2017年3月15日水曜日

カゼインとソイのタンパク質を与えた時の代謝の違い

Differential metabolic effects of casein and soy protein meals on skeletal muscle in healthy volunteers

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20685015

Clin Nutr. 2011 Feb;30(1):65-72. doi: 10.1016/j.clnu.2010.06.012. Epub 2010 Aug 3.

Luiking YC, Engelen MP, Soeters PB, Boirie Y, Deutz NE.

カゼインの方がアミノ酸の動態で素早い上昇などが見られたが、

タンパク質の分解などに関しては特に大きな違いが見られない。

と、これを眺めようとClin Nutrのサイトに行ったら関連した論文として、



Intraileal casein infusion increases plasma concentrations of amino acids in humans: A randomized cross over trial

http://www.clinicalnutritionjournal.com/article/S0261-5614(16)00034-0/fulltext

こちらがopen accessで出てきたのでそちらを。

エネルギー摂取を抑制することは肥満の予防につながる。

脂質だけでなくスクロースやカゼインの摂取でも回腸ブレーキ(満腹感の信号を出す)が起こる(3)。

強制的に減らす方法として胃バイパスが行われるが、

二型糖尿病や体重減少に効果的であるとされるもメカニズムは不明確な点がある。

胃から腸への排出が素早く進むことで吸収不良が起こって体重減少しているならば、

健康面への悪影響が心配される。

(10)ではカゼインの消化とアミノ酸の吸収の促進が指摘されている。

実験結果(直接投与とかつらそうと思うので手順はパス)としては、

消化が素早く行われ(カゼインとしては速い方?)、かなり高い率の吸収が見られた。

食後に上がるとされる(12)炎症性マーカー(IL6など)の著しい上昇は確認されなかった。

これらの点に関してはdiscussionで研究プロトコルに関しての問題点を指摘していますので、

そのまま受け取るべきではないでしょうが、なるほどという参考意見としては良さそうです。

この感じでいくと、プロテインの摂取もカプセル式のでやった方が効果的と言えそうな気がしますね。

今後、そうした研究や所品開発が行われるかもしれませんが、

30gのプロテインをカプセルで摂取...

何個の摂取で済むんですかね...

まぁなかなか面白い研究でした。

2017年3月14日火曜日

複数のタンパク質を混ぜたものは筋肉の合成を促進する

Protein blend ingestion following resistance exercise promotes human muscle protein synthesis.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23343671

J Nutr. 2013 Apr;143(4):410-6. doi: 10.3945/jn.112.168021. Epub 2013 Jan 23.

Reidy PT, Walker DK, Dickinson JM, Gundermann DM, Drummond MJ, Timmerman KL, Fry CS,

Borack MS, Cope MB, Mukherjea R, Jennings K, Volpi E, Rasmussen BB

ホエイやソイは摂取直後に血中アミノ酸濃度を高めることが知られている。

カゼインはホエイやソイに比べて摂取後のアミノ酸のピーク値は低いが、

長時間に渡って血中のアミノ酸濃度がやや高めに維持される。

これらをブレンドしたタンパク質の摂取がどのような効果があるのかは、



動物での実験はあるが(34)、人間での実験は無いので実施した。


カゼイン50%、ソイ25%、ホエイ25%のブレンドでした19gのタンパク質を摂取。

レッグエクステンションを実施した直後にタンパク質を摂取。

結果、混合したものはホエイよりも効果的と言える。


Free

何とも言えない感じはありますが、ホエイやソイ、カゼインを単独で摂取するよりは、

長時間を見ても効果があると言える気もしますが、

これならホエイを3時間ごとに摂取するのでも良いのかな、

という気はします。

仕事や睡眠時など長時間食事ができない場合を想定するならば、

混合の方がより効果が高まるという程度のような気もします。

2017年3月13日月曜日

運動直後のタンパク質合成の数値はレジスタンストレーニングによる長期的な筋肥大と相関が無い

Acute post-exercise myofibrillar protein synthesis is not correlated with resistance training-induced muscle hypertrophy in young men.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24586775

PLoS One. 2014 Feb 24;9(2):e89431. doi: 10.1371/journal.pone.0089431. eCollection 2014.

