Blunting of insulin inhibition of proteolysis in legs of older subjects may contribute to age-related sarcopenia
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19740975
Am J Clin Nutr. 2009 Nov;90(5):1343-50. doi: 10.3945/ajcn.2009.27543. Epub 2009 Sep 9.
Wilkes EA, Selby AL, Atherton PJ, Patel R, Rankin D, Smith K, Rennie MJ.
高齢者は筋肉の合成よりも分解の方が上回る結果、サルコペニアが引き起こされる。
インスリンは筋肉の分解に効果があると言われているが、
その機序は明確でなく効果が無いというデータも示されている。
低いインスリンの分泌はどの程度筋肉の分解を抑制するか調べてみた。
男性4人、女性4人の若者と高齢者のグループで実験(BMIは若者24:高齢者26)。
結果、高齢者はインスリンが食事程度で高まるインスリンの分泌では筋肉の分解が抑制されにくい。
高齢者のインスリンを調べたデータと異なる点が出たのは、今回の実験の参加者のBMIが高いからと推測される。
高齢者になるとアミノ酸にもインスリンにも反応が悪くなる。
(Free)
肥満などによってインスリンの応答が悪くなることが将来的なサルコペニアを引き起こす原因になるかもしれない、ということですね。
まぁ運動して筋肉に刺激を入れ、食事もタンパク質量を多くしてアミノ酸濃度を高めてインスリンが分泌されるようにすることで、
健康寿命も長くなるということが考えられそうです。
食べても反応しないから若者よりも高齢者の方がサルコペニアの予防のためにも、
より多くの食事をしっかりと、となりますかね。
運動をして刺激を入れていれば防げると思いますので、
食事と運動を若い頃から実践して健康な老後を目指しましょう、と。
2009年時点ではインスリンによる予防が効果的と言われていたという点も。
https://sites.google.com/view/spe-gym/ 走りや身体作りの指導など、各種のご依頼はジムのサイトよりどうぞ。小田急線、千歳船橋駅から徒歩3分のパーソナルジムです。
2017年2月24日金曜日
2017年2月23日木曜日
筋肉合成とmTORのシグナルは時間経過により不一致が生じる
Muscle full effect after oral protein: time-dependent concordance and discordance between human muscle protein synthesis and mTORC1 signaling
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20844073
Am J Clin Nutr. 2010 Nov;92(5):1080-8. doi: 10.3945/ajcn.2010.29819. Epub 2010 Sep 15
Atherton PJ, Etheridge T, Watt PW, Wilkinson D, Selby A, Rankin D, Smith K, Rennie MJ.
イントロ部分は(1~8)の論文を示してタンパク質やアミノ酸による筋肉合成の歴史に触れつつ、
アミノ酸はmRNAの転写を刺激するが多くの研究はmTOR1についてなされているという前振り。
そしてホエイタンパク質を48g、EAAにして20gの摂取によってどのような変化が時間の経過とともに生じるかを調査。
健康な若い男性8名での実験。
結果としては、タンパク質の摂取によるMPS(筋合成)は45~90分でピークを迎え、
以降は180分でベースラインに戻る。
しかし、筋合成のシグナル(”ie, S6K1, 4EBP1 phosphorylation, and eIF4E•eIF4G”) は
上昇したままであった。
これに関してはアミノ酸が血中や筋中にあっても利用できないシグナルが出ている可能性がある。
小胞体ストレスなど何かしらの要因があるかもしれないが、さらなる実験が必要。
(Free)
筋肉の合成はアミノ酸の摂取によって刺激されるということが言われていますが、
その理由というのがイマイチ分かっていないということですね。
2010年の論文ですが現状もそんなに大差はないかと思います。
人間の身体は複雑に制御されているから、
ということですかね。
血中や筋中のアミノ酸濃度を高くすることが筋肉の合成には大事であり、
ある程度の状態に戻るとシグナルはあっても筋肉の合成はなされない。
この点を見ると、 一度に多くのタンパク質を摂取して刺激をし、
再び180分後に摂取して刺激をし、
というのは効率が最も良いという事実が再度認識されるかと思います。
食事での筋肉合成の刺激と運動での刺激はどちらがより強いのか、
といった視点も必要になるかと思います。
まぁアミノ酸の濃度が高くならないと食事からの刺激が不足する、
という点を理解しておけば良いかと思います。
参考までに2009年のを。日本語です。
http://www.nncj.nestle.co.jp/ja/scientificpublications/repositoryofnutritionreviews/nutritionandphysicalexercise
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20844073
Am J Clin Nutr. 2010 Nov;92(5):1080-8. doi: 10.3945/ajcn.2010.29819. Epub 2010 Sep 15
Atherton PJ, Etheridge T, Watt PW, Wilkinson D, Selby A, Rankin D, Smith K, Rennie MJ.
