2015年10月31日土曜日

エネルギー欠乏状態はオートファジーにどう作用するか

Modulation of Autophagy Signaling with Resistance Exercise and Protein Ingestion Following Short-Term Energy Deficit

Smiles WJ, Areta JL, Coffey VG, Phillips SM, Moore DR, Stellingwerff T, Burke LM, Hawley JA, Camera DM

Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2015 Sep;309(5):R603-12


エネルギーを欠乏させてレジスタンストレーニングを実施してタンパク質を摂取させる、

それによってオートファジーはプラセボとどのような違いがあるのか、

というのを実験。

特に差はないが、初期増殖応答タンパク質1(EGR1)が増えているので、

運動前のことを気にするよりも運動後のタンパク質の摂取が大事、と言えますかね。

2015年10月30日金曜日

加圧トレーニングにおける圧の違いは筋肥大や筋活動に影響を与えるのか

The influence of relative blood flow restriction pressure 

on muscle activation and muscle adaptation


Brittany R. Counts BS, Scott J. Dankel BS, Brian E. Barnett BS, Daeyeol Kim MS,
J. Grant Mouser BS, Kirsten M. Allen BS,Robert S. Thiebaud PhD, Takashi Abe

Muscle Nerve. 2015 Jul 2. doi: 10.1002/mus.24756.

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/mus.24756/abstract

10年前にこの辺りの基礎研究をやっておりましたので、大体が予想通りの結果です。

そこまで強く血流を制限しないでも狙いとする効果は出るとなっておりますが、

この辺りからは適度な血流制限というのはスロトレのようなものでも出ると考えられるわけで。

そうなると加圧トレーニングの論文は上手く応用して使うことが出来るでしょうね。

なお、低い負荷でも筋肥大しますが、筋力の向上が起こらない、

神経系の適用が不足するので出力向上系のトレーニングの併用、

これが大事になります。

2015年10月14日水曜日

冷水に浸かることは効果的なのか

これまた定期的な気がしますが、

アイシングと呼ばれるものについてです。


COLD WATER IMMERSION




記事を載せているaspetarはカタールのドーハに拠点を置く研究やトレーニングを行う機関で、

近年の活躍は目覚ましいものがあります。

そんな施設があれば、そりゃあかなわない、と思って頂ければ。

日本なんかでは比較にならないレベルで、

世界のトップアスリートなんかも訪れてはトレーニングや研究協力をしています。

そんなaspetarを知っていただければ、

というための記事です。

定期的に記事を書いてくれているので、

それを定期的に読んであれこれと考えればよいかと思います。

なお、

この記事においてはアイシングと呼ばれるものの効果効能を再検討しています。

実際問題、

ここのところ非常に二分しているのがアイシングと呼ばれるものです。

効果があるという意見もあれば逆の意見もある。

マイナスの効果が見られるといったものも。

細かく学びたい人は最後に載ってる論文を読んで頂ければ。

取りあえず、日本人のアイシング万能論はちょっとおかしなレベルの信仰ですよ、

という点に気づいていただければ。

アイシングと呼ばれているもの、

という表記にしているのは日本人のアイシングの定義が曖昧すぎるからです。

水を脚に10分かけるのをアイシングと呼ぶ人もいますが、

あれは正確には水浴びです。

汗を流して汚れを落として気持ちよくなる以外の効果はほとんどありません。

筋肉はそうそう簡単に冷えないようになっていますので、

アイシングというのがどこまで厳しく定義されているのかも考えなおして頂ければ、

と。

まぁ肉離れなどの急性期以外はあまり必要なさそうというのが実感ですね。

ここのところはそうした流れに進んでいる感じもしますので。

2015年10月13日火曜日

REDD1の発現はタンパク質の合成を弱める

Nutrient-Induced Stimulation of Protein Synthesis in Mouse Skeletal Muscle Is Limited by the mTORC1 Repressor REDD1

Bradley S Gordon, David L Williamson, Charles H Lang, Leonard S Jefferson, and Scot R Kimball

