2017年3月9日木曜日

ギプス固定による筋肉の萎縮からの回復にはホエイがカゼインよりも効果的

Whey proteins are more efficient than casein in the recovery of muscle functional properties following a casting induced muscle atrophy


https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24069411

PLoS One. 2013 Sep 19;8(9):e75408. doi: 10.1371/journal.pone.0075408. eCollection 2013.

Martin V, Ratel S, Siracusa J, Le Ruyet P, Savary-Auzeloux I, Combaret L, Guillet C, Dardevet D

ギプス(ドイツ語、英語ではcasting)での固定は筋肉の活動を制限するため、

筋肉が萎縮することが知られているが、タンパク質の摂取によって筋肉は増えることが知られているので、

ギプスでの固定時にタンパク質を摂取したらどのような変化が起こるかをマウスで実験。

1か月半ほどで回復し、素早い回復にはホエイが効果的であった。


Free

今後の課題として人間での実験と書いてある通り、

マウスでの実験をそのまま人間にあてはめられるかは微妙なところですね。

トルクも固定による可動範囲の低下から機能回復による変化を受けて向上、

ということが見られるように、不明な点も多いですので。

取りあえず、ケガした時は運動量が減って刺激が減るから、

 ホエイの摂取をしておこう、となりますかね。

2017年3月8日水曜日

食後に行ったレジスタンストレーニングによる筋線維でのタンパク質合成

Myofibrillar muscle protein synthesis rates subsequent to a meal in response to increasing doses of whey protein at rest and after resistance exercis

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24257722

Am J Clin Nutr. 2014 Jan;99(1):86-95. doi: 10.3945/ajcn.112.055517. Epub 2013 Nov 20.

Witard OC, Jackman SR, Breen L, Smith K, Selby A, Tipton KD.

筋肉の増加には筋肉の分解と合成のバランスがプラスになることが大事である。

高齢者では40gのホエイ(8)やソイ(9)が20gの摂取よりも効果的であった。

若者ではレジスタンストレーニングを実践している人で20gの卵(EAAにして8.6g)を摂取したデータがある(4)。

40gだとロイシンの酸化速度が高まった。

これまでの研究は一晩を経て絶食状態の被験者で行われているが、

これは日常的に行われるトレーニングと同じ状態には無い。

朝食を摂取した1時間後にレジスタンストレーニングを実施したデータ(12)では、

食後に起こった筋肉のタンパク質合成をより高めた。

今回の実験では食事をした3時間後の運動とタンパク質の摂取がどのような効果を与えか、

実際に行われるトレーニング条件に近づけて実施してみた。

48人の趣味的にウエイトトレーニングを行っている男性被験者。

食後に下半身のレジスタンストレーニングを実施し、

その後に0,10,20,40gのホエイタンパク質を摂取。

血中のインスリンは40gの摂取が他の群に比べて全て有意、20gは0gに比べて有意。

フェニルアラニンとロイシンは運動によって減少したが、

摂取した後に40gが有意に上昇(ロイシンのピーク値は20gの1.5倍ほど)、

結果としては、

タンパク質が<45gと豊富に含まれる食事をした3時間45分ほど後に測定をすると、

ホエイの摂取は20g程度で筋原線維のタンパク質合成は最大値に達する。

アミノ酸の酸化や尿素の生成は20gと40gで多くなる。

普段トレーニングをしている人が、食事の後にトレーニングを実施するならば、

20g程度のホエイプロテインの摂取で筋肉のタンパク質合成は最大化されると考えられる。


Free

実験は定量化するために絶食状態で行うのがほとんどですが、

それだと実際のトレーニングをしている人に役立つか分からないので、

普段の日常に近づけて実験をしてみたデータです。

朝食で十分な量のタンパク質を摂取したのであれば、

3時間後に行う運動後は20gほどの摂取で十分であり、

それ以上の摂取は筋肉の合成には使われなさそうであるが、

まだ分からない面も多いから今後も継続、

という感じですかね。

まぁタンパク質を40gと十分な摂取が行えれば、

4時間程度は何もしないで大丈夫とも言えそうな感じですかね。

筋肉の分解が不安な人も多いかと思いますが、

絶食での実験データに引っ張られ過ぎてきたのかもしれない、

と。

2017年3月7日火曜日

骨格筋の遺伝子発現プロファイルはカロリー制限下においてタンパク質とカルシウムによって制御される

Skeletal muscle gene expression profile is modified by dietary protein source and calcium during energy restriction

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21525773

J Nutrigenet Nutrigenomics. 2011;4(1):49-62. doi: 10.1159/000327132. Epub 2011 Apr 28.

