるのでは、という気がしました。良いトレーニングだと感じる、良い回復方法だと感じるのは個人差があり、やはり自分にはこれが効果的である!!と信じられるものを持っている人が強い、という具合ですね。プラセボ効果は大きいと言われますし、フィーリングが良いものを探すのはありでしょう。まぁ何をやっても疲労の回復を促進しないとなってくると、食事や睡眠に費やす、練習内容をもっと考えるというのが大事かなと思います。</div></div>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-74623434936896575912021-11-27T11:12:00.004+09:002021-11-27T11:12:43.945+09:00マスクを着用しての運動は無着用の時と負荷は変わらない<b>Effect of Wearing Surgical Face Masks During Exercise: Does Intensity Matter?</b><br />Eric Tsz-Chun Poon Front. Physiol., 26 November 2021 | <a href="https://doi.org/10.3389/fphys.2021.775750">https://doi.org/10.3389/fphys.2021.775750</a><div><br /></div><div>コロナ下においてマスクを着用して運動すると負荷が高くなるのかという議論が多く起こり、実際に研究も行われて負荷が高くなるというデータが出てきたが、これらに関しての疑問から</div><div>条件を変えて実験を実行。</div><div><br /></div><div>・マスク着用時には強度が最大酸素摂取量の75%以上に達するとキツさを感じるようになるが、生理的な負担の違いは観察されなかった</div><div>・肺、循環系、免疫系などの生理系に重大なリスクと負担を与える可能性があるという、Chandrasekaran and Fernandes, 2020の指摘などがあるが、こうした実験はマスクを着用した上に呼気ガス測定用のマスク(ガスマスクのようなやつですね)を着用しており、空気の循環がより低下して負担が大きくなっていたと考えられる</div><div>・Shawら(2020)では疲労困憊するまでの自転車でのテストにおいては、動脈血酸素飽和度や心拍数HRに関して、ピーク時のパフォーマンスとの相対的な関係においてマスクをしている場合としていない場合で差がないことを示されている</div><div>・マスクを装着した被験者は暑さや湿気を感じたり、呼吸に抵抗を感じたりするなどの不快感を訴え、これにより最大努力をすることが難しくなり、運動強度が増すにつれて疲労が早くなる可能性がある(Driverら、2021)</div><div><br /></div><div>不快感は運動の制限要因となるということが言える論文ですね。顔にマスクが密着することで空気が吸い込めないように感じるけれども、実際には不快感の方が制限要因として大きいかもしれないわけで、これはトレーニングをしている時の環境が良い、ストレスなくできるというのが大事ということにつながる話かもしれません。酸素が吸える量が少なくなるなども言われてきましたが、そんなことは特に無いというのも明確になりましたので、軽い負荷の運動であるならば、マスクをしても特に問題はなさそうです。ただ、不快感が高くなる場合は別なので、夏場などはやはりマスク無しが良さそうです。冬場は寒さ対策として活用しても効果的かもしれませんね。軽い負荷の場合は呼吸に悪影響は特になさそうなので。</div>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-38486845177874475732021-10-16T17:59:00.003+09:002021-10-16T17:59:53.172+09:00代謝の支点となる乳酸<p>Lactate as a fulcrum of metabolism<br />https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2213231720300422<br /><span class="content"><span class="text given-name">George A.</span><span class="text surname">Brooks</span></span> Redox Biology Volume 35, August 2020<br /><br />・人間の心臓では、エネルギー源としてグルコースや脂肪酸よりも乳酸が好まれる<br />・脳においてもグルコースよりも好まれる<br />・神経細胞はグルコースの取り込みと乳酸の生成に必要な細胞成分を持っていて、細胞内乳酸シャトルによって動脈に直接乳酸を取り込み、利用することができる(74)<br />・解糖系による乳酸の生成が酸素不足時にのみ生じる考え方には実験的な裏付けがない<br />・完全な好気性条件下では、グルコースとグリコーゲンの異化が乳酸生成に進むというエビデンスがある(7,39,136,139)<br />・筋収縮が細胞の酸化還元に及ぼす以外に、L-乳酸は、酵素的および非酵素的に触媒される反応によって、活性酸素種(ROS)の細胞産生に影響を与える(ミトコンドリア呼吸の結果として活性酸素が生成される)<br />・ミトコンドリアの呼吸の主なエネルギー源は乳酸である<br />・乳酸は血管内皮成長因子(VEGF)、インターロイキン-1(IL-1)、TGF-βの放出を促して血管新生と創傷治癒を促進するという好ましい結果が得られている(88)<br />・定期的な運動によりミトコンドリア質量が2倍になる可能性がある(42,82,94,137)<br />・ミトコンドリアタンパク質発現の増加のためのシグナル<br />・ミトコンドリア生合成の転写制御としてカルシウムイオン (119),AMP活性化プロテインキナーゼ (AMPK) (101,167])、サーチュイン1 (Sirt1) (46),低酸素誘導因子-1α (HIF-1α) (152)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター-1α (PGC-1α) (72)がある。