2017年2月21日火曜日

フォリスタチンによる筋肥大はSmad3とmTORの影響するがミオスタチンとは別の機構で作用

Follistatin-mediated skeletal muscle hypertrophy is regulated by Smad3 and mTOR independently of myostatin.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22711699

J Cell Biol. 2012 Jun 25;197(7):997-1008. doi: 10.1083/jcb.201109091. Epub 2012 Jun 18.

Winbanks CE, Weeks KL, Thomson RE, Sepulveda PV, Beyer C, Qian H, Chen JL, Allen JM, Lancaster GI, Febbraio MA, Harrison CA, McMullen JR, Chamberlain JS, Gregorevic P.
フォリスタチンはTGF-βに結合し、TGF-βが別の物質と結合するのを防ぐ。

これにより筋肥大を抑制するとされるミオスタチンなどは機能しにくくなる。

ミオスタチンはSmadを介して情報を伝達する。

筋肥大の刺激にはmTORやAkt、S6Kなどの経路があるが、

フォリスタチンはどれに対して影響を与えるかを検討。

結果、フォリスタチンはmTORやS6Kに作用してSmadに影響を与えたが、

ミオスタチンには特に影響を与えないと考えられる。

(Free)


筋肉を肥大させる要因は多々ありますが、

その一方で筋肉を減らそうとする作用も多々あります。

運動によって遺伝子発現が起こり刺激が与えられ、

筋肉を増やしたり減らしたりするスイッチが入る。

タンパク質の摂取などはそれよりも下流ですので、

こうした上流の因子がどう変化させるかというのが筋肥大など、

トレーニング効果を最大限発揮させるには大事になります。

まぁトレーニングなどでは簡単に変化しないので、

ドーピングと呼ばれるような手法で強引に変化させてしまうわけです。

だからドーピングはダメと言われるわけです。

で、

ミオスタチンは筋肥大を抑制する因子として知られておりますが、

これをノックアウトする方法が無いものか、

ドーピングとならない方法では無いのか?

ということを探し回るわけですが、

2012年の時点ではフォリスタチンはミオスタチンに影響を与えないから別の方法を考えよう、

となったわけです。

筋肥大を抑制する因子が抑制されるから肥大するというよりも、

筋肥大を促進する因子を活発化させるから肥大する、

ということですね。

どちらを中心に狙うべきかというのは、まだまだよく分からない所です。

2017年2月20日月曜日

AMP活性化プロテインキナーゼはmTORシグナルの活性を抑制しタンパク質の合成を抑制する

AMP-activated protein kinase suppresses protein synthesis in rat skeletal muscle through down-regulated mammalian target of rapamycin (mTOR) signaling

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11997383/

J Biol Chem. 2002 Jul 5;277(27):23977-80. Epub 2002 May 7.

Bolster DR, Crozier SJ, Kimball SR, Jefferson LS.


アカデシン(AICAR)を用いたAMPK活性はの増加はmRNA翻訳を減らし、

タンパク質の合成を減らすと仮定してマウスで実験。

運動などによってATPはADP、さらにAMPへと分解されるが、

この時にAMPが増えてくるとAMPKが増加していく。



これも現在となっては当たり前の話として知られていますが、

2002年の研究ですのでよく分からない部分は多かったということで。

AMPKは筋肉合成に関して悪影響ではありますが、

脂肪酸の利用を高めることは減量や持久的な要素を狙ったトレーニングを実施している場合には良い効果がある。

何を目的としてトレーニングを実施するかによって、

AMPKは良くも悪くもなる、ということです。

この点が分かると、筋肥大を狙う場合はATPを減らさないようにするのが良い、

ということが見えてくると思います。

呼吸が乱れるような負荷設定は筋肥大を抑制するスイッチを入れることになるので。

2017年2月19日日曜日

カゼインとホエイの違いによる食後の血中アミノ酸濃度変化

Slow and fast dietary proteins differently modulate postprandial protein accretion
http://www.pnas.org/content/94/26/14930.full

PNAS December 23, 1997 vol. 94 no. 26

Yves Boirie, Martial Dangin, Pierre Gachon, Marie-Paule Vasson,
Jean-Louis Maubois, and Bernard Beaufrère

