2017年3月28日火曜日

短期間の炭水化物制限と従来の低エネルギー食とレジスタンストレーニングが筋厚と筋力向上に与える影響

Effects of Short-Term Carbohydrate Restrictive and Conventional Hypoenergetic Diets and Resistance Training on Strength Gains and Muscle Thickness

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5131210/

J Sports Sci Med. 2016 Dec 1;15(4):578-584. eCollection 2016.

Meirelles CM, Gomes PS

食事で摂取するエネルギーを制限することと運動をすることは体重を減らすための基本となる。

Westmanらの2007年の研究では150g以下に炭水化物を制限した食事は、

従来の低エネルギーな食事よりも体重の減少を促すとした。

炭水化物を制限した食事では持久的なパフォーマンスが下がるというデータもあれば、

そうならないといったデータもある。

レジスタンストレーニングに対する炭水化物制限の研究は少ないが、

肥満の男女を対象にした実験では筋力の向上を損なわないという結果が見られる。

炭水化物を制限する食事が人気となっているのに、

レジスタンストレーニングと炭水化物を制限した食事の調査は不十分である。

この研究はBMIが25以上で3か月以上のレジスタンストレーニングの経験がある男女で実施。

炭水化物を制限群では最初の1週間は一日30g以下、翌週からは10gずつの炭水化物を増加させ、

実験後に通常の生活に戻れるようにした。

低エネルギー食群では必要と推測されるエネルギー量の75%の摂取とし、

タンパク質15%、脂質30%、炭水化物55%で構成した。

レジスタンストレーニングは週に3日、連続での実施にならないようにした。

内容は11種目で8~10回を8~10RMの負荷でそれぞれ2set実施。

結果、どちらの群でも体重と体脂肪が減少した。

筋厚はtable2にあるように一致した増加などは見られず、有意な差も無い。

筋力はFig2にあるように低エネルギー食の方がやや高い増加が見られるが有意な差は無い。


Free

この内容ですと炭水化物を制限したと言えるのか、

という疑問が残りますね。

カロリー制限でも糖質制限でも大差は無いと言えるかもしれません。

2017年3月27日月曜日

ストレングストレーニング中の炭水化物摂取がパフォーマンスに与える影響

Effects of acute carbohydrate ingestion on anaerobic exercise performance.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27843418

J Int Soc Sports Nutr. 2016 Nov 10;13:40. eCollection 2016.

Krings BM, Rountree JA, McAllister MJ, Cummings PM, Peterson TJ, Fountain BJ, Smith JW.

持久的な運動中における炭水化物の摂取の重要性は多くの研究により示されている。

レジスタンストレーニングと炭水化物の調査としては、

(2)がフリーウエイトでのトレーニングにより40%も筋グリコーゲンが減少することを示している。

(3,4)の研究でも同様な結果が出ている。

一方で、レジスタンストレーニングの前や最中の炭水化物の摂取では、

(6,7,8,9)においてパフォーマンスが改善されているが、

(10,11)では特に変化が見られていない。

この違いはトレーニング内容や目標部位の違い、時間によって生じたものと考えられる。

今回の研究ではスプリント、ジャンプ、レジスタンストレーニング、シャトルランといったトレーニングの最中における炭水化物の摂取による栄養を調べた。

被験者は7人のよくトレーニングされた若い男性。

一時間あたりで15g、30g、60gの糖質摂取を実施する群を設定。

結果、ダンベルベンチプレスでは最後のsetで明らかな違いを示した。

シャトルランでは多くの摂取が効果的など、

トレーニング種目によって効果のある摂取量は異なるとも考えられる。

レジスタンストレーニングやジャンプトレーニングでは大きな効果は無さそう。

15~30gの糖質を含む500mlの液体を摂取することは、

アミノ酸のみの液体よりもパフォーマンスが高まる可能性があると言える。

実験の問題点として、運動前の筋グリコーゲン量の調整などが出来ていない点などがあるので、

より多くの実験がなされる必要がある。


Free

ストレングストレーニングなのでレジスタンストレーニング以外も試しています。

まぁ運動中よりも運動前、それこそ24時間ほど筋グリコーゲンの完全回復には必要、

といった点からすれば、運動中はそこまで大きな効果が無いというのも納得はいきますが、

少し長くなる時やシャトルランなど全身運動になる時は効果がありそう、

というところでしょうか。

2017年3月26日日曜日

2時間のレジスタンストレーニング中の炭水化物摂取がサイトカインの発現に与える影響

Influence of carbohydrate ingestion on immune changes after 2 h of intensive resistance training

http://jap.physiology.org/content/96/4/1292

Journal of Applied Physiology Published 1 April 2004 Vol. 96 no. 4, 1292-1298

D. C. Nieman, J. M. Davis, V. A. Brown, D. A. Henson, C. L. Dumke, A. C. Utter, D. M. Vinci, M. F. Downs, J. C. Smith, J. Carson, A. Brown, S. R. McAnulty, L. S. McAnulty

