2017年8月25日金曜日

水分補給の歴史から学ぶ

紀要ではありますが、水分補給の歴史的な背景から書かれていましたので。

「運動時の水分補給に関する変遷ならびに日本における運動習慣のある若年成人の現状と課題」
https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=22506&file_id=17&file_no=1


時代の変化をご理解頂きたいと思いましてスライド化しました。

文字が多くて読みたくないとなるかもしれませんので7枚ほどにまとめました。

十分多いですかね…

夏の話という感じになりますが、



トレーニング中だけでなくトレーニング前にも水分補給が出来ているかの確認が必要である、

という点を理解をして頂ければ。




論文中に出てくるガイドブックなどのサイトは以下に示す通りです。

スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック
http://www.japan-sports.or.jp/publish/tabid/661/pdid/48/Default.aspx

熱中症環境保健マニュアル
http://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php


Selecting and Effectively Using Hydration for Fitness
https://www.acsm.org/docs/brochures/selecting-and-effectively-using-hydration-for-fitness.pdf











スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック
http://www.japan-sports.or.jp/publish/tabid/661/pdid/48/Default.aspx

part4の21ぺージより

5~15℃に冷やした、飲みやすい組成、胃にたまりにくい組成および量

などがすすめられます。

冷たいものを摂取しましょう。

2017年8月20日日曜日

ドーピング問題はいつ誰に起こるか分からない

つい先日、昨年起こりました一件の仲裁結果が出されまして、

自転車選手によるドーピング問題が伝えられました。

詳細は公益財団法人日本スポーツ仲裁機構
JSAA-DP-2016-001

http://www.jsaa.jp/award/DP-2016-001.html

こちらに記載されていますので全文を読んで頂くのがベストかと思います。


本件を簡単にまとめますと

・サプリメントの表記に禁止物質が書いていなくても混入しているケースはある(国内、国外問わず)
・過去に使って安全だった商品が次回も安全とは限らない(製造ラインで混入する可能性がある)
・有名なメーカーでも混入することはある
・他人が使っていて検出されなかった商品でも信用はできない

・過去に禁止物質を混入させた会社の商品は危険なので避ける 
・大会前後で使用したサプリメントその他はドーピング検査の結果が出るまで保管。使い切らずに少し残しておく(過失・過誤の程度を証明するため)
・選手は自ら過失が少ないことを証明しないといけない(企業その他に責任があるということを証明)

などなどあります。
 
ザックリと見ていきます。

まず、2016年10月の国体で検査を実施した結果、

体内から禁止物質が検出され、10月末に暫定的に資格停止となった。

12月に4年間の資格停止となったことで、スポーツ仲裁機構に訴えた、

という事案です。


12月に申し立てをして2017年2月から仲裁機構が活動し、

4月にSMRTL(アメリカの調査機関)にサプリメントを送るも税関を通過できず、

5月中頃に到着し、6月頭には検査結果が出て、8月に仲裁の判断が出された、

という流れですね。

この中でサプリメントの検査をしたら禁止物質が出てきたという話です。

この辺りの話を見ていくと、

2015年に購入したANAVITE(GASPARINUTRITION.COM製)を使用している時は検査に引っかかったことが無い。

2016年に8月と9月に購入したANAVITEからは禁止物質が検出された、

となっています。

14種類のサプリメントを使用していたが、

今回問題となるのは競技会参加前に使っていたANAVITEから禁止物質が出た点です。

それ以外は競技会前には使用していなかったもようです。

なお、競技会後の検査では検出されていませんが、

使用していたQH-Absorb(Jarrow FORMULAS製)を検査したらオキサンドロロンが出たとなっています。

この点に関しては、競技会の時に摂取していたボトルとは別のものを検査機関に提出したとなっているので、

こちらも汚染疑われるという事態ですね…

さて、ANAVITEには禁止物質が含まれているような表記はありません。

そのため摂取しても大丈夫と考えたようですが、

同社の製品であるSP250で2015年末に禁止物質が出ています。

この点に対して日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は調べ足りないと主張、指摘しています。

選手にミスが少ないほど資格停止期間は短くなりますが、

JADAの主張は本当にキツいです。


ところで、JADAの規定ってご存知ですか?