J. Nutr. April 1, 2015 vol. 145 no. 4 708-713

http://jn.nutrition.org/content/145/4/708.abstract#fn-1


REDD1(development and DNA damage 1)が発現することで、

栄養が十分に足りていてもmTORC1が制御されるため、

タンパク質の合成が抑制される、というもの。

下の日本基礎老化学会の論文を見ていただければ、

より理解をしやすいかもしれません。

http://www.jsbmg.jp/products/pdf/BG35-3/35-3_11-16.pdf

ミオスタチンやREDD1などによって、

人間の筋肉は肥大しすぎないように制御されているわけですね。

これはエネルギーを多く消費するのが動物にとっては好ましくないと遺伝子で制御しているから、

そのように考えられたりしています。

食料が安定的に生産されるようになったのはここ数千年の話ですし、

この時間は遺伝子レベルで人類の進化などなどの影響を与えるには短すぎるとか。

ですので、

エネルギーは使わない身体が好ましいと脳その他は認識しております。

よって、

運動をするとエネルギーを無駄に使わないで済む体に変化します。

この辺りを理解すると、

競技に応じて食事をどうするべきなのか、

といったことが曖昧ながらも理解できるかもしれませんね。

2015年10月12日月曜日

睡眠と成長ホルモンの関係

Growth hormone secretion during sleep

Y. Takahashi, D. M. Kipnis, and W. H. Daughaday

J Clin Invest. 1968 Sep; 47(9): 2079–2090. doi: 10.1172/JCI105893
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC297368/


成長ホルモンと睡眠の関係を調べた論文です、

1968年のものですので、基礎研究として多くに引用されていますが、

さて、

どこに深夜にゴールデンタイムがあると書かれているのでしょうか。

睡眠後90分以内に上昇をし、

1.5~3.5時間のピークが来るといったことは書かれていますが。

就寝時間が22時~24時といった範囲でのデータがあり、

グラフとしては22時に就寝した人のものがありますが、

深夜0時過ぎにピークが来ていますね。

webで検索をしたところ、

近年では就寝3時間以内の質を高めるといった話があるようですが、

そちらの方が正解と言えるでしょう。

どこからゴールデンタイムなんておかしな話が出てきたのかは不明ですし。

2015年10月11日日曜日

身体が硬いことがエネルギー消費を減らす

The influence of flexibility on the economy of walking and jogging

Dr. Gilbert W. Gleim, Nina S. Stachenfeld and James A. Nicholas


Journal of Orthopaedic Research

Volume 8, Issue 6, pages 814–823, November 1990

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jor.1100080606/abstract

身体が柔らかい方が良いと思っている人が多いでしょうが、

残念ながら硬い方が余計なエネルギーを使わずに済むので、

走る際のエネルギー効率は良いということが言えます。

ケガを予防するためにも柔らかい方が良い!!

そう主張される方もいるかと思いますが、

さて、

その根拠はどこかにあるんでしょうか...

2015年10月5日月曜日

プロテインの投与が刺激シグナルにならない可能性

Protein supplementation does not alter intramuscular anabolic signaling or endocrine response after resistance exercise in trained men.


Gonzalez AM, Hoffman JR, Jajtner AR, Townsend JR, Boone CH, Beyer KS, Baker KM, Wells AJ, Church DD, Mangine GT, Oliveira LP, Moon JR,Fukuda DH, Stout JR

Nutr Res. 2015 Sep 10. pii: S0271-5317(15)00219-5. doi: 10.1016/


well-trainedな人でのトレーニングとタンパク質摂取の影響を検討し、

同化作用が進むと思って実験してみたら特に変化がなかったという論文。

mTORC1に対する刺激としては、プロテインの摂取では効果が無さそうなので、

何か別の手法を検討するべきですね。

2015年10月4日日曜日

ビタミンDの摂取が筋肥大や筋力の向上に影響するか

Does vitamin-D intake during resistance training improve the skeletal muscle hypertrophic and strength response in young and elderly men? - a randomized controlled trial.


Nutr Metab (Lond). 2015 Sep 30;12:32

Agergaard J, Trøstrup J, Uth J, Iversen JV, Boesen A, Andersen JL, Schjerling P, Langberg H
結論、しない。ただ、面白いデータは出てますね。
これは摂取する事での悪影響がほかに少ないのであれば、積極的に摂取するべきかもしれません。