2017年2月28日火曜日

レジスタンストレーニング後のアミノ酸の摂取は筋タンパク合成とシグナルを高める

Rapid aminoacidemia enhances myofibrillar protein synthesis and anabolic intramuscular signaling responses after resistance exercise

http://ajcn.nutrition.org/content/94/3/795.long

Am J Clin Nutr September 2011 vol. 94 no. 3 795-803

Daniel WD West, Nicholas A Burd, Vernon G Coffey, Steven K Baker, Louise M Burke,
John A Hawley, Daniel R Moore, Trent Stellingwerff, and Stuart M Phillips

タンパク質の摂取をレジスタンストレーニングの後に行うと、

より高い筋肉の合成が行われることが知られている。

一方でアミノ酸の摂取(特にロイシン)によっても筋肉の合成が刺激されることも知られている。

カゼインとホエイではカゼインの方が血中アミノ酸の濃度が高まらず、

筋肉のタンパク合成を刺激しないことも知られている。

この違いは一度の摂取量によるものなのかが明確に調査されていないので調べた。

1回に25gを摂取する群と2.5gを20分ごとに10回摂取する群での比較。

12.8gのEAAを含み(ロイシンは3.5g)炭水化物と脂質は無し。

筋タンパク質合成は1回に25gの方が1~3時間でも3~5時間でも高かった(10回群は3時間過ぎてもまだ投与しているのに)。

筋肉の同化シグナルは有意差があったりなかったり。
(AktThr308, AktSer473, mTORSer2448, 4EBP1Thr37/46 phosphorylation)

結論として、

一度に摂取した場合、3時間程度で血中アミノ酸は通常値に戻るが筋タンパク合成は続いており、

その数値は分割して長時間摂取するよりも有意に高い効果が出ている。

先行研究では運動とアミノ酸の摂取を組み合わせていない。

運動後にアミノ酸を摂取することでトレーニングとアミノ酸の効果を強められる。

筋タンパク合成を刺激するロイシンを多く含むタンパク質を一度に大量に摂取することが大事。

 (Free)




この論文から言えることとしては一度に25gのタンパク質(ロイシン3.5g)を超える摂取、

これが大事であるということです(両足での8-10RM×8setのトレーニング後に)。

運動後にはカゼインなどの吸収が遅いものは効果的では無いということが言えますね。

また、アミノ酸の量が少なくても効果が出ない。


筋肉の分解を怖がるよりも合成が少なくなることを気にした方が良い、

とも言えるかと思います。

2017年2月27日月曜日

食事による体内グルコースとアミノ酸の変化

Splanchnic and leg substrate exchange after ingestion of a natural mixed meal in humans

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10331398

Diabetes. 1999 May;48(5):958-66.

Capaldo B, Gastaldelli A, Antoniello S, Auletta M, Pardo F, Ciociaro D, Guida R, Ferrannini E, Saccà L

糖質の単純な摂取による動態は知られているが、

食事による糖質、脂質、タンパク質が同時に摂取された後の変化はよく分からないので、

男性11人を被験者として実験。

600kcalのピザを食べた後の変化を見た結果、

炭水化物は5時間後でもまだ吸収中と推測される。

動脈血中の乳酸値は30%ほど上昇したが、120分もしたら通常の値に戻った。

5時間後でも肝臓のアミノ酸放出は高まり筋肉での利用は増加した。



1999年の論文ですが、

サプリメントなどでの摂取ではなく、

通常の食事をしたらどのような変化が見られるのか、

というものを調べています。

近年、サプリメントでの単独摂取だけで語っている話が多く見られますが、

日常における食事も栄養補給に大きな効果を持っていますし、

その時間はかなり長く続きます。

こうした点を考えてサプリメントの摂取は実施すべきかと思います。

2017年2月26日日曜日

栄養と運動による筋肉のタンパク質合成(レビュー)

Muscle protein synthesis in response to nutrition and exercise


https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22289911

J Physiol. 2012 Mar 1;590(5):1049-57. doi: 10.1113/jphysiol.2011.225003. Epub 2012 Jan 30.

Atherton PJ, Smith K.

分かってはいたことですが、

運動と栄養の摂取によって筋肉の合成はより高まることがエビデンスベースで示されてきまして、

じゃあどういう時に筋肉の合成は高まるのか、抑制されるのか??

というのをまとめたレビューです。

これで2012年。

よく分からない面が多くあるのが人間の身体ということで。

2017年2月25日土曜日

運動中と運動後の筋肉合成と分解(レビュー)

Human muscle protein synthesis and breakdown during and after exercise

http://jap.physiology.org/content/106/6/2026



Vinod Kumar, Philip Atherton, Kenneth Smith, Michael J. Rennie

運動後には筋肉の合成が高まるが、分解の方が上回ってしまう。

これを逆転させて合成を高めるにはアミノ酸、タンパク質の摂取である(111)。

運動前にタンパク質を摂取することで運動中の筋肉合成が高まる(7)。

人の持久的な運動中にタンパク質の合成が下がるという明確なデータはほとんどないが、

自転車運動の後に筋肉合成のシグナルが高まっていることが示されている(123)

運動後のタンパク質の摂取タイミングはいつがベストなのかは様々な意見があるが、

数時間が経つよりはなるべく早い方が良い(40,53,67)

ホエイとカゼインとソイではホエイが最も良いとされる(53,124) 。

などなど。

Free


筋肉の分解と合成、食事やタイミングなど、多くの点についてまとめているレビューです。

2008年と少し古いですが、基本的な点を理解するには良いと思います。

なお、明日は2012年のレビュー「栄養と運動によるタンパク質合成」です。

2017年2月24日金曜日

インスリンによる筋肉分解の抑制は高齢者のサルコペニアの予防に貢献するかもしれない

Blunting of insulin inhibition of proteolysis in legs of older subjects may contribute to age-related sarcopenia


https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19740975

Am J Clin Nutr. 2009 Nov;90(5):1343-50. doi: 10.3945/ajcn.2009.27543. Epub 2009 Sep 9.

Wilkes EA, Selby AL, Atherton PJ, Patel R, Rankin D, Smith K, Rennie MJ.

高齢者は筋肉の合成よりも分解の方が上回る結果、サルコペニアが引き起こされる。

インスリンは筋肉の分解に効果があると言われているが、

その機序は明確でなく効果が無いというデータも示されている。

低いインスリンの分泌はどの程度筋肉の分解を抑制するか調べてみた。

男性4人、女性4人の若者と高齢者のグループで実験(BMIは若者24:高齢者26)。

結果、高齢者はインスリンが食事程度で高まるインスリンの分泌では筋肉の分解が抑制されにくい。

高齢者のインスリンを調べたデータと異なる点が出たのは、今回の実験の参加者のBMIが高いからと推測される。

高齢者になるとアミノ酸にもインスリンにも反応が悪くなる。

(Free)


肥満などによってインスリンの応答が悪くなることが将来的なサルコペニアを引き起こす原因になるかもしれない、ということですね。

まぁ運動して筋肉に刺激を入れ、食事もタンパク質量を多くしてアミノ酸濃度を高めてインスリンが分泌されるようにすることで、

健康寿命も長くなるということが考えられそうです。

食べても反応しないから若者よりも高齢者の方がサルコペニアの予防のためにも、

より多くの食事をしっかりと、となりますかね。

運動をして刺激を入れていれば防げると思いますので、

食事と運動を若い頃から実践して健康な老後を目指しましょう、と。

2009年時点ではインスリンによる予防が効果的と言われていたという点も。