PGC-1αがマスターレギュレーターとされる<br />・ミトコンドリア生合成の下流の調節因子はNRF-1およびNRF-2、ミトコンドリア転写因子A(TFAM)(117)がある。これらに共通するのは、ATPのホメオスタシスが損なわれているという状況である<br />・乳酸にさらされると活性酸素が増加し、活性酸素やカルシウムイオンに反応することが知られている673の遺伝子が上昇<br />・乳酸は、脂肪酸の動員と酸化を阻害して制御する<br />・乳酸が脂肪酸を抑制するメカニズムは、乳酸が受容体結合を介して脂肪の脂肪分解を抑制すること(1,33,59,99)<br />・pHやナトリウムイオンとは無関係に、乳酸がヒドロキシカルボン酸受容体1(HCAR-1)の活性化を介して、脂肪細胞における脂肪分解を抑制する<br />・筋収縮時に解糖が促進されると、乳酸とピルビン酸の濃度が上昇し、ピルビン酸よりも乳酸への影響が相対的に大きくなる<br />・筋活動によりモノカルボン酸がミトコンドリアに取り込まれるとアセチル-CoAが生成され、それによってマロニル-CoAが生成されCPT1を阻害し、活性化された遊離脂肪酸がミトコンドリアマトリックスに侵入するのを抑制する(107,142)<br /><br /><br />トレーニング関連で個人的に気になる点をピックアップしただけですので、興味がある方は全文を読むことをオススメいたします。非常に興味深く読める内容でした。2000年代に乳酸が疲労物質ではなさそうであるという流れが進んできていますが、現実的にはまだそれを理解していない人も多く臨床の場などでは高い乳酸値が問題であると捉えてしまっているが、機能を改善するためには乳酸が高値になることが良い影響を与えている可能性なども指摘されてきています。ケガの回復に乳酸が役割を果たしているということですね。あとは持久的な運動をする時には乳酸が出ることが大事なのは引き続きですし、パワー系のトレーニングにおいても重要でしょう。腸脳の話ではまだ明確なものが多くは無いですが、今後さらにデータが出てくることが期待されます。あとは文中にも載せましたが、ミトコンドリアの呼吸による活性酸素が遺伝子発現において大事な役割を果たしているので、そこも意識して抗酸化作用のある食品、サプリの摂取を行うことも大事でしょう。</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-18804203135850558522021-09-12T16:04:00.001+09:002021-09-12T16:04:56.160+09:00インスリン様成長因子とパフォーマンスの関連<p><a href="https://journals.lww.com/nsca-jscr/Fulltext/2021/09000/Insulin_like_Growth_Factor_Axis_Genetic_Score_and.9.aspx"> Insulin-like Growth Factor Axis Genetic Score and Sports Excellence</a><br />Ben-Zaken et.al <br />Journal of Strength and Conditioning Research: September 2021<br /><br /> 運動能力を向上させる可能性のある遺伝子を特定することは非常に難しく、将来のスポーツ選手の成功を予測するというのは推測の域を出ていない。プロスポーツ選手の遺伝子と運動能力に関する報告のほとんどが、IGF1の変動に焦点を当てていた。インスリン様成長因子(IGF)は筋肉の成長、分化、および機能に重要な役割を果たしており、高いIGF1レベルは短距離走に有利であり、エリートパフォーマンスに関係する可能性が示唆される。ランナーとは対照的に、IGF多型は水泳のパフォーマンスとは関連していなかった。<br />本研究では、イスラエルのエリートランナーと水泳選手を対象に、遺伝子スコアの高低を調査した。<br /> 優れた能力を発揮するには遺伝的要因が必要であることはよく知られているが、環境と遺伝との関係や相互作用から生じる様々な要因があることも知られている。パフォーマンスのばらつきに関連する遺伝子を特定しようとする場合、成功にわずかしか貢献しないことも理解しておく必要がある。エリートアスリートを見分けるために遺伝子スコアツールが開発されているが、これまでの研究では循環型IGF-Iもフィットネスと相関することが示されている。IGF遺伝子スコアは、国内レベルの陸上競技選手とトップレベルの陸上競技選手(国際大会、世界選手権、欧州選手権、オリンピックの優勝者)で比較。ランナーとは対照的に、IGF多型は水泳のパフォーマンス向上と関連していなかったため、ランナーと水泳選手の間で、IGF1遺伝子スコアを比較した。<br /><br />・イスラエルのスポーツ選手では、対照群に比べてTT遺伝子型の頻度が高いことが示されました(4.8%)。TT多型保有者は持久系とパワー系の両方のアスリートであったが、持久系アスリートは国内レベルの選手であり、パワー系アスリートは国際大会やオリンピックのトップレベルの選手であった<br />・典型的なパワースポーツの中でも、IGF1多型はストレングス競技よりもむしろスピードスポーツ競技に重要である<br />・IGF2(rs680)GG遺伝子型は、重量挙げ選手と比較してスプリンターで有意に高く、スピードスポーツには有益だが、ストレングススポーツには有益ではないことが示唆される。IGF2(rs680)多型がスピードパフォーマンスに及ぼす可能性のある有益な影響は、必ずしも循環IGF2への影響からではなく、IGF1レベルへの影響を介している可能性がある<br />・MSTN(ミオスタチン)遺伝子は骨格筋細胞にほぼ独占的に発現しており、循環IGF1レベルの抑制効果を介して筋成長の負の制御因子として機能している<br /><br />・ランニングと水泳は、生理学的・代謝的特性が似ているが異なる遺伝子多型を持っている可能性がある。