2015年6月1日月曜日

筋肉におけるグリコーゲンの回復にどれくらいの時間が掛かるのか

Enhanced Glycogen Storage of a Subcellular Hot Spot in Human Skeletal Muscle during Early Recovery from Eccentric Contractions.

PLoS One 2015 May 21;10(5):e0127808. doi: 10.1371/journal.pone.0127808. eCollection 2015

Nielsen JFarup JRahbek SKde Paoli FVVissing K.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25996774


運動後のグリコーゲンの回復速度というのは24~48時間というのが一般に言われていますが、

この回復というものに関して、速筋と遅筋でしっかりと考えたことがありますか?

という疑問に答えてくれているのがこちらの論文。

速筋と遅筋がどちらも同時に回復すると考えてしまっている人がほとんどですから、

前日にグリコーゲンを減らすような負荷の高い運動をしてしまう。

その結果、

翌日には回復しないのでパフォーマンスが下がる、

といった話が言えます。

2015年5月14日木曜日

説明したものはちゃんと伝わっているのか

本日は真面目に指導する際に起こるズレについての話。

選手に対して指導者が説明する、

もしくは選手が他の人から感覚の説明や練習のイメージなどを説明された時、

言葉での説明が全て正しく伝わるとは限りません。

これは話をする側と聞く側が同じ感覚を持っていない事が原因です。

例えば選手に対して今日の練習は「a+b」と説明します。

「a+b=12」これが今日の練習内容だと言われた選手は、

aにどのような数字を入れるか。

これは指導者が5と考えて5と説明しても、

4.2や5.8、

場合によっては10なんかが入ってしまうこともあります。

受け取る側の感覚が発する側とまったく同じで無ければ、

ズレは生じます。

このズレを小さくする作業が説明する側と受け取る側で必要になります。

数学なんかでは0≦a≦4といった定義をする事により、

その誤差は少なくなります。

しかし、

この範囲だけでは分数にしたりする可能性もあるので、

まだまだ範囲は広すぎます。

ですので、

aは自然数であるといった定義もさらにしないとなりません。

そんなもん選手は分かっている、

そう思う人もいるかもしれませんが、

感覚の違いというのは想像以上い大きいです。

ですので、

a+b=12という説明をして、

aは4より小さい自然数であってという定義でも不足している可能性を考え、

さらに範囲を狭める作業をする。

そこまでやって、

言いたいことがほぼ全て伝わります。

自分の感覚や知識と相手の感覚と知識は一致しない、

そこを認識してからの指導というのが大事です。

思ったように記録が伸びない場合などでは、

見た目では出来ているように思われることが、

実際には出来ていないということが原因だったりします。

自分の言っている事をイメージしているそのまま伝えるのは難しい、

そうした事が分かって頂ければ。

なお、

選手と指導者のフィーリングが一致しやすいというのはあると思います。

そうしたペアが理想的なんだろうと思いますが、

その際は指導者の能力というのが選手の伸びを大いに左右することになりますので、

選手は指導者の能力を上回るものを求めているのかな、

という疑問は持ち、

新たな技術を磨くために他の指導者に倣ったりするというのは必要だと思います。

感覚だけ磨いていれば良いというものでもありませんので。

2015年4月17日金曜日

世界記録保持者の身体構成


Skeletal Muscle Signature of a Champion Sprint Runner

室内で行われる60mハードルの世界記録保持者であるコリン・ジャクソンの身体を測定した論文です。MHC IIx muscle fibersが多いとトップスプリンターになれる、
そうしたことが言えるかもしれません。
よくある論文ではトップアスリートを数人抽出して、
それを平均化して数値を見ていますが、
そうした論文の問題点は下位の選手をトップアスリートと表現して良いか、
というところにあります。
9秒台で走る選手をトップアスリートと呼ぶのは間違いないでしょうが、
その中で9秒99の選手をトップと呼べるのか。
言うなればその集団の中で遅い人のデータが見えるものを見えなくしている可能性がある、
そういう話です。それと比べるとこの論文はとても分かりやすくて良いかと思います。

2015年4月11日土曜日

血流制限(加圧)による筋肉の活動量や血管の酸化能力について

Effects of blood flow restriction duration on muscle activation and microvascular oxygenation during low-volume isometric exercise.


Clin Physiol Funct Imaging. 2015 Jan 7.

Cayot TELauver JDSilette CRScheuermann BW.

近年、加圧トレーニングという言葉が広まってきまして、
そのトレーニング方法は知っている人が増えました。
しかし、どうやるのが最も効果的なトレーニングになるのかは、
まだまだ研究途上です。
ということで、こちらの論文では加圧した状態での筋中を調べて、
加圧トレーニングは効果があるのか、どれくらいの時間が必要なのか、
そういった点を調べています。
この加圧トレーニングは特殊な環境を体内において作り出しますが、
こうした環境になると何故にトレーニング効果が高まるのか、
そうした話へとつなげて考えていくと非常に面白いと思います。