第29回日本トレーニング科学会大会初日のちょっとした感想、コメント。
シンポジウム2の「芸術性が求められる身体美とトレーニング」では、
バレエ・シンクロ・新体操という三つの競技の経験者の方のお話がありましたが、
練習の話から感覚の話まで、
なるほどという点もあれば、どの競技でも感覚的には同じ面があるんだな、
と思う点もありまして、なかなか面白かったです。
シンクロの芳賀さんの話の中で、
1日中練習をしたりするので、少ない人でも4000kcalとか食べます、
というのは想像を超えていました。
体脂肪は16~18%といったところだそうです。
ポスター発表で気になったものは、
アキレス腱がくっきりとしている形態の人はパフォーマンスが高い、
高強度運動後は筋損傷に伴う浮腫が羽状角を変化させる?
腱膜のstiffnessが高いと筋腱複合体の機能が高まる可能性、
児童期スプリンターの大腰筋、大腿四頭筋、内転筋群の筋横断面積は疾走速度と回転数に有意な相関関係がある、
一過性の350mlビール摂取は動脈壁硬化度を低下させる、
若年女性アスリートでは全日本レベル以上の群の方が自らの月経周期を把握している割合が高い、
芝生と土での疾走を比較すると芝生の方が発揮する力が高くなっている、
といった所でした。
これ以外にも多くの発表があり、
会頭の桜井智野風先生(桐蔭横浜大学)からは
「学部生も発表できる学会なので、先生方、お願いします」
というコメントもありました。
若手の皆様のちょっとした疑問と実験してみようという行動力と発想を見て、
また新たな気付きなど生まれてくると思いますので、
興味のある方は是非とも研究と発表に挑戦してみて頂ければ。
情報交換会でバレエダンサーの志賀育恵さんが、
「数字化するのが好きなんだなと思いました」
というコメントをされていたように、
科学的に考えるというのは定量化、数字化して比較するのが大事になります。
同じことを繰り返した時に再現できるのか、という点からも数字には拘ります。
そうした細かい縛りを徹底している結果、
見えなくなってしまっているものもあると思いますので、
若手の皆様の縛りの無い状態で、
こんなのをやってみましたという気軽な感じでの研究、発表が増えるのは良いことだろうな、
と私も思います。
100m走を10回走ってもらってまったく同じ条件での試行が何回あるか。
気温、風力、風向き、フォーム、疲労etc...
そうしたものを平均して見えなくなるものもありますので、
データではこうですが、見た感じではこんなことも言えそうな気がします、
という意見を持ち、様々な示唆をして頂ければ、と。
https://sites.google.com/view/spe-gym/ 走りや身体作りの指導など、各種のご依頼はジムのサイトよりどうぞ。小田急線、千歳船橋駅から徒歩3分のパーソナルジムです。
2016年10月29日土曜日
2016年10月18日火曜日
感想 「超一流になるのは才能か努力か?」
超一流になるのは才能か努力か? [ K.アンダース・エリクソン ]
原題は
Peak: Secrets from the New Science of Expertise
という本です。
フロリダ州立大学心理学部教授のアンダース・エリクソンによって書かれ、
2015年の10月に英語版が出版され、2016年7月に日本語訳版が出版されています。
さて、この本で書かれている内容としましては、
序章に「絶対音感は生まれつきのものなのか?」
第八章に「生まれながらの天才はいるのか?」
という興味深いタイトルがあり、さらには、
第四章に「能力の差はどうやって生まれるのか?」
第五章に「なぜ経験は役に立たないのか?」
と興味深い項目があります。
当然ながら筆者の思っていること、考えていることが中心に述べられていますので、
それは違うんじゃないの?と思う点もありますが、
なるほどなぁ、という点も多くあります。
例えば記憶力などに関する話としては、
”適切な訓練によって向上する場合がほとんど”
ということが言われています。
これには実験の結果なども示されていますので納得いくものは多く、
練習に対する意識やフィードバックの重要性なども書かれています。
このフィードバックで取り組みの差が見られるが、
それによって伸びる人と伸びない人の差が生まれている、
などというのが考えられると。
帯には「練習を楽しいと感じていてはトッププレーヤーになれない」
というものが書かれていますが、
多くのトッププレーヤーは楽しくない練習をこなしている。
楽しい段階を飛び出して厳しいもの、難しいものに取り組んで、
それを解決しようと繰り返す人が伸びていく、
といった話も。
同じことをやっているように見えても差が生まれるのは、
やはり小さな点の気づきだと思われますが、
こうした差に関しては指導者・教師・コーチの関与などで減らすこともできるので、
指導者選びは大事である、とのこと。
指導者にも得手不得手があるし、指導者にも限界があるので、
習うことをすべて習得したら新たな指導者に習うことでさらに次の限界に挑戦できる。
この限界に挑んで常に次に進んでいくことが成長には大事である、
と筆者は述べています。
また、一万時間の法則というのは響きが良いから一万時間を目指そうとするが、
本質としてはその中身が重要であり、
ただ一万時間をこなせばよいわけではない。
とても当たり前の話ではありますが、
この辺りも意識しないと簡単に忘れてしまう。
その点を補うためには環境が大事である。
一緒に練習する相手などがいることで乗り越えられる。
チームスポーツには同じ練習をさせられるために伸びきれないという問題があるが、
その問題を認識して