特定のIGF1多型は、陸上の短距離系の種目に有利であると考えられ、特定のIGF軸遺伝子スコアは、トップレベルの短距離走者と国内レベルの短距離走者を区別する可能性がある<br /><br />興味深い点としてはトップ選手であれば必ず高いIGFを誇るわけではなく、競技に応じて違いがあるというところですね。水泳と陸上競技では持久力という観点などで似ていると言われたりするわけですが、遺伝子的な面では異なっているかもと考えられるのであると、これまでに様々な研究で行われている持久力の測定といったものも分けて考える必要があるのでは、と思いました。水泳における持久力が高い選手、陸上競技における持久力が高い選手は異なると考えられるのであれば、水泳選手の走ったり自転車によるトレーニングでは効果が出にくい選手もいるのでは、といった感じです。</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-4147345191516940382021-07-24T07:00:00.001+09:002021-08-13T14:18:54.490+09:00健康な若年男性のレジスタンストレーニングによる骨格筋肥大には筋アンドロゲン受容体の含有量が関係<p><a href="https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphys.2018.01373/full">Muscle Androgen Receptor Content but Not Systemic Hormones Is Associated With Resistance Training-Induced Skeletal Muscle Hypertrophy in Healthy, Young Men</a><br />Robert W. Morton et.al<br />Front. Physiol., 09 October 2018<br /><br />・骨格筋肥大には個人差が大きい。運動後の循環している同化ホルモン(T、GH、IGF-1など)の上昇がレジスタンストレーニングによる骨格筋肥大を決定すると考えられている(Kraemerら、2017;Mangineら、2017)<br />・しかし、筋タンパク質合成量の増加(Westら、2009年)と肥大化(Westら、2010年、WestとPhillips、2012年、Mitchellら、2013年、Mortonら、2016年、Mobleyら、2018年)において、このようなホルモンが因果関係を持つかは疑わしい<br />・レジスタンストレーニングによる筋肉内アンドロゲン受容体量の増加は筋肥大と有意に相関している(Ahtiainenら、2011;Mitchellら、2013)ので、筋肉内アンドロゲンや受容体の増加が重要であると考えられる。<br />・被験者は49名平均23歳身長186cm±6、体重86kg±5で12週間のトレーニングを実施<br />・筋肉内アンドロゲン受容体量は介入前と介入後で変化がなかった<br />・高反応者と低反応者の間では筋横断面積と徐脂肪体重に有意な変化の差が見られた<br />考察<br />・高反応者は低反応者に比べて、12週間後に5αリダクターゼ含量が増加、アンドロゲン受容体含量が有意に高い(トレーニング前後での変化はない)ことから、骨格筋の肥大には全身性ホルモンと局所性ホルモンのどちらも影響しないと考える。骨格筋肥大の大きさは、筋肉内のアンドロゲン受容体の含有量やその他の筋肉内の変数によって調節されると考える<br />・アンドロゲン受容体の相関関係については、トレーニングに対する反応が高かった人と低かった人のみを測定するという選択をした値である<br /><br /><br />アンドロゲン受容体を狙ったドーピングがここ5年ほどで時代になっていまして、テストステロンなどのホルモンはやはり関係はあまり大きくなさそうであると指摘されています。一方で陸上競技においてはテストステロンの値が高いとパフォーマンスが高いというデータがあるため、女子選手は基準値を超えている場合は薬物を用いて数値を下げないことには400mや800mなどに出場することができないというルールも存在しています。この辺りは研究が追い付いていない、解析がおかしいのではという指摘も当然ながら存在しています。なかなか難しいところではありますが、取り合えずはアンドロゲン受容体を増やすようなことを狙った方が明らかに筋肥大の効果は出ると期待される、と言えるかと思います。</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-49519500224604861262021-07-22T09:00:00.000+09:002021-07-26T13:13:09.686+09:00運動時および回復時のグリコーゲンの貯蔵量と骨格筋のタンパク質の合成、分解<b><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20489032">Effect of glycogen availability on human skeletal muscle protein turnover during exercise and recovery</a></b><br /> <br /> Howarth KR, Phillips SM, MacDonald MJ, Richards D, Moreau NA, Gibala MJ.<br /> <br /> J Appl Physiol (1985). 2010 Aug;109(2):431-8. <br />
<br /><br />
<br />・運動により炭水化物の利用率が低下するとタンパク質の分解とアミノ酸の酸化が促進されることが示唆されている<br /><a href="https://journals.physiology.org/doi/abs/10.1152/jappl.1980.48.4.624">Effect of initial muscle glycogen levels on protein catabolism during exercise</a><br />