Mitchell CJ1, Churchward-Venne TA1, Parise G1, Bellamy L1, Baker SK2, Smith K3, Atherton PJ3, Phillips SM

運動後に筋肉の合成が高まることは知られているが、




これが長期的なトレーニングによる筋肥大に関係しているかを明確にした研究は無い。

23人の健康な男性でレジスタンストレーニングの経験が一年以上ない被験者。

結論、

多くの実験で1時間後から6時間後のMPSを測定しているが、

そこで出た数値が16週間後の筋肥大を予測するわけではない。

トレーニングを継続しているうちに数値は変わってくるので。


Free

引用している論文に面白いものが多いので、

そこをしっかりと読み込むのが良いでしょうね。

よくある基本的なタンパク質合成の実験は、

だからどうした?その時点ではそうかもな、トレーニングしたら分からんよ、

という当たり前の結果とも言えそうです。

トレーニングによって反応がより高くなる人、

変化しない人など様々なパターンがあると思われますし。

反応がよりよくなって筋肥大しやすくなる人が才能のある人となるのでしょうが、

じゃあどういう人がそうなるのか、というのは引用にもあるmTOR関連の話だと思いますが、

まだまだ未解明ということで。


2017年3月12日日曜日

運動の様式によって血中のサイトカイン分泌は異なる

Dynamic and Static Exercises Differentially Affect Plasma Cytokine Content in Elite Endurance- and Strength-Trained Athletes and Untrained Volunteers
http://journal.frontiersin.org/article/10.3389/fphys.2017.00035/full

Front. Physiol., 30 January 2017

Leonid V. Kapilevich, Anna N. Zakharova, Anastasia V. Kabachkova, Tatyana A. Kironenko and Sergei N. Orlov

運動によってサイトカイン(IL-6など)が分泌されることは広く知られている。

ランニングによってIL-6が増加することは知られている。

運動の形態での違い、被験者の特性での違いを調べた。

若い男性でウエイトリフティング・トラック&フィールド(10人のよくトレーニングされた中距離選手)のトレーニング経験が6年以上ある人々と運動経験の無い人を2つに分けたで4群に分類。

デッドリフトオ50%ほどのおもりをおよそ1分ほど保持する運動(ストレングスとコントロール群)と、

自転車運動(中距離選手とコントロール群)をそれぞれ実施。

結果、保持する運動は血流を制限するなどの効果が出るため、

異なったサイトカインの分泌が確認された。


Free

サイトカインに関しては体内で生じることで良い面や悪い面が言われていますので、

トレーニングを細かく考えたいと思う人はしっかり勉強するべきだと思いますが、

何せ細かくなるので、そこまで気にしすぎないでも良いかな、

と思います。

持久的なトレーニングやっている人がIL-6の数値をどう捉えるか、

というのはもっと考えられても良いと思いますが。


 膨大なデータを徹底整理するサイトカイン・増殖因子キーワード事典

2017年3月11日土曜日

魚のタンパク質を摂取したラットは速筋が肥大し肝臓の脂肪と血中グルコースが減少した

Fish protein intake induces fast-muscle hypertrophy and reduces liver lipids and serum glucose levels in rats

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25198797

Biosci Biotechnol Biochem. 2015;79(1):109-16

Kawabata F, Mizushige T, Uozumi K, Hayamizu K, Han L, Tsuji T, Kishida T.

世界中で魚は食べられているが、スケトウダラ(Alaska Pollack)の摂取による筋肉の変化などは、

筆者らの先行研究により確認されている。

この変化は牛肉の摂取などと比べてどのように異なるかを実験して調べてみた。

ラットに与えた食事はカゼインと魚のタンパク質。

6週間の期間が過ぎた結果、

魚のタンパク質を摂取した群ではヒラメ筋のmyh7(ミオシン重鎖)の発現が減少し、

myh4の発現が増加した。

魚のタンパク質を摂取した群ではPGC-1αの発現も有意に減少させた。

この結果から遅筋が速筋化したとは言い切れないが、

速筋が多くなったことは観察された。

グルコースの代謝も増加したためエネルギーの利用が増えたことで、

肝臓の脂質が減少したと考えられる。


Free

九州大大学院の川端先生が日本水産株式会社(ニッスイ)にいた時に研究されていた内容の論文ですかね。

所属がニッスイになっているので。


ということで、瞬発系のアスリート、短時間で大きな力発揮をするアスリートは、

魚をたくさん食べるのが良い、

と言えるかもしれません。

筋肉の回復のためにホエイなどと言われていますが、

筋肉のタイプを変えるためには魚のタンパク質だ、

と言われる日が来るかもしれません。