イントロ部分は(1~8)の論文を示してタンパク質やアミノ酸による筋肉合成の歴史に触れつつ、
アミノ酸はmRNAの転写を刺激するが多くの研究はmTOR1についてなされているという前振り。
そしてホエイタンパク質を48g、EAAにして20gの摂取によってどのような変化が時間の経過とともに生じるかを調査。
健康な若い男性8名での実験。
結果としては、タンパク質の摂取によるMPS(筋合成)は45~90分でピークを迎え、
以降は180分でベースラインに戻る。
しかし、筋合成のシグナル(”ie, S6K1, 4EBP1 phosphorylation, and eIF4E•eIF4G”) は
上昇したままであった。
これに関してはアミノ酸が血中や筋中にあっても利用できないシグナルが出ている可能性がある。
小胞体ストレスなど何かしらの要因があるかもしれないが、さらなる実験が必要。
(Free)
筋肉の合成はアミノ酸の摂取によって刺激されるということが言われていますが、
その理由というのがイマイチ分かっていないということですね。
2010年の論文ですが現状もそんなに大差はないかと思います。
人間の身体は複雑に制御されているから、
ということですかね。
血中や筋中のアミノ酸濃度を高くすることが筋肉の合成には大事であり、
ある程度の状態に戻るとシグナルはあっても筋肉の合成はなされない。
この点を見ると、 一度に多くのタンパク質を摂取して刺激をし、
再び180分後に摂取して刺激をし、
というのは効率が最も良いという事実が再度認識されるかと思います。
食事での筋肉合成の刺激と運動での刺激はどちらがより強いのか、
といった視点も必要になるかと思います。
まぁアミノ酸の濃度が高くならないと食事からの刺激が不足する、
という点を理解しておけば良いかと思います。
参考までに2009年のを。日本語です。
http://www.nncj.nestle.co.jp/ja/scientificpublications/repositoryofnutritionreviews/nutritionandphysicalexercise
2017年2月22日水曜日
血中へのアミノ酸注入による刺激と筋肉での影響
Disassociation between the effects of amino acids and insulin on signaling, ubiquitin ligases, and protein turnover in human muscle.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18577697
Am J Physiol Endocrinol Metab. 2008 Sep;295(3):E595-604. doi: 10.1152/ajpendo.90411.2008. Epub 2008 Jun 24.
Greenhaff PL, Karagounis LG, Peirce N, Simpson EJ, Hazell M, Layfield R, Wackerhage H, Smith K, Atherton P, Selby A, Rennie MJ.