<br />・被験者は平均年齢24±1歳、体重80±5kgの健康な適度に運動をしている男性6名<br /><br />・自転車運動によって糖を枯渇させ両脚での膝伸展運動を実施<br /><br />・低炭水化物条件では高炭水化物条件に比べて運動の後半にタンパク質の分解が増加し、合成が減少(運動の後半、炭水化物がより減ってくることで合成が減ることで、より分解が増したと考えられる)<div>・炭水化物の利用可能性は長時間の運動中のタンパク質合成率に影響を与える<br /><br />・低炭水化物群は実験前の摂取カロリー条件を整えるためタンパク質摂取が多めとなっていたので、ロイシンの酸化が多かったと考えられるかもしれない<br /><br />筋肉を増やすことが目的である場合、炭水化物が減った状態でのトレーニングは好ましくないということですね。特に長時間運動をする場合は、運動中に糖質の補給をすることでタンパク質の分解を減らしていくことが大事になると考えられます。マラソンなどに向けてしっかりと走り込んで脚を作るということをしたいのであれば、運動前の炭水化物の補給、運動中の炭水化物の補給をしっかりと行うことが大事であろうと思われます</div>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-18967948942909217532021-07-21T06:00:00.005+09:002021-07-21T16:35:49.382+09:00タンパク質摂取のメタアナリシス(2018年)<b>A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults</b><br /><br />Robert W Morton et.al <br />British Journal of Sports Medicine 2018;52:376-384<br /><br />・食事でのタンパク質の摂取がレジスタンストレーニングによる1RMと徐脂肪体重の増加を大きくさせる(年齢が高くなるにつれて効果が減少する)<br /><br />・タンパク質の総摂取量と徐脂肪体重の変化に関して、タンパク質の補給はレジスタンストレーニングを行っている人でより効果的でありるが、1.6g/kg/日を超えても増加しなかった<br /><br /><div>・1RMは2.49kgほどタンパク質摂取群の方が高い(9%ほど高い)程度なので、1RMの向上を狙うパワーリフティングやウエイトリフティングなどの選手で無ければ、タンパク質の摂取よりもトレーニングをもっと考慮した方が効果的であると考えられる<br /><br />・タンパク質の補給は、徐脂肪体重の増加を0.30kg(27%)、横断面積を310μm2(38%)、大腿骨中央部横断面積を7.2mm2(14%)増大させた<br /><br />・運動後のタンパク質投与量は、レジスタンストレーニングによる徐脂肪体重の変化に影響しなかった。レジスタンストレーニングをしている人は、<a href="https://www.blogger.com/#">筋肉の成長の可能性が小さく</a>、<a href="https://www.blogger.com/#">運動後の筋タンパク質の代謝が弱く</a>、筋肉量の増加を見るためのタンパク質補給の必要性が高いのではないかと推測している<br /><br />・高齢者は同化への抵抗性があり若い参加者と比較して、より多くのタンパク質量を必要とする。レジスタンストレーニングによる筋横断面積の変化に年齢は影響しなかったが、徐脂肪体重の変化に年齢が負の影響を与えたことから、高齢者が徐脂肪体重を増加させるためには、より多くのタンパク質を摂取する必要性が高まると推測される<br /><br />・<a href="https://www.blogger.com/#">タンパク質摂取量(g/kg/day)が多くなるとレジスタンストレーニングによる徐脂肪体重の増加にプラスの影響を与えるという理論がある</a>が、これは高齢者を対象とした研究において、ベースラインのタンパク質摂取量の平均値および1日のタンパク質摂取量の平均値が低かったことに起因していると考えられる。調整なしのメタ回帰分析では、若年者のベースラインのタンパク質摂取量が多いほど、実際には徐脂肪体重の変化が抑制された<br /><br />・レジスタンストレーニングによる徐脂肪体重の増加を最大化したい人には、約2.2gのタンパク質/kg/日を推奨するのが賢明かもしれない(このアプローチには限界があるが、合理的な証拠と理論に基づいている)<br /><br />・タンパク質補給の詳細(タイミング、運動後のタンパク質投与量またはタンパク質源など)は、レジスタンストレーニングによる数週間のF徐脂肪体重や筋力の増加ほとんど影響していない。むしろ、若い人たちは、1日あたりのタンパク質摂取量が1.6g/kg/日程度、0.25g/kg程度に分割して摂取することがレジスタンストレーニングの効果により大きな影響を与える<br /><br />・レジスタンストレーニングの実施が大きな影響を与える<br /><br />2018年のものですが、いろいろと言われている内容を3年前の段階ではしっかりと示しております。そこからまた新たな知見なども出てきてはいますが、大事なことはしっかりとトレーニングをしろ、朝昼晩の三回の食事で体重60㎏の人なら1回につき15gのタンパク質を必ず摂取しろ、三食にプラスして50gほど摂取しろ、ということですね。結局のところ、トレーニング後はある程度の時間が経っているから摂取するタイミングとしては理想的である、という感じなのではないでしょうか。あとは話をする機会がある時には触れている、摂取しすぎてもダメという点もお忘れなく、と。人によっては摂取量を増やすことで効果が出ている人もいるので2.2g程度でも良いのではというのがありますが、ダメな人はその摂取しすぎによって逆効果が出ている可能性もありますので、摂り過ぎを注意するということをやってみるのもありかと思います。とにもかくにも、トレーニングによる刺激の方が効果的であり、タンパク質の摂取による筋肥大の刺激~なんていうのは気にする必要はそんなに無いよ、ということは言えるかと思います。