持久的な運動中に炭水化物を摂取することでサイトカインや遺伝子発現に影響を与えることは、

多くの研究によって調査されている。

(20)の研究では最大酸素摂取量の70%で3時間走る実験中に炭水化物を摂取することで、

IL-6やIL-10などの血中レベルで減少することが確認されている。

筋グリコーゲンでの違いはプラセボ群と無いので、

血中グルコースがサイトカインのmRNAの発現を抑制したと推測される。

(29)の実験でも筋グリコーゲンの差異は摂取でもプラセボでも無く、

IL-6の血中レベルが低下した。

近年のデータ(17,30)では筋グリコーゲンが少ない状態での運動はIL-6の放出を増加させるとしている。

(28)のデータによるとレジスタンストレーニングは筋グリコーゲンの著しい減少を引き起こす。

しかし、レジスタンストレーニングによるサイトカインへの影響を調べた研究はほとんど知られていない。

13人の少なくとも半年以上のレジスタンストレーニングを実施している若い男性で実験。

バックスクワットを体重の1.25倍をこなせるレベル。

炭水化物摂取群は6%もしくが60g/lを含むドリンクを摂取。

これは(20,21,22,25)の先行研究にあるようなゲータレードによって提供された飲料。

結果、運動量は特にどちらでも変化は無かった。

炭水化物の減少は摂取群で38%、プラセボ群で44%で有意な差は無かった。

そして持久的な運動と比較すると炭水化物摂取群でもプラセボ群でもサイトカインの発現に差は無かった。


Free

サイトカインに関しては炎症性マーカーなどとも呼ばれますが、

これがどのような刺激で出てくるのかというのを調べた2004年の論文です。

持久的な運動によってIL-6が多く産出され、それによって鉄の体内での取り込みが抑制されて貧血になる、

ということが現在では分かっています。

直接的にトレーニング効果を高めるかどうかは不明な点も多いですが、

体内で生じる様々なシグナルを抑制したりしているものなので、

知っておくことで役に立つものではあるかと思います。

ただ、何だか小難しい話になっていくので、知らないでも何も問題は無いでしょう。

2017年3月25日土曜日

高脂肪食とスポーツパフォーマンスを再考する(2016年のレビュー)

Re-Examining High-Fat Diets for Sports Performance: Did We Call the 'Nail in the Coffin' Too Soon?

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4672014/

Sports Med. 2015 Nov;45 Suppl 1:S33-49. doi: 10.1007/s40279-015-0393-9.