Tauriain en E, Storvik M, Finckenberg P, Merasto S, Martonen E, Pilvi TK,

Korpela R, Mervaala EM.

ゲノム解析により人間の遺伝子特定は出来たが、

遺伝子がどのように発現するかはまだまだ不明である。

肥満のマウスにカゼイン、ホエイにカルシウム、αラクトアルブミンにカルシウムを加えた食事を用いて実験。

カルシウムを添加した群ではカゼインに比べてAldh1a7, Fasn, leptin, Nr4a3, Scd1 のmRNAが減少した。

ホエイの方が肥満に対する抑制効果があることが考えられる。



この辺りに関しては、

http://togotv.dbcls.jp/20150204.html

www.ps.noda.tus.ac.jp/wp_miyazaki/wp-content/uploads/2016/11/MurakamiY8Dec.pdf

これらを見てもらいますと、少しは理解が進むのかな、と思います。

今まではタンパク質を摂取して筋肉が肥大したからこれは効果がある、

といったことが言われてきましたが、

今後は遺伝子発現プロファイルを見て、

この遺伝子情報が変化しているから、この遺伝子を刺激するようなことをやれば筋肉が、

脂肪が、以下略といったことが言われるようになるであろう、という話です。

この実験ではタンパク質の種類によって刺激される情報が違う、ということを示しました。

カゼインとホエイでの違いは多くの実験で明らかになっていますが、

これがさらに細かい遺伝情報レベルでも分かってきている、

そんなお話です。

2017年3月6日月曜日

カゼインとホエイのタンパク質を摂取することでレジスタンストレーニング後の筋肉の合成を高める

Ingestion of casein and whey proteins result in muscle anabolism after resistance exercis

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15570142

Med Sci Sports Exerc. 2004 Dec;36(12):2073-81

Tipton KD, Elliott TA, Cree MG, Wolf SE, Sanford AP, Wolfe RR.

20gのカゼインとホエイのタンパク質を摂取しての実験。

ホエイの方がカゼインの2.8倍ほどロイシンのピーク値が高かった。

摂取して60分後頃にピークは来る。

血流はホエイがどの時点でも高かった(有意だったり、そうじゃなかったり)。

フェニルアラニンはトータルで見るとカゼインの方が高い。


Free


2004年の論文に再び戻りますが、この頃はフェニルアラニンの効果が注目されていたので、

カゼインよりもホエイの方が良いとは明確に言われていません。

原著を当たっていくことで歴史の変化が見られます。

2017年3月5日日曜日

大豆タンパク質の摂取が様々な身体活動レベルの人々の骨格筋と筋力に与える影響

Effects of dietary soy protein on skeletal muscle volume and strength in humans with various physical activities

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26399344

J Med Invest. 2015;62(3-4):177-83. doi: 10.2152/jmi.62.177.

Hashimoto R, Sakai A, Murayama M, Ochi A, Abe T, Hirasaka K, Ohno A, Teshima-Kondo S, Yanagawa H, Yasui N, Inatsugi M, Doi D, Takeda M, Mukai R, Terao J, Nikawa T.

高齢化や運動不足によって寝たきりになる人が日本では近年増加している。

大豆に含まれるグリシニンが筋の萎縮を予防する効果があることを示されている。

この研究が身体活動の少ない人や寝たきりの人に効果的であると考え、

大豆タンパク質の摂取で筋量がどのように変化するかを実験してみた。

59人の被験者、デスクワーク群(低活動)、週に2回は10km以上を走る群(高活動)は、

さらにカゼイン群とソイ群に分けられた。

寝たきり群はカゼイン群とソイ群と摂取なし群に分けられた。

7.5gの粉状カゼインか7.1gのソイを30日間摂取。

筋量は低活動群でソイの摂取が有意に増加、

寝たきり群ではカゼインが摂取なしと比べて有意に増加、ソイも有意では無いが増加。

筋力はソイが最も増加したが有意差は無し。

Free


何というか、あぁ日本人の論文だな、という感じのものですね。

ソイに効果があるとしていますが、カゼインでも十分に効果があると言えるものでは、

という感じですね。

まぁ筋力の増加も起こったというのを見るとソイが良い気もしますが、

どうなのかなぁ、という感じが否めません。

日本人の論文だなぁ、となります。