血中へのアミノ酸の注入と、それに伴うインスリンの変化を観察。
インスリンはアミノ酸とは無関係に筋肉の分解を抑制する効果がある(10、23)ようだが、
アミノ酸が十分にある状態でインスリンが高まることによる影響はよく分からないので、
健康な若い8人の男性で実験して観察してみた。
結果として、インスリン濃度が高まってもmRNAには大きな変化がなく、
筋肉の合成の指標として使っている場合は注意が必要である。
インスリンがタンパク質分解を制御しているということは言えるかもしれないが、
アミノ酸とインスリンを見ただけでは何も言えない。
インスリンは筋肉の分解を抑制するかどうかはイマイチ分からないという感じですね。
ただ、トレーニングを翌日も行うといった観点からすると、
インスリンを分泌させてグリコーゲンの貯蔵を増やすといったことは必要ですので、
インスリンは筋肉肥大を刺激しないから不要、
という短絡的な話に持ち込まないようにした方が良いでしょうね。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18577697
Am J Physiol Endocrinol Metab. 2008 Sep;295(3):E595-604. doi: 10.1152/ajpendo.90411.2008. Epub 2008 Jun 24.
Greenhaff PL, Karagounis LG, Peirce N, Simpson EJ, Hazell M, Layfield R, Wackerhage H, Smith K, Atherton P, Selby A, Rennie MJ.
血中へのアミノ酸の注入と、それに伴うインスリンの変化を観察。
インスリンはアミノ酸とは無関係に筋肉の分解を抑制する効果がある(10、23)ようだが、
アミノ酸が十分にある状態でインスリンが高まることによる影響はよく分からないので、
健康な若い8人の男性で実験して観察してみた。
結果として、インスリン濃度が高まってもmRNAには大きな変化がなく、
筋肉の合成の指標として使っている場合は注意が必要である。
インスリンがタンパク質分解を制御しているということは言えるかもしれないが、
アミノ酸とインスリンを見ただけでは何も言えない。
インスリンは筋肉の分解を抑制するかどうかはイマイチ分からないという感じですね。
ただ、トレーニングを翌日も行うといった観点からすると、
インスリンを分泌させてグリコーゲンの貯蔵を増やすといったことは必要ですので、
インスリンは筋肉肥大を刺激しないから不要、
という短絡的な話に持ち込まないようにした方が良いでしょうね。
2017年2月21日火曜日
PGC-1に関するレビュー
Peroxisome Proliferator-Activated Receptor γ Coactivator 1 Coactivators, Energy Homeostasis, and Metabolism
https://academic.oup.com/edrv/article-lookup/doi/10.1210/er.2006-0037
Christoph Handschin Bruce M. Spiegelman
2006年のものですが、
基本的な話を押さえるのには理解しやすいかと思います。
まぁ今から10年以上前のものなので、
日本語訳された教科書などもありますので、
日本が良いという方はそちらを読んだ方が。
ただ、参考文献などはどちらにせよ英語ですので、
基礎研究を見ておきたいという人はこれで良いかと思います。
https://academic.oup.com/edrv/article-lookup/doi/10.1210/er.2006-0037
Endocr Rev (2006) 27 (7): 728-735. DOI: https://doi.org/10.1210/er.2006-0037
Published: 01 December 2006
Published: 01 December 2006
Christoph Handschin Bruce M. Spiegelman
2006年のものですが、
基本的な話を押さえるのには理解しやすいかと思います。
まぁ今から10年以上前のものなので、
日本語訳された教科書などもありますので、
日本が良いという方はそちらを読んだ方が。
ただ、参考文献などはどちらにせよ英語ですので、
基礎研究を見ておきたいという人はこれで良いかと思います。
フォリスタチンによる筋肥大はSmad3とmTORの影響するがミオスタチンとは別の機構で作用
Follistatin-mediated skeletal muscle hypertrophy is regulated by Smad3 and mTOR independently of myostatin.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22711699
J Cell Biol. 2012 Jun 25;197(7):997-1008. doi: 10.1083/jcb.201109091. Epub 2012 Jun 18.
Winbanks CE, Weeks KL, Thomson RE, Sepulveda PV, Beyer C, Qian H, Chen JL, Allen JM, Lancaster GI, Febbraio MA, Harrison CA, McMullen JR, Chamberlain JS, Gregorevic P.