ただ、触れられているようにウエイトリフティングやパワーリフティングの選手などはキッチリと意識して10%程度のプラスを取りにいかないとダメということで。そうではない、1RMの向上よりも大事なことがある人は、タンパク質の摂取を考えるよりも練習をもっと考えろ、ということは言えるかと思います。</div>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-28426695492302013162021-07-20T12:00:00.001+09:002021-07-21T16:34:09.643+09:00給水不足な状態で暑い中での運動を開始した時の体温調整に関する男女差<p><a href="https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.14814/phy2.14947">Sex difference in initial thermoregulatory response to dehydrated exercise in the heat </a><br />Gabrielle E. W. Giersch 2021 - Physiological Reports<br /><br />・脱水の影響と生殖ホルモンの状態(生物学的性別も)の影響が、暑い中での運動時の体温調節に影響するのかという点は現在のところ明らかになっていない。<br /><br />・水分を補給した状態で暑い中で運動する際の男女の体温調節の違いは、体格や形態の違いに起因するとされている。(Gagnon & Kenny, 2012; Jay, 2014; Shapiro et al., 1980)。<br /><br />・運動強度を相対的な最大酸素摂取量(VO2max; Gagnon et al., 2009)に基づいて決定した場合、体格が体温調節反応の違いを説明することが示されてきた。しかし、熱産生に基づいて運動強度を規定した研究(Gagnonら、2008、2009;Gagnon & Kenny、2012)では、女性は主に性ホルモン濃度が周期の中で最も低い時期であるMC(月経周期)の初期である卵胞期に調査されてきた(Owen、1975)ので、エストラジオールやプロゲステロンが男女間の違いに与える影響を評価することができない<br /><br />・女性ホルモンはMCを通して大きく変動し、体温調節機能に定量的な影響を与える(Charkoudian & Stachenfeld, 2014, 2016; Kolka & Stephenson, 1989, 1997a, 1997b; Owen, 1975)<br />女性は、卵胞期初期に比べて黄体期中期には、安静時、運動時、運動後のTre(直腸温)が増加する(Carpenter & Nunneley, 1988; Giersch, Morrissey, et al., 2020; Kolka & Stephenson, 1997b; Kuwahara et al., 2005; Lei et al., 2017)<br /><br />・Treの増加は、プロゲステロン濃度の上昇によるものと考えられる(Charkoudian & Stachenfeld, 2016; Kolka & Stephenson, 1997b)<br /><br />・ホルモンの影響があるので女性は男性と比べて暑さに対して反応が異なる可能性がある。しかし、このような疑問は、水分補給の状態を変化させた場合に関しては、解決されていない(Sawka et al., 1998)。<br /><br />・性、生殖ホルモン、水分補給の状態によって、暑中での運動に対する体温調節反応が変化する可能性はあるが、メカニズムは十分に解明されていない。この研究では健康な若年男女を対象に、暑熱時の運動に対する体温調節反応に対する性の影響が、水分補給状態によって変化し、さらに生理周期によっても変化するかどうかを評価することを目的とした。<br /><br />・女性では脱水に伴う運動中の体温上昇が、MC期とは無関係に悪化するという仮説を立てた。<br /><br />・被験者は健康な20歳前後の男性12名と女性7名<br /><br />・VO2maxの30%、40%、50%、60%、70%、80%の速度でそれぞれ4分、24分間の運動を実施。地形や風の抵抗を考慮してトレッドミルで2%の勾配をつけた。環境は~33°Cで相対湿度50%<br /><br />・運動試験の直前に24時間の水分制限を実施。運動前の24時間は水分を摂取せず,水分含有量の少ない食品を摂取するよう指示<br /><br />・運動前の脱水刺激として24時間の水分制限をしたのは、水分摂取量が少ない人や前日に脱水症状を伴う運動をして十分に回復しなかった人と同様の低レベルの脱水症状にするため(Cheuvront & Kenefick, 2014)<br /><br />・比較的軽度の脱水状態であっても、女性は男性よりも暑い中での運動開始時のTreの上昇をより高める<br /><br />・ホルモン状態による体温調節反応の違いは確認できなかった<br /><br />・水分補給の状態は男女ともに発汗量に影響を与える。女性でも脱水は体温調節反応を損なうことが示唆された<br /><br /><br />雑感<br />運動する前にしっかりと水分摂取を実施してとは言うものの、前日の運動後に十分な給水ができていない場合というのはそれなりにあり、どうして調子が悪いのかとなったら給水不足というのはよくあることかと思われます。オシッコの色がほんのりと黄色い状態になるくらいまでの摂取が必要ですが、飲んでから体内で給水されて反映されるまでにもそれなりの時間を要しますし、運動後の喉の渇きに比べると、数時間も経ってしまうと水分を摂ろうという意識は減ってしまいます。そうした状態での運動において、女性は直腸温が上がりやすくなるので、パフォーマンスがすぐに落ちてしまう可能性が高い、ということですね。もちろん、給水が不十分な状態での運動は好ましくないわけですが、気づかずに運動を開始した場合に今日は何か動きが悪いなと思ったら、脱水の可能性も疑いましょうね、というのが言えるかと思います。