2017年3月16日木曜日

カゼインとホエイによるタンパク質合成の違いをラベルしたロイシンで調査

Whey and casein labeled with L-[1-13C]leucine and muscle protein synthesis: effect of resistance exercise and protein ingestion

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21045172

Am J Physiol Endocrinol Metab. 2011 Jan;300(1):E231-42

Reitelseder S, Agergaard J, Doessing S, Helmark IC, Lund P, Kristensen NB, Frystyk J, Flyvbjerg A, Schjerling P, van Hall G, Kjaer M, Holm L.

ホエイとカゼインの違いは知られているが、

レジスタンストレーニングの後に与える効果が違うのかはよく分かっていないので実験してみた。

除脂肪体重(LBM)で体重あたり0.3gのタンパク質を摂取。

結果、バリンとアルギニンはカゼインの方が60分以降も有意に高い傾向がある。

EAAに関しては180分後だけカゼインの方が有意に高いが、摂取後のピークは有意に低い。

p70S6kの変化などはカゼインの方が高かったが、この辺りには不明な点もある。

結論として、カゼインもホエイも含まれるミルクがベストなのでは?と。


Free

2011年の論文ですが、ホエイが良いかカゼインが良いかというのを決着するには至りません。

運動を組み合わせていますが、早朝に実施していますし夜間の絶食明けです。

この辺りがどのような影響を与えているのかというのが不明です。

また、conclusionでも触れているように筋肉の合成を調べているのであって分解は見ていません。

なので結論が合成に良いとされるホエイと分解を抑制するとされるカゼイン、

この両方が含まれるミルクの摂取が高齢者などには良いのでは、となっています。

まぁ現実的に、どちらが良いとは言いきれないので、

両方を上手く摂取するのが良いのだろうな、と思う所です。

2017年3月15日水曜日

カゼインとソイのタンパク質を与えた時の代謝の違い

Differential metabolic effects of casein and soy protein meals on skeletal muscle in healthy volunteers

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20685015

Clin Nutr. 2011 Feb;30(1):65-72. doi: 10.1016/j.clnu.2010.06.012. Epub 2010 Aug 3.

Luiking YC, Engelen MP, Soeters PB, Boirie Y, Deutz NE.

カゼインの方がアミノ酸の動態で素早い上昇などが見られたが、

タンパク質の分解などに関しては特に大きな違いが見られない。

と、これを眺めようとClin Nutrのサイトに行ったら関連した論文として、



Intraileal casein infusion increases plasma concentrations of amino acids in humans: A randomized cross over trial

http://www.clinicalnutritionjournal.com/article/S0261-5614(16)00034-0/fulltext

こちらがopen accessで出てきたのでそちらを。

エネルギー摂取を抑制することは肥満の予防につながる。

脂質だけでなくスクロースやカゼインの摂取でも回腸ブレーキ(満腹感の信号を出す)が起こる(3)。

強制的に減らす方法として胃バイパスが行われるが、

二型糖尿病や体重減少に効果的であるとされるもメカニズムは不明確な点がある。

胃から腸への排出が素早く進むことで吸収不良が起こって体重減少しているならば、

健康面への悪影響が心配される。

(10)ではカゼインの消化とアミノ酸の吸収の促進が指摘されている。

実験結果(直接投与とかつらそうと思うので手順はパス)としては、

消化が素早く行われ(カゼインとしては速い方?)、かなり高い率の吸収が見られた。

食後に上がるとされる(12)炎症性マーカー(IL6など)の著しい上昇は確認されなかった。

これらの点に関してはdiscussionで研究プロトコルに関しての問題点を指摘していますので、

そのまま受け取るべきではないでしょうが、なるほどという参考意見としては良さそうです。

この感じでいくと、プロテインの摂取もカプセル式のでやった方が効果的と言えそうな気がしますね。

今後、そうした研究や所品開発が行われるかもしれませんが、

30gのプロテインをカプセルで摂取...

何個の摂取で済むんですかね...

まぁなかなか面白い研究でした。

2017年3月14日火曜日

複数のタンパク質を混ぜたものは筋肉の合成を促進する

Protein blend ingestion following resistance exercise promotes human muscle protein synthesis.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23343671

J Nutr. 2013 Apr;143(4):410-6. doi: 10.3945/jn.112.168021. Epub 2013 Jan 23.