”2.1.1
禁止物質が体内に入らないようにすることは、各競技者が自ら取り組まなければならない責務である。自己の検体に禁止物質又はその代謝物若しくはマーカーが存在した場合には、競技者はその責任を負う。ゆえに、本第2.1項に基づくアンチ・ドーピング規則違反を証明するためには、競技者側に使用に関しての意図、過誤、過失又は使用を知っていたことが示される必要はない”

簡単に言えば、
体内から禁止物質(その代謝物質)が出たらアウト


となっています。

検査結果がおかしいということを主張するのは効果的ではありません。

この辺りはヤバい統計学という本でも書かれていた通りですね。

明らかに検出された場合は自信を持って摘発するが、

グレーなところの場合は見逃されていることが多い。

もし検査ミスだった場合には損害賠償や選手の信頼回復など、

失うものの方が大きいためです。

なので、検出されてクロと指摘された場合、何かから摂取してしまったと考えるしかありません。

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今回の案件では手元に残っていたサプリメントをアメリカの機関に送って検査した結果、

禁止物質が出たことからサプリメント(ANAVITE)が汚染されていたことが一要因と判断され、

資格停止期間が短縮されましたが、

ここから一つ覚えておかないといけないのは、

試合の一週間前から当日に摂取したサプリメントは覚えておく、手元に残しておく、

ということです。

全部使いきってしまって中身も無く容器も無くなっていたら、

自分に過失が無いことを明らかにすることが出来ません。

あまり意識したことが無い点かもしれませんが、

競技者は試合後も少し残しておくという習慣が無いとダメですね。

当日に摂取したものの一覧の中にモンスターエナジーがありますが、

これは検査対象外となっています。

多分、飲み干してそのまま捨ててしまったのだと思われますが、

ひょっとしたらこの中に入っていたかもしれないという可能性はあります。

JADAの考えだとサンプルを残していなかったのが過失になると思われます。

それだと食事なんかはどうしたら?食品が汚染されていたら、

と思う人もいるかと思いますが、

諦めるしかありません。

口の中に入れたものは全て自己責任での管理が必要です。

やはりサプリメントはダメだ、

という意見も散見されましたが、それは違います。

むしろ、食事の方が手元に残すことが無いので、

過失の有無を証明することが不可能になりますから救いようがありません。

こうなるともう何も食べられない、となってしまいますね。

ちなみに今回の検査には10点のサプリメントに対して60万円ほどかかっています(ほぼ全額が選手の負担)。

100%のドーピング違反を摘発するためには食事全てのチェックも必要になるので、

いかほどの金額が必要になるのか分からない、

となります。

100%のクリーンな状態が実現不可能だという話でもあります。

今回の案件では手元に残っていたサプリから検出されたので資格停止が短くなりましたが、

もし無かった場合は何も証明する方法が存在しないため、

4年間の資格停止になったと思われます。

まぁ不幸な一件という見方の方が適切かなという案件ですが、

これを書いていて「あぁこういう抜け道方法があるのか」というのに思い至りました。

真似される可能性があるので書きませんが、

ドーピング事案というのは本当に厄介なんだということがもっと理解されればな、

と思います。

過去にも同様の記事で書きましたけど、

他人からもらったものは食べられませんからね。

選手への差し入れで食べ物はやめてあげて下さい。

なお、今回検出されたからといってANAVITEが全てアウトというわけではなく、

この時期に同様の過程で製造されている商品を摂取した選手がいてもおかしくはありませんが、

もしいたとしても検出されていません。

競技に参加しない人が健康のために摂取している場合は問題ありません。

まぁそれなりの売れ行きの商品ですし、

その製造された日のこの容器だけ汚染されていた、

というのも考えにくい所ですね。

そうしたのもあるため、

過失が無くても処分はされるという形になってしまいます。

本当にクリーンな選手でも過去に傷がつくことになります。

そういうルールなので...