1997年の論文です。

16人の健康な男性被験者。

カゼインとホエイというタンパク質の違いは摂取後にどのような違いを生むか、

という点を調べたもの。

ホエイは摂取後にアミノ酸濃度を高める

カゼインはホエイほど高い濃度にならないが6時間経ってもやや高い状態にする。

120~180分の間でカゼインの方が血中のロイシンの濃度が上回るようになる。

この違いはカゼインは胃から腸へと排出される速度が遅いということから起こる。




睡眠中などは30g程度のカゼインを事前に摂取するのは効果的であるが、

筋肉の合成は高めないのでカタボリックな状態を抑制したい、

という点を意識する人は良いかもしれません。

近年では寝る前のホエイの摂取で筋合成が高まるとされていますし、

ホエイの摂取による刺激>カゼインによる分解の抑制

といったことが言えるかもしれません。

また、これより古い1987年の研究では

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3316280?dopt=Abstract

インスリンの分泌も筋肉の分解を防ぐ要素とされていますし、

日常生活では食事の時間との関係なども意識しての摂取で大丈夫、

といった所かと思います。

2017年2月18日土曜日

炭水化物+アミノ酸+小麦タンパク質の混合物の摂取は運動後の筋グリコーゲン合成を最大化する

Maximizing postexercise muscle glycogen synthesis: carbohydrate supplementation and the application of amino acid or protein hydrolysate mixtures

http://ajcn.nutrition.org/content/72/1/106.full

Am J Clin Nutr July 2000 vol. 72 no. 1 106-111

Luc JC van Loon, Wim HM Saris, Margriet Kruijshoop, and Anton JM Wagenmakers

8人のwell-trainedのサイクリストでの実験。

グリコーゲン量の回復は1時間に体重あたり0.5gの摂取を行うことで促進される(ref10)

0.75gと1.5gでは差は無かった(ref7)

固形、液体、静脈投与での差は無かった(ref8,12)

体重あたり0.8gのタンパク質と炭水化物の混合物は回復を促した(ref13)

こうした先行研究をベースに実験を実施。

30分ごとに体重あたり3.5mlの飲料を摂取。内容としては以下。

コントロール群;0.8gの糖質(グルコースとマルトデキストリンそれぞれ50%を含む)

炭水化物+アミノ酸群;上記の糖質0.8gに加え0.4gのアミノ酸(ロイシン:フェニルアラニン50%ずつ、小麦加水分解タンパク質50%)

炭水化物+炭水化物群;1.2gの糖質(グルコースとマルトデキストリンそれぞれ50%を含む)

炭水化物+炭水化物群はコントロール群より170%高い回復を5時間で見せた。

炭水化物+アミノ酸群はインスリンが最も高くなり、筋グリコーゲンの回復も高かったが、血中グルコースは最も低くなった。


同じようなタイトルが続いていますが、

今から10年やそれ以上前の論文とそこの引用を眺めておりますので、

こうなるのも仕方ないと思って頂ければ。

この論文から言えることは筋肉のグリコーゲンの回復だけを考えるならば、

炭水化物を多くするのがベストであるということになりますね。

ただ、筋肉の回復などもしないと翌日のパフォーマンスは下がりますので、

グリコーゲンも高くしつつ筋肉の合成も高くなるもの、

という選択をしていくのが良いと言えるでしょう。

どれも最高に高くなるという手法があれば良いのですがね。

2017年2月17日金曜日

炭水化物とタンパク質の混合物は運動後のグリコーゲンの貯蔵を高める

Carbohydrate-protein complex increases the rate of muscle glycogen storage after exercise
http://jap.physiology.org/content/72/5/1854

K. M. Zawadzki, B. B. Yaspelkis, J. L. Ivy




前日の2000年のものはこの1992年のタンパク質と炭水化物のをさらに調べたものということで。

https://tf-ver3.blogspot.jp/2017/02/blog-post_16.html


運動後にはタンパク質と炭水化物をしっかりと摂取した方が筋肉のグリコーゲンの貯蔵を高めるので、

翌日やそれ以降のパフォーマンスに備えることが出来る。



糖質を摂取
小麦製品

見えてくるものはいくつかありますね。