Reidy PT, Walker DK, Dickinson JM, Gundermann DM, Drummond MJ, Timmerman KL, Fry CS,

Borack MS, Cope MB, Mukherjea R, Jennings K, Volpi E, Rasmussen BB

ホエイやソイは摂取直後に血中アミノ酸濃度を高めることが知られている。

カゼインはホエイやソイに比べて摂取後のアミノ酸のピーク値は低いが、

長時間に渡って血中のアミノ酸濃度がやや高めに維持される。

これらをブレンドしたタンパク質の摂取がどのような効果があるのかは、



動物での実験はあるが(34)、人間での実験は無いので実施した。


カゼイン50%、ソイ25%、ホエイ25%のブレンドでした19gのタンパク質を摂取。

レッグエクステンションを実施した直後にタンパク質を摂取。

結果、混合したものはホエイよりも効果的と言える。


Free

何とも言えない感じはありますが、ホエイやソイ、カゼインを単独で摂取するよりは、

長時間を見ても効果があると言える気もしますが、

これならホエイを3時間ごとに摂取するのでも良いのかな、

という気はします。

仕事や睡眠時など長時間食事ができない場合を想定するならば、

混合の方がより効果が高まるという程度のような気もします。

2017年3月13日月曜日

運動直後のタンパク質合成の数値はレジスタンストレーニングによる長期的な筋肥大と相関が無い

Acute post-exercise myofibrillar protein synthesis is not correlated with resistance training-induced muscle hypertrophy in young men.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24586775

PLoS One. 2014 Feb 24;9(2):e89431. doi: 10.1371/journal.pone.0089431. eCollection 2014.

Mitchell CJ1, Churchward-Venne TA1, Parise G1, Bellamy L1, Baker SK2, Smith K3, Atherton PJ3, Phillips SM

運動後に筋肉の合成が高まることは知られているが、




これが長期的なトレーニングによる筋肥大に関係しているかを明確にした研究は無い。

23人の健康な男性でレジスタンストレーニングの経験が一年以上ない被験者。

結論、

多くの実験で1時間後から6時間後のMPSを測定しているが、

そこで出た数値が16週間後の筋肥大を予測するわけではない。

トレーニングを継続しているうちに数値は変わってくるので。


Free

引用している論文に面白いものが多いので、

そこをしっかりと読み込むのが良いでしょうね。

よくある基本的なタンパク質合成の実験は、

だからどうした?その時点ではそうかもな、トレーニングしたら分からんよ、

という当たり前の結果とも言えそうです。

トレーニングによって反応がより高くなる人、

変化しない人など様々なパターンがあると思われますし。

反応がよりよくなって筋肥大しやすくなる人が才能のある人となるのでしょうが、

じゃあどういう人がそうなるのか、というのは引用にもあるmTOR関連の話だと思いますが、

まだまだ未解明ということで。


2017年3月12日日曜日

運動の様式によって血中のサイトカイン分泌は異なる

Dynamic and Static Exercises Differentially Affect Plasma Cytokine Content in Elite Endurance- and Strength-Trained Athletes and Untrained Volunteers
http://journal.frontiersin.org/article/10.3389/fphys.2017.00035/full

Front. Physiol., 30 January 2017

Leonid V. Kapilevich, Anna N. Zakharova, Anastasia V. Kabachkova, Tatyana A. Kironenko and Sergei N. Orlov

運動によってサイトカイン(IL-6など)が分泌されることは広く知られている。

ランニングによってIL-6が増加することは知られている。

運動の形態での違い、被験者の特性での違いを調べた。

若い男性でウエイトリフティング・トラック&フィールド(10人のよくトレーニングされた中距離選手)のトレーニング経験が6年以上ある人々と運動経験の無い人を2つに分けたで4群に分類。

デッドリフトオ50%ほどのおもりをおよそ1分ほど保持する運動(ストレングスとコントロール群)と、

自転車運動(中距離選手とコントロール群)をそれぞれ実施。

結果、保持する運動は血流を制限するなどの効果が出るため、

異なったサイトカインの分泌が確認された。


Free

サイトカインに関しては体内で生じることで良い面や悪い面が言われていますので、

トレーニングを細かく考えたいと思う人はしっかり勉強するべきだと思いますが、

何せ細かくなるので、そこまで気にしすぎないでも良いかな、

と思います。

持久的なトレーニングやっている人がIL-6の数値をどう捉えるか、

というのはもっと考えられても良いと思いますが。


 膨大なデータを徹底整理するサイトカイン・増殖因子キーワード事典