生理周期での違いは特に無いようなので、しっかりと運動後や日常における給水を実施して、万全な状態で練習ができるようにすれば良さそう、ということで。</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-68465514281674985692021-06-12T12:53:00.004+09:002021-07-21T16:36:29.568+09:00高負荷なトレーニング後はミトコンドリアの呼吸が減少する<p></p><div><div style="box-sizing: border-box; color: #1f1f1f; font-family: Muli, sans-serif; font-size: 14px;"></div></div><b>Short term intensified training temporarily impairs mitochondrial respiratory capacity in elite endurance athletes</b><br /><br /><a href="https://www.blogger.com/#">https://journals.physiology.org/doi/abs/10.1152/japplphysiol.00829.2020</a>Journal of Applied Physiology 10 JUN 2021<br />Daniele A. Cardinale et.al<div>27人のエリートの持久的な種目の選手に適度なトレーニングを3日の後に高負荷なインターバルトレーニングを4週間続けて実施した。ミトコンドリアの呼吸量は20%ほど減少した。ミトコンドリアの密度は増加していることから、機能が減少していると考えられる。そしてアコニターゼの不活性化が確認された。</div><div><br /></div><div>そのうち本文はしっかりと読むとして、ミトコンドリアの機能が低下するというのは経験や他の論文などからも予想していた通り。気になる点はアコニターゼの不活性化。クエン酸回路の機能が弱まるという点や鉄イオン濃度の調整がうまくいかなくなるという点。追い込んだ練習はあまりやり過ぎても意味が無いというのをまた裏付けるデータかなと言えるかと思います。</div>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-21814424603873437872021-04-01T12:00:00.006+09:002021-04-07T08:30:49.311+09:00朝食を食べないことは夕方のトレーニングのパフォーマンスに悪影響<p><span class="NLM_article-title hlFld-title"><b>Omission of a
carbohydrate-rich breakfast impairs evening endurance exercise
performance despite complete dietary compensation at lunch</b><br /></span><span class="NLM_contrib-group"><span class="contribDegrees corresponding">Richard S. Metcalfe<span class="overlay"></span><span class="orcid-icon orcid-margin"></span>, </span><span class="contribDegrees"> Matthew Thomas , </span><span class="contribDegrees"> Christopher Lamb & </span><span class="contribDegrees"> Enhad A. Chowdhury<span class="orcid-icon orcid-margin"></span></span></span></p><p><span class="journal-heading">European Journal of Sport Science</span> <br />Accepted author version posted online: 16 Jul 2020, Published online: 27 Aug 2020<br /><br />朝食で炭水化物を多く含む食事をせずに昼に自由に食べると夕方のパフォーマンスが下がるのが分かっているので、朝食を摂取しなかった場合を実験してみたもの。<br />・被験者はトレーニングをしている自転車選手。<br />・朝食と昼食、昼食だけのグループに分けて両者のカロリーやタンパク質などを統一。<br />・結果、朝食を抜いた群は夕方の20㎞トライアルで3%ほど平均出力が低かった<br />・トライアル開始時から明らかに出力は低下<br />・しかし、この差は心理的な要因の可能性が高い<br />・問題点は前日の食事管理をしていない、朝食を食べる習慣がある人を被験者にしたこと<br /><br />細かい点は無料で読めるのでお読みください。<br />取りあえず言えそうな事は、朝食をしっかりと食べることは大事である。これですね。かねてから説明している通りですが、学生の皆様は夏休みなどの長期休業以外では、土日を除いて夕方に練習をすることがほとんどだと思われますので、しっかりと朝食を摂取することでパフォーマンスをしっかりと発揮できる、質の高いトレーニングができる状態を作って臨みましょう。そして食事は<b>翌日のトレーニングを万全に行うためにも、素早くエネルギーや身体を回復させるためにも、練習直後の意識は当然ながら、練習中から次の練習への回復を始める意識をもっと持つべき</b>だろうな、と思います。あとは心理的な要因についても触れられているように、ルーティン化している作業が途切れることでパフォーマンスが落ちてしまった可能性もあるので、自分の置かれた状態で100%を発揮すればよいだけ、という開き直るメンタルの強さを持てるようになるのも大事なのかな、と思います。