2017年3月2日木曜日

持久的な運動の強度が運動直後と1日後の回復期の筋原線維とミトコンドリアの合成に与える影響

Influence of aerobic exercise intensity on myofibrillar and mitochondrial protein synthesis in young men during early and late postexercise recovery

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24595306

Am J Physiol Endocrinol Metab. 2014 May 1;306(9):E1025-32. doi: 10.1152/ajpendo.00487.2013. Epub 2014 Mar 4.

Di Donato DM, West DW, Churchward-Venne TA, Breen L, Baker SK, Phillips SM.

持久的な運動によって筋肉の肥大が生じたり、


筋肉での酸素利用能が高まることは知られている。

高強度の持久的な運動は低強度に比べてmRNAにおけるPGC-1αの発現量を増やすが、

ではこれがミトコンドリアタンパク質の合成だとどのように変化するかは詳しく調査されていない。

ということで、筋原線維とミトコンドリアタンパク質の合成に運動負荷がどのような影響を与えるかを調査した。

8人の適度に運動をしている若い男性。

低負荷は最大酸素摂取量の30%で60分、高負荷は60%で60分の自転車運動。

30分~4時間30分と24~48時間後を分析。

高負荷群

・筋タンパク合成は24時間後でも安静時に比べて有意に高かった。むしろ回復期前半の測定よりも高かった。

・ミトコンドリアタンパク質合成は回復期前半で安静時より低く、24時間後には安静時より有意に高かった

・mTORは30分後は有意に高かったが4時間半後は安静時に戻った


低負荷群

・筋タンパク合成は回復期前半では安静時より有意に高かったが、24時間後では安静時に戻った

・ ミトコンドリアタンパク質合成は回復期前半で安静時より低く、24時間後はさらに低くなった

・mTORは30分後から安静時より低い状態が続いた。有意差は無し

・p38Thr180/Tyr182は4時間半後において低負荷の方が高負荷より有意に高かった     


結論として、高負荷の持久的な運動は低負荷に比べて、より筋肥大を起こす可能性がある。

絶食状態での運動による測定なので、先行研究にある食事、アミノ酸などとの関連は不明。


 Free

運動する前も後も絶食で被験者をやらされる苦しみ、とてもよく分かります。

60%を高負荷としているので、トレーニングをしている人からしたら、

軽く呼吸が乱れるかどうか、といった程度の負荷でしょう。

それを毎日続けている生活だと、その日の練習が翌日まで影響を与える、

さらに 翌日にも運動をすれば効果がずっと継続される、と。

しっかりとトレーニングをしている人にとっては、

軽いジョギング程度の運動ならば毎日やった方が大きな効果が得られる、

ということが言えると思われます。

ここにタンパク質の摂取などによってどのような変化が起こるのか、

という点がイマイチ見えませんが。ひょっとしたら栄養摂取がシグナルを減らす、

ということもあるかもしれませんし、無いかもしれませんし。

2017年3月1日水曜日

安静時及びレジスタンストレーニング後のホエイ、ソイ、カゼインプロテインの摂取

Ingestion of whey hydrolysate, casein, or soy protein isolate: effects on mixed muscle protein synthesis at rest and following resistance exercise in young men


http://jap.physiology.org/content/107/3/987

Journal of Applied Physiology Published 1 September 2009 Vol. 107 no. 3, 987-992

Jason E. Tang, Daniel R. Moore, Gregory W. Kujbida, Mark A. Tarnopolsky, Stuart M. Phillips

ホエイ、ソイ、カゼインの摂取による筋タンパク合成の違いは知られているが、

(2009年時点では研究が少なくて知られていない)

レジスタンストレーニング後のホエイ、ソイ、カゼインプロテインの摂取に関して、

含まれるEAAの量を同一にしてみたらどう異なるかを実験。

健康な男性18人の被験者。

体重あたり1.2~1.4gの摂取。

結果、

ホエイ >>>>>> ソイ >>>>>>>>>>>>>> カゼイン(注;参考概念です)