Burke LM

長年続いた高脂肪食を競技者に適応させる試みの失敗は、

2006年に(1)の研究が発表され、これが調査された結果、

持久的な競技者に対して高脂質食がパフォーマンスを高めるという考えは、

削除することが出来ると考えられる。

この10年間で(3,4,5,6)の論文や(7)の文献などから、低炭水化物高脂肪(LCHF)の話が出てきたが、

これらが本当にアスリートに効果的なのかを再考するべきである。

パフォーマンスは競技種目ごとに目指すものが異なるが、

ATPの生産を効率よく最大化するという点は重要である。

持久的な種目ではグリコーゲンの利用を減らすために脂質をエネルギー源とするための戦略が立てられ、

食事での摂取などを実施したが失敗した。

(31,32)の実験では85%の脂質と15%のタンパク質という食事を一か月近く実施した結果、

最大酸素摂取量の65%程度の運動では能力が維持されたが、

これより負荷の高い運動は無理であろうと指摘している。

この実験ではケトン体が明らかに増加していたと考えられる。

また、この実験では一人の著しい結果によって平均値が良い方に歪められたと言える。

ケトーシスを達成しない程度の炭水化物摂取を行った実験としては(34,35,36,37)がある。

(38,39)は25%未満の炭水化物の摂取か60%以上の脂質の摂取をしていないものである。

上記のようなプロトコルが行われたりもしているが、

パフォーマンスの向上に最適なものはよく分からない。

これらの研究の問題点としては運動中にグリコーゲンが減らずに脂質が多く使われたということが言えない点にある。

それが言えないことには、炭水化物の利用が抑制されたとは言えない。

また、低炭水化物食への適応は以前に言われていたほど長い期間は必要でなく、

5日程度で大丈夫ということも言える。

ある程度鍛えられた状態であれば、適応は容易に行われるのかもしれない。

(1)の研究では自転車競技で実験したが、

1kmのスプリントが明らかに低下した。

この原因としては炭水化物の酸化能力が低下したことなどが挙げられている。

(46,47)の研究結果からは低炭水化物食による高出力な部分における抑制が起こる理由が説明されると思われる。

2006年以降の研究を見ていくと、

体脂肪の減少といった点での利点は認められるが、

これが競技者に適応できるかとなると疑問が残る。

60~80%程度での運動ならば低炭水化物な食事は有効であるが、

トップの持久的な選手たちは既に低炭水化物高脂質な食事はやめている。

このレビューで白か黒をつけるのではなく、

良い点を上手く利用してパフォーマンスの向上につながれば良いと思います。


Free

そこそこの長さがあるのを適度に訳しました。

興味のある方は無料ですので全文をどうぞ。

最後のまとめ部分で炭水化物が良いとか脂質が良いとかでは無い、

と指摘しているように、どちらにも利点があるという所を忘れずに、、

適応期間などを上手く利用して最適なパフォーマンスの向上が出来るように役立てられれば、

という感じですかね。

まぁでも、瞬発的な種目にはほとんど低炭水化物高脂質な食事は役に立たない、

というのは言えそうです。

持久的な種目を行っている人の中でも、

フルマラソンを完走したいというレベルのランナーや、

ジョギングだけで疲労抜きの週という選手が短期的に用いるのは良さそうです。

ただ、80%を超えるような負荷になってくると炭水化物を利用するので、

どうにもパフォーマンスは下がるので炭水化物を摂取しましょう、

となりますかね。

この辺りは何か別の形で持久的なパフォーマンスの栄養学的な感じでまとめたい所です。

2017年3月24日金曜日

ケトジェニックな低炭水化物食と身体パフォーマンス(2004年レビュー)

Ketogenic diets and physical performance
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC524027/

Nutr Metab (Lond). 2004; 1: 2.Published online 2004 Aug 17

Stephen D Phinney

多くの医者や栄養士は炭水化物が主要なエネルギー源でなければならないとしている。

高負荷な運動とグリコーゲンの貯蔵を調べた長年の研究などが根拠となっており、

軽度の頭痛や疲労しやすさの原因を炭水化物が不足していることと説明したりもする。

1930年までには北米の先住民族にも炭水化物食が広まったが、

炭水化物を摂取しない食生活を送っていたアラスカやカナダに住むイヌイットへの調査は、

幸いにも科学者によって事前に行われていた。

木の実などの採集や農作物の栽培など、

この5000年ほどで炭水化物を摂取できる環境が形成されてきたが、

日常生活を送るには狩猟による肉や魚といった栄養源よりも、

農作物の栽培などによる環境の方が安定している。

20世紀から栄養学の研究が多く行われるようになった。

1939年に行われたChristensen and Hansen(2)の研究では、

低・中・高の炭水化物食群に分けて食事を摂取させたところ、

高炭水化物群が最も長く自転車運動を継続することが出来た(低炭水化物の2.5倍)。

1960年代に入って筋バイオプシーによる研究が開発され、

(5)のような高強度の運動においては炭水化物が多く利用され、脂肪には利用の限界がある、

炭水化物が不足している人は身体的に損なわれている、

というコンセンサスを出す研究が行われた。

ケトジェニックな食事について書かれた初期の文献は、

1878年~1880年にSchwatkaらが行った北米の探索のものである。

1879年4月から始まった探索では翌年の3月に戻ったが、

途中は食料不足のために狩猟によって食料を得ていた。

この日記は1965年に発見されたが、

その中にはトナカイの肉だけでは疲れている感じがあったが、

2~3週間ほどで慣れたといった記述がある。

1970年代に入ると低炭水化物食に注目が集まった。

1980年に出された(13)の研究では8週間のケトジェニックな低炭水化物の食生活を実施し、

最初の1週間は適応のためにパフォーマンスは下がるが、6週間あたりでベースラインに戻った。

ここから、タンパク質やミネラルが十分であれば最大酸素摂取量などの機能は衰えないことを示した。

1983年の自転車選手を用いた実験などでも(14,15)、

脂質83%、タンパク質15%、炭水化物2%で構成された体重を維持する量の食事により、

同様の結果が見られた。

ケトジェニック食のパラドックスとして挙げられる研究の問題点としては、

研究デザインの問題がある。

4週間に満たない程度の研究や、カリウム・ナトリウムの不足が見られる。

イヌイットの食事は海水(脱塩しているが)を用いているため、

カリウムやナトリウムは豊富に含まれる。

タンパク質が体重あたり1.2g未満になる食事を摂取した場合、

最大酸素摂取量は減少する。

また、エネルギー消費量の25%を超えるとケトンの生成量が抑制される。

ケトジェニックな食事はミネラルとタンパク質の摂取量に注意すれば、

危険は伴わない。

しかし、筋グリコーゲンが低いレベルとなるため、ウエイトリフティングやスプリント種目など、

競技レベルでスポーツを行う人にとってはパフォーマンスを低下させるであろう。


Free

大雑把ではありますので、興味がある方はgoogle翻訳でもご利用ください。

文章が何行か翻訳されていないという雑な翻訳をされたのは確認しましたが。

まぁケトジェニックな食事、低炭水化物、高脂質、そこそこ高タンパク質な食事(ミネラルに注意)は、

適応するのに1週間ほど必要として怠さなどを感じるが、

そこを抜けて6週間もすると最大酸素摂取量はベースラインまで戻るが、

競技的なレベルで行う瞬発種目には不向き、

ということで。

ミネラルという点は忘れている人も多そうな気がしますね。