フォリスタチンはTGF-βに結合し、TGF-βが別の物質と結合するのを防ぐ。
これにより筋肥大を抑制するとされるミオスタチンなどは機能しにくくなる。
ミオスタチンはSmadを介して情報を伝達する。
筋肥大の刺激にはmTORやAkt、S6Kなどの経路があるが、
フォリスタチンはどれに対して影響を与えるかを検討。
結果、フォリスタチンはmTORやS6Kに作用してSmadに影響を与えたが、
ミオスタチンには特に影響を与えないと考えられる。
(Free)
筋肉を肥大させる要因は多々ありますが、
その一方で筋肉を減らそうとする作用も多々あります。
運動によって遺伝子発現が起こり刺激が与えられ、
筋肉を増やしたり減らしたりするスイッチが入る。
タンパク質の摂取などはそれよりも下流ですので、
こうした上流の因子がどう変化させるかというのが筋肥大など、
トレーニング効果を最大限発揮させるには大事になります。
まぁトレーニングなどでは簡単に変化しないので、
ドーピングと呼ばれるような手法で強引に変化させてしまうわけです。
だからドーピングはダメと言われるわけです。
で、
ミオスタチンは筋肥大を抑制する因子として知られておりますが、
これをノックアウトする方法が無いものか、
ドーピングとならない方法では無いのか?
ということを探し回るわけですが、
2012年の時点ではフォリスタチンはミオスタチンに影響を与えないから別の方法を考えよう、
となったわけです。
筋肥大を抑制する因子が抑制されるから肥大するというよりも、
筋肥大を促進する因子を活発化させるから肥大する、
ということですね。
どちらを中心に狙うべきかというのは、まだまだよく分からない所です。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22711699
J Cell Biol. 2012 Jun 25;197(7):997-1008. doi: 10.1083/jcb.201109091. Epub 2012 Jun 18.
Winbanks CE, Weeks KL, Thomson RE, Sepulveda PV, Beyer C, Qian H, Chen JL, Allen JM, Lancaster GI, Febbraio MA, Harrison CA, McMullen JR, Chamberlain JS, Gregorevic P.
フォリスタチンはTGF-βに結合し、TGF-βが別の物質と結合するのを防ぐ。
これにより筋肥大を抑制するとされるミオスタチンなどは機能しにくくなる。
ミオスタチンはSmadを介して情報を伝達する。
筋肥大の刺激にはmTORやAkt、S6Kなどの経路があるが、
フォリスタチンはどれに対して影響を与えるかを検討。
結果、フォリスタチンはmTORやS6Kに作用してSmadに影響を与えたが、
ミオスタチンには特に影響を与えないと考えられる。
(Free)
筋肉を肥大させる要因は多々ありますが、
その一方で筋肉を減らそうとする作用も多々あります。
運動によって遺伝子発現が起こり刺激が与えられ、
筋肉を増やしたり減らしたりするスイッチが入る。
タンパク質の摂取などはそれよりも下流ですので、
こうした上流の因子がどう変化させるかというのが筋肥大など、
トレーニング効果を最大限発揮させるには大事になります。
まぁトレーニングなどでは簡単に変化しないので、
ドーピングと呼ばれるような手法で強引に変化させてしまうわけです。
だからドーピングはダメと言われるわけです。
で、
ミオスタチンは筋肥大を抑制する因子として知られておりますが、
これをノックアウトする方法が無いものか、
ドーピングとならない方法では無いのか?
ということを探し回るわけですが、
2012年の時点ではフォリスタチンはミオスタチンに影響を与えないから別の方法を考えよう、
となったわけです。
筋肥大を抑制する因子が抑制されるから肥大するというよりも、
筋肥大を促進する因子を活発化させるから肥大する、
ということですね。
どちらを中心に狙うべきかというのは、まだまだよく分からない所です。
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