<br /><span class="NLM_article-title hlFld-title"></span></p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-32839585442061608462021-02-25T09:19:00.004+09:002021-02-25T09:19:59.505+09:00セット間は長い方が筋肥大には効果的<p><b>Short inter-set rest blunts resistance exercise-induced increases in myofibrillar protein synthesis and intracellular signalling in young males</b><br /><a href="https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27126459/">https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27126459/</a><br />James McKendry et.al, <br />Exp Physiol . 2016 Jul 1;101(7):866-82. doi: 10.1113/EP085647. <span class="secondary-date"></span></p><p>レジスタンストレーニングにおいて1分と5分のrestではどちらが筋肉の合成に効果的かを調べたもの。<br />1年以上に渡り週に1回以上の下半身のレジスタンストレーニングを実施している若い男性を被験者とした。1RMび75%の負荷で1秒間のレッグプレスとニーエクステンションを4setずつ実施して疲労が確認されたら1分または5分のrestを導入。<br /><br /> 結果、1分間のrestによるトレーニングは回復初期の筋タンパク合成を減衰させた。一方でテストステロンの数値は上がっていた。運動により生じるテストステロン値の上昇や成長ホルモンの分泌が筋タンパク合成と関連しないデータは増えている(West et al. 2009; West & Phillips, 2012; Mitchell et al. 2013)。循環内と筋肉内のテストステロン値は関連性が低い可能性はあること、アンドロゲン受容体が作られることが筋肥大に重要な役割を果たしている可能性を考えるべき(Bamman et al. 2001; Mitchell et al. 2013)。<br />運動後の筋タンパク合成の上昇は長期的な筋肥大を予測するのには役立たない(Mitchell et al. 2014)という近年の論文からして、<br /><br />以下略<br /><br />細かいことは無料で読めるので後はご確認ください。トレーニング初期にはエネルギーの必要性が高くて持久的な要素を伸ばすことが大事、その結果としてパワーも自然と上がるという話を最近しておりますが、こういった背景があるわけで。当然ながら、rest時間を長くして回数を増やす事による影響というものも考えられますが、それによって刺激に慣れてしまい伸びが弱まるということも起こります。ですので、トレーニング刺激は様々なものを入れるのが大事である、となるかと思います。筋肉を収縮させることそのものが肥大の刺激である、という考えも大事ですから。</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-582322496748888050.post-36309626896580040422021-02-13T14:11:00.009+09:002021-02-13T16:27:49.018+09:00第17回乳酸研究会(オンライン開催)<p> ●短時間で実施可能なアスリート向けの低酸素トレーニング方法<br />~living low-training low+training highという発想~ <br />山本正嘉(鹿屋体育大学)</p><p>・自転車選手は最大運動、陸上競技の長距離選手は150bmp程度での運動を実施、どちらも乳酸値の変動に大きな効果。主観的なキツさが低下しやすい<br />・高所トレーニング単独の効果ではなく、普段のトレーニングの中に組み込むことでトレーニング効果を高めるのがよいのでは<br />・個人に応じて身体応答が大きく変化するので、最適な負荷をかけるのが大事<br />・科学の作法に則した研究のやり方ではアスリートレベルのトレーニングに追い付かないので、事例研究として蓄積してヒントとしていくのが大事</p><p>八田先生の質問「体内での使い方の変化が起こった、効率に使えるようになったのでは?」<br /></p><p>感想としましては、食事の摂取に応じて酸素摂取量も乳酸値も変動するので、疲労によって食事摂取が変動することで数値は簡単に変動します。低酸素環境においては糖の分解がより高まると考えられるので、事前の食事、糖質(炭水化物)の摂取が統一されないと研究として数値を一定にしていくのは難しいと思います。乳酸値も簡易な測定ができるようになりましたが、食事での変動が大きいことがあまり知られていないので、食事が不足している結果として数値が下がっているのに改善したと思ってしまっている案件もある、と思います。</p><p>●低酸素環境下でのスプリントインターバル運動時の乳酸代謝に対する急性の応答とトレーニングによる適応<br />竹井尚也(東京大学大学院総合文化研究科)<br /><br />・高強度運動時に遅筋線維よりも速筋において酸素分圧の低下が顕著に起こる<br />・標高3000m相当の低酸素環境において自転車運動を実施、30秒のスプリントと4分程度の休憩をはさんで実施。糖の分解を中心としたエネルギー代謝の変化なし。呼吸のしづらさが感覚的に少し高くなる程度。疲労度などは変化無し。低酸素環境でのスプリント運動では中枢疲労は起こらない、条件間での差も無い。心拍数は上がる。絶対運動強度は低酸素環境での低下は無いので、低酸素環境において大きな生理学的ストレスをかけることが可能になる(実験2へ)<br />・短距離選手において実施、3×30秒のスプリントを週に3回2週間を実施。