Circadian rhythms in exercise performance: implications for hormonal and muscular adaptation
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24149547
J Sports Sci Med. 2011 Dec 1;10(4):600-6.
Teo W, Newton MJ, McGuigan MR.
24時間周期に起こる変化であるサーカディアンリズム(概日リズム)は、
多くの研究がなされている。
これを司るのは視床下部に位置する視交叉上核(SCN)である。
Hastings and Herzog 2004の研究では網膜から太陽の周期の情報を受け取るとされる。
ホルモンの分泌や体温の変化、神経機能活性化などはこの影響を受けている。
Cappaertの1999年の研究では、安静時の体温が最も高くなるのは夕方であり、
この時に身体の多くの機能が最も活性化されるとしている。
Baehr らの2000年の研究やHill らの1988年の研究、Kerkhofの1985年の研究などから、
人によって日内変動は異なり、朝方や夜型など様々なタイプが存在することも確認されている。
Guignardらの1980年の研究でテストステロンは早朝にピークがあり、
その後は下がっていくことが示された。
この研究ではコルチコイドも同様の変化があることが示された。
パフォーマンスと概日リズムの影響を調べるのは難しい。
太陽が出る、気温が上昇するなどの周辺環境によって影響を受けるし、
普段の日常生活の習慣も影響を与える。
個人の生物学的なリズムはそれらに影響を受けている。
Starkieらの1999年の研究では、体温の上昇が炭水化物の利用を脂質よりも高めると示した。
これにより筋肉の活動が高まると考えられる。
Taylor らの2011年の研究では、
早朝のトレーニングではウォーミングアップの時間を20分長くすることで力の発揮が弱まることを防げると示した。
この体温の上昇から、筋力の発揮には体温が関係していると言える。
しかし、Atkinsonらの2005年の研究では早朝にウォーミングアップをして自転車を漕ぐ実験をしたが、
体温が高まってもパフォーマンは夕方に行ったものに比べて低かった。
この時には耳の温度が夕方の方が高いことが確認されている。
Martinらの1999年の研究やGuetteらの2005年の研究では、
筋内で起こる様々な変化(カルシウムイオンの放出など)が概日リズムで影響を受けていると示した。
運動がテストステロンやコルチコイドの概日リズムに影響を与えるかを調べた研究は少ない。
Häkkinenらの1988年の研究では8人のトレーニングを積んだリフターを被験者として実験し、
午後のトレーニングが高いテストステロンを示すことを明らかにした。
Sedliakらが2007年に報告したデータでは連続したトレーニングによりテストステロンとコルチゾールが減少することを示した(有意な変化では無かった)。
Bird and Tarpenningの2004年の研究では夕方にレジスタンストレーニングを行うことは、
テストステロンとコルチゾールの比を改善し筋肥大に効果的であると示したが、
この実験には条件の問題が見られるので不明な点も多い。
Teoらの2011年の研究ではテストステロンとコルチゾールの概日での変動は、
力とパワーの発揮に関係が無いことを示した。
これはWestらの2010年の結果にある、
成長ホルモンやIGF-1、テストステロンの変化と力の発揮や筋肥大は無関係ということと同じである。
しかし、テストステロンとコルチゾールの概日リズムによる変化と力発揮などに関して、
不明な点はまだまだある。
Free
取りあえず、成長ホルモンやIGF-1、テストステロンなどのホルモンが筋肥大と無関係の可能性が高い、
という論文があることや、一日の変動を気にして夕方にトレーニングをしないといけない、
そう思っている人は特に気にしないでもよさそうですよ、
ということが言えると思います。
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