この実験からカゼインが筋肉の分解を抑制することを示すのは難しい。

Free


2009年の論文ですので、今からしたら分かっていることが分かっていない。

それでも現在の時点で分かっているように話がされていることが、

実はそれはおかしいのでは、

と指摘されています。

現在、一般的に言われている話が実は10年以上前の知識をベースとしていて、

この10年間でガラッと変わっている可能性もあります。

参考文献を含め、とても参考になるものかと思いますので、

一読ください。

英語が無理という人でも図が分かりやすいと思いますし。

2017年2月28日火曜日

レジスタンストレーニング後のアミノ酸の摂取は筋タンパク合成とシグナルを高める

Rapid aminoacidemia enhances myofibrillar protein synthesis and anabolic intramuscular signaling responses after resistance exercise

http://ajcn.nutrition.org/content/94/3/795.long

Am J Clin Nutr September 2011 vol. 94 no. 3 795-803

Daniel WD West, Nicholas A Burd, Vernon G Coffey, Steven K Baker, Louise M Burke,
John A Hawley, Daniel R Moore, Trent Stellingwerff, and Stuart M Phillips

タンパク質の摂取をレジスタンストレーニングの後に行うと、

より高い筋肉の合成が行われることが知られている。

一方でアミノ酸の摂取(特にロイシン)によっても筋肉の合成が刺激されることも知られている。

カゼインとホエイではカゼインの方が血中アミノ酸の濃度が高まらず、

筋肉のタンパク合成を刺激しないことも知られている。

この違いは一度の摂取量によるものなのかが明確に調査されていないので調べた。

1回に25gを摂取する群と2.5gを20分ごとに10回摂取する群での比較。

12.8gのEAAを含み(ロイシンは3.5g)炭水化物と脂質は無し。

筋タンパク質合成は1回に25gの方が1~3時間でも3~5時間でも高かった(10回群は3時間過ぎてもまだ投与しているのに)。

筋肉の同化シグナルは有意差があったりなかったり。
(AktThr308, AktSer473, mTORSer2448, 4EBP1Thr37/46 phosphorylation)

結論として、

一度に摂取した場合、3時間程度で血中アミノ酸は通常値に戻るが筋タンパク合成は続いており、

その数値は分割して長時間摂取するよりも有意に高い効果が出ている。

先行研究では運動とアミノ酸の摂取を組み合わせていない。

運動後にアミノ酸を摂取することでトレーニングとアミノ酸の効果を強められる。

筋タンパク合成を刺激するロイシンを多く含むタンパク質を一度に大量に摂取することが大事。

 (Free)




この論文から言えることとしては一度に25gのタンパク質(ロイシン3.5g)を超える摂取、

これが大事であるということです(両足での8-10RM×8setのトレーニング後に)。

運動後にはカゼインなどの吸収が遅いものは効果的では無いということが言えますね。

また、アミノ酸の量が少なくても効果が出ない。


筋肉の分解を怖がるよりも合成が少なくなることを気にした方が良い、

とも言えるかと思います。

2017年2月27日月曜日

食事による体内グルコースとアミノ酸の変化

Splanchnic and leg substrate exchange after ingestion of a natural mixed meal in humans

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10331398

Diabetes. 1999 May;48(5):958-66.

Capaldo B, Gastaldelli A, Antoniello S, Auletta M, Pardo F, Ciociaro D, Guida R, Ferrannini E, Saccà L

糖質の単純な摂取による動態は知られているが、

食事による糖質、脂質、タンパク質が同時に摂取された後の変化はよく分からないので、

男性11人を被験者として実験。

600kcalのピザを食べた後の変化を見た結果、

炭水化物は5時間後でもまだ吸収中と推測される。

動脈血中の乳酸値は30%ほど上昇したが、120分もしたら通常の値に戻った。

5時間後でも肝臓のアミノ酸放出は高まり筋肉での利用は増加した。



1999年の論文ですが、

サプリメントなどでの摂取ではなく、

通常の食事をしたらどのような変化が見られるのか、

というものを調べています。

近年、サプリメントでの単独摂取だけで語っている話が多く見られますが、

日常における食事も栄養補給に大きな効果を持っていますし、

その時間はかなり長く続きます。

こうした点を考えてサプリメントの摂取は実施すべきかと思います。

2017年2月26日日曜日

栄養と運動による筋肉のタンパク質合成(レビュー)

Muscle protein synthesis in response to nutrition and exercise


https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22289911

J Physiol. 2012 Mar 1;590(5):1049-57. doi: 10.1113/jphysiol.2011.225003. Epub 2012 Jan 30.

Atherton PJ, Smith K.

分かってはいたことですが、

運動と栄養の摂取によって筋肉の合成はより高まることがエビデンスベースで示されてきまして、

じゃあどういう時に筋肉の合成は高まるのか、抑制されるのか??

というのをまとめたレビューです。

これで2012年。

よく分からない面が多くあるのが人間の身体ということで。