また、現在使用が認められているものでも、

著しくパフォーマンスを向上させる効果が認められた場合、

禁止物質に変更されます。

その辺りは過去に書いていますので、

https://tf-ver3.blogspot.jp/2017/03/blog-post_94.html

こちらを。

追記;選手はドーピングに引っかからないように気を付けており、

TSP承認プログラムやアンチドーピング品質管理プログラムなどがついているものを選び、

違反しないように気を付けていたと主張しています。

これに対してましてアンチ・ドーピング規律パネル(12月に処分を決定したところ)は、

TSP??禁止物質全てを調査していないと言ってるものを信じるとかバカなんじゃないの、

そんなので気を付けているとか言ってんの?は?(当然ながら意訳)

とぶった切っております。

また、14種類のサプリメントを摂取していたと選手が主張したのに対して、

3種類の検査だけをして検出されなかったから4年間の資格停止、

としている点は如何なものかな、

という気がします。

まぁ分析して出たとしても、体内から検出された事実は変わらないので、

安全じゃない製品を使った選手が悪いというのがJADAの立場ですので。

いやしかし、知れば知るほどドーピング関係の話というのは選手にとって不利な話しか無いと思えますね。

意図的にやった人は論外として、

意図的ではない人に対しての救いが無さすぎです。

2017年8月8日火曜日

第25回運動生理学会大会雑感

2017年7月29日(土)と30日(日)にかけまして、

横浜国立大学におきまして第25回運動生理学会が開催されました。

その振り返りを簡単に。

まずは田中英登大会長(横浜国立大学)による生活習慣と熱中症予防という講演。

開会のあいさつからの流れで横浜国立大学は横浜の街から微妙に遠く、

地下鉄の駅から歩くと夏場は汗だくになる距離である、

という自虐的なお話が強く記憶に残りました。

続く若手の口頭発表は抄録に記載の通りですね。
http://jsesp25.umin.jp/koutou.html(タイトルだけ)

A会場を見ていたのでB会場の方は分かりませんが、

ラットでのレジスタンス運動のセッション間は8時間だと筋肥大がしない、

というのがあります。

また、勃起不全が心血管疾患の発症と関連することから、

23~82歳の成人男性の運動能力(持久力と筋力)と勃起機能の関連を調べたというのは興味深いですね。

最高酸素摂取量と握力が勃起能スコア(IIEF5)と有意に関連することが示された、

とのことです。

Is Exercise good for the Brain?という題でのRomain Meesuse氏の国際招待講演は、

途中の細かな点で面白い話はありましたが、適度な運動は脳にとって良いけど、

やりすぎは良くないという当然の話にまとめられるかと思います。

初日の最後のシンポジウム1では2020年に向けた暑熱環境対策の現在というテーマで4題

「アスリートからの課題」田山寛豪(NTT東日本・西日本/流通経済大学)
「研究者からの最新研究紹介」長谷川博(広島大学)
「気象情報会社からのサポート例紹介」浅田佳津雄((株)ウェザーニューズ)
「オリンピックに向けたJISSでの取り組み」中村大輔(国立スポーツ科学センター)

田山さんのお話では過去のトライアスロンでの競技に関して大会に向けての練習などを振り返りつつ、

どうして失敗したのかを周囲の選手との暑熱対策の違いを取り上げて、

情報の少なさを挙げられていました。

外国の選手が冷やしているのに対して、冷やすことは良くないと教わったが、

より良い結果を残したのは外国の選手であったなどといった事例。

「選手は競技で結果を残すためには何でもやります」と言われておりましたが、

研究者の方々としてはどのような情報が欲しいのかを教えてもらわずに、

結果を残すための情報が出すことは難しいだろうな、と思いました。

科学的な見地からアドバイスしてくれる人を雇うのが効率よいと思います。
(お仕事の依頼お待ちしております)