トレーニング効果は差が無かった。運動後の乳酸値は低酸素の方がやや低くなる傾向。<br />・運動後の乳酸濃度の減少傾向は乳酸を作るよりも利用が高まったと考えられる。<br />・先行研究でも乳酸値が減少している。<br /><a href="https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30116106/" target="_blank">Exercise Performance, Muscle Oxygen Extraction and Blood Cell Mitochondrial Respiration after Repeated-Sprint and Sprint Interval Training in Hypoxia: A Pilot Study</a><br />なので、ミトコンドリアの機能改善が起こっているのでは?乳酸の酸化、利用が高まる可能性が考えられる</p><p>八田先生の質問「常酸素では酸欠にはならないが、低酸素環境では酸欠になってると解釈する?」 竹井「10~20%下がっても運動ができなくなるわけではない」</p><p>感想としましては、普通のトレーニングで良くないか?という数値しか出てこなかったので、血液的な変化をもっと見て欲しい、出して欲しいところです。あとは短距離選手のトレーニングとしてその本数、負荷が適切だったのかという点も疑問です。どの時期において実施したのか、これで強くなると言える負荷だったのかというところですね。あれで強くなるならば、と思ってしまえる負荷ですし。この辺りは最初の山本先生が言われていたように、実験として比較条件を明確にしないとダメだから仕方がない部分でもあるので、何とも言えない面もありますが。</p><p>●簡単・迅速に血中の乳酸濃度測定が可能!<br />~ラクテートプロ2 LT-1730のご紹介~<br />寺尾優人(アークレイマーケティング株式会社)</p><p>アークレイによる商品紹介。</p><p>ラクテートプロ2にはお世話になっております。薬剤師さんのいる薬局に行き、商品の画像を見せて説明するとスムーズに購入できます。</p><p>●軽度な高気圧酸素の効果<br />~生活習慣病の改善やトレーニングへの応用~<br />竹村藍(国立スポーツ科学センター)</p><p>・高気圧酸素の機械の使用には医師免許が必要<br />・メタボリックシンドロームに対して軽度な高気圧酸素での滞在により糖代謝異常の改善が起きる。ラットにおいてヒラメ筋重量の減少も抑制され、PGC-1αの減少も抑制される。組織や細胞に十分な酸素が供給されることが影響していると考えられる。<br />・ヒトにおける今後の研究が必要<br />・60%酸素環境下でのトレーイングは酸化ストレスの増大は生じなかった(Kon et.al, 2019)<br />・高酸素環境のため血中酸素飽和度がほぼ100%を維持。心拍数の上昇抑制や血中乳酸濃度の上昇抑制(stellingwerff T et.al 2006)が見られる。発揮パワーの上昇(Chrisopher GRP A et.al, 2007)も見られる<br />・高濃度酸素環境下でのトレーニングにより血中乳酸濃度の上昇が抑制され、最大運動における平均パワーが増大。神経系の適応の可能性がある。一方で短距離や中距離走においては酸素の利用が高まる結果としてパフォーマンスが下がる可能性がある。</p><p>八田先生の質問「酸素濃度を上昇させるのと気圧を上昇させることでの違いは?」「骨粗しょう症に関して。」</p><p>感想としましては、トレーニング効果は運動をどれだけ実施できたかという点だけではなく、代謝物質をどれだけ生成できたかという点も大きく影響するので、これだけだと何とも言えない内容かな、という感じです。より長い時間運動を継続できたからといって、トレーニングという観点からすると疑問が残るということです。</p><p>●腸内細菌由来乳酸・ピルビン酸を介した腸管免疫の制御<br />森田直樹(東京大学定量生命科学研究所)<br />・説明が難しいので<a href="http://www.med.osaka-u.ac.jp/wp-content/uploads/2019/04/30.Morita.JPN_.pdf">こちら</a>や<a href="http://www.ifrec.osaka-u.ac.jp/jpn/research/upload_img/commentary_190124.pdf">こちら</a>、<a href="https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2020.920231/data/index.html" target="_blank">こちら</a>などを見ていただくのが早いと思われます。<br />八田先生の質問「運動による血中乳酸濃度の上昇は免疫を高めるのに効果的か?運動による」「腸内細菌の存在は大腸がメインだが?乳酸菌を生成する腸内細菌は小腸に多い」「低炭水化物な食事は免疫の観点からは悪影響?菌によってエサとなる糖が違うが、それが無くなると腸内細菌が乱れてもおかしくない」</p><p>感想としましては、最近注目されてる分野であり楽しいお話でしたが、多分基本的なところの知識が無いと難しく感じてしまう内容だろうな、というものでした。やはり炭水化物が大事なんだろうな、ヨーグルトを毎日食べようと言ってますがこれはやはり大事だな、と思いました。</p><p>総合討論で思ったこと。<br />・リカバリーが低酸素環境で悪くなると言うが、ケニアのアスリートなんかはずっと滞在、生活をしているわけで、順応できているかどうかの問題が大きいのでは?個人差が大きいという点は順応力が人によって違うからというのはあるわけで。この辺りがなんとも微妙でして、回復しきれない高負荷を与えてしまったのが問題であるので、トレーニングの設計を見直すべきではという案件なんだろうと思います。なので研究における実験計画通りにやるのは反応の違いが予測できないので本当に難しい。<br /></p>Unknownnoreply@blogger.com0