長谷川先生による最新研究はエビデンスベースのお話でした。

共同研究をしているMujika氏、
https://twitter.com/inigomujika 
http://www.inigomujika.com/

の情報を追っていればまぁ知っている内容がほとんどとなるかと思いますが。

浅田さんによるウェザーニューズのスポーツサポートは初めて聞く内容も多く、

楽しく聞けました。

暑熱対策として日本に近い気候の国、都市の紹介(合宿をここでやればきっと効果的、費用などは知りません!!)といった掴みのトークから、

レース当日の気象予報だけでなく、レース中の風や気温の変化もリアルタイムで測定し、

それが選手に伝えられるなどして戦略を練れるなどなど。

3年後に行われる東京オリンピックに向けて気温などのデータ測定を実施して準備を開始しているそうです。

また、海外のチームで3年後に出られるか分からないが、

既に日本の気象情報を収集しに来ている所もあるとのこと。

3年後の見据えた早期の対策をしている人たちも多いのに、

今なにもしていなくて太刀打ちできますかね、と思いました。

最後の発表に関しては、JISSが暑熱対策ガイドブックを作ったそうです。

その程度ですかね。どうしても内容が重複してしまいますので。

2日目のA会場での口頭発表もこれといったものは無かったですね。

ハズレが多かったと思います。

パワーの発揮特性によって咬合力が違う。

強く噛む群はスピード型、弱い咬合力の軍は力型のパワー発揮特性とのこと。

まぁマウスピースって大事だな、と思いました。

脳出血後の早期リハビリテーションの運動機能回復に関しては、

超早期と後期での介入は良くないというデータが示されまして、

初日のRomain Meesuse氏の講演であったように、やりすぎは良くない、

ということかなと思いました。

早過ぎてもダメだし遅すぎでもダメ。早ければ早いほど効果があるわけじゃない、と。

続く特別公演は木村昌彦先生(横浜国立大学)による話で、

柔道のサポート現場について過去の例を具体的に振り返り、

何が良かったか、何がダメだったかを取り上げていきました。

科学的なサポートをしてもらうために、するためにどうしたらよいかを考えて、

柔道関係者がしっかりと意思の疎通をさせていくようにしたのかな、

という感じですね。

握力のテストを一つとっても、使えるデータにしていかないと意味が無い、

本気で取り組ませる工夫をしないと意味が無い。

基本的なところからしっかりと改善していった結果、

メダル争いを確実に期待できるようになっていった、

と。必ず取れるかは分からないけど、目標を明確に設定することで、

試合後のインタビューにおいて自分の言葉でしっかりと話せるようになった、

今回はこれが出来れば良かったので、これが出来るはずだったのに、

などなど。

緊張して動けなかったと言うけど、そこまで達してない人もよくいる、

というのが掴みのトークにありましたが、

トレーニングと自分の状態を理解していれば、緊張だけで片付けることは無いでしょう。

今をトキメク岡田先生のサポート話なども触れられていました。

この話を聞いての感想としては、やはり科学的なサポートができる人をしっかりと配置して、

コミュニケーションを丁寧に取って細かくやっていくのが大事、

ということですね。

大きな結果を求めて派手なことをやるのではなく、

地道に一つずつ丁寧に課題をこなしていく。

そうした地味な努力がやはり結果に結びつくわけですよね。

地道な努力の質が高まれば、より結果は良くなる。

その努力の質を高めるために科学的なサポートがある、

と。

自分の欲しい答えが100%そのまま出てくることは無いと思いますが、

コミュニケーションを取る中で自分に必要なことが見えてくる、

そうしたこともよくありますし。

より効果的なトレーニングをこなすための相談は大事ですね。
(お仕事の依頼お待ちしております。2度目)

ランチョンセミナーでは花王の提供によりまして時間栄養学、時間運動学の紹介。

人間はサーカディアンリズム(体内時計)があるので、

それによってトレーニング効果がどのように変わるかという話や、

花王の商品である茶カテキンの効果のお話。

安静時や運動時の脂質代謝を亢進させる効果があるので摂取することできっと効果が期待できるはずです。

最後は

脳-身体-環境の連関について、行動神経科学的アプローチからの知見を運動生理学に生かす

というテーマのシンポジウムへ。

気になった点としては志内哲也先生(徳島大学)の話の中にあった、

夜の食事で1日のカロリーの多くを摂取するとインスリン抵抗性が生じる、

という話やマウスがevening feedingでビビリになるという話でした。

https://www.astellas.com/jp/byoutai/other/reports_h23/pdf/23-23_shiuchi.pdf

ビビりになるマウスはエサがなくても生きられるようにしようとするのか、

エネルギー代謝が低下するとのこと。

こうした点を近年の知見に当てはめると、やはり夜のカロリーは少なくなるようにして、

朝食を重視するのが良さそうかな、などと思いました。

夜間の食事量と睡眠の質といった研究なんかをやると面白そう、

とも思います。

ポスター発表に関しては個人的にウッドチップで走った時の下肢筋活動の筋電図が興味深かったですね。

路面による走行時の筋活動量に有意な差はなく、

一方で速度が上昇すると速度の違いにおいて大腿二頭筋、腓腹筋内側、腓腹筋外側に有意な差があったとのこと。走行速度は1㎞7分30、6分、5分の3つ。

これだけで考えるとウッドチップの方が故障をしにくいということが言いにくいですし、

被験者の疲労感はウッドチップの方が高かったと言うのに筋放電は特に差がなかったりする。

下腿に関しては放電が少ないので、下腿の故障リスクは減るかもしれないが、

大腿は特に差がないから効果が無い?

などなど思うところが多々。



今回は総じて、あぁやはりそうなんだな、と思う点が多かったので、

ちゃんと論文を追えているな、考え方は間違っていないな、

となりましたが、やや物足りない感じでした。

まぁ裏付けが増えることは良いことですが、

へぇ、よく分からない、詳しくない分野だけど面白い、

と思えるものが無かったなぁ、という気がします。

2017年8月1日火曜日

8週間のヒップスラストはスプリントに影響を与えない。。。???

Heavy Barbell Hip Thrusts Do Not Effect Sprint Performance: An 8-Week Randomized-Controlled Study

http://journals.lww.com/nsca-jscr/Abstract/publishahead/Heavy_Barbell_Hip_Thrusts_Do_Not_Effect_Sprint.95841.aspx

Journal of Strength & Conditioning Research: Post Acceptance: July 24, 2017

Bishop, Chris et,al

ヒップスラストを行うことでスプリントが向上することが先行研究で示されているが、

アスリートでの実験は行われていないので実施してみた。

被験者;11人の大学レベルのアスリート男性15人と女性6人


ヒップスラスト群は週に2回5×5をヒップスラストを実施。負荷は85%1RM。

二回続けて最後のセットで2回rep数をさらにこなせるようになったら2.5%負荷を増加。

結果;ヒップスラストを実施した群は平均値では44.09kgほど1回のヒップスラストの最大値が向上。

スプリントタイムはコントロール群と同じくタイムの向上は無し。



タイトルやabstractを見ただけで効果が無い!!

と言い切ってしまっている人は、あ、この人は論文を読めない、読んでいない人なんだな、

と判断するのに最高の論文ですね。

問題点は著者も指摘している通りでしょう。

まずはトレーニングをしている人にとって、

この程度のことを加えただけでスプリント力が向上したら驚く内容です。

トレーニングしている人が週に二回、5×5のウエイトトレーニングだけで走るのが速くなったら、

誰もが実施しますよね。

最大値が大幅に上昇していますが、

被験者が走ることを専門としているわけではないので、

上昇した力を使うことが出来ていないと考えられます。

この点も著者の指摘通りでしょう。

走る能力にとっては最大値よりも回数をこなせる方が効果があるのかも、

といってた点も先行研究を引いて指摘しています。

この実験と同様のことは最大酸素摂取量の測定などでも見られます。

トレッドミルで走ることに慣れた結果、能力が向上したように見えてしまうといったケースです。


この論文から読み取れることは、

これだけやれば速くなれるというものは無い、

といった程度でしょう。

筋力は明らかに向上していますので、

それを使えるような走り方に転換できれば効果が出るかもしれません。

筆者の考察などをしっかりと読まないと何も言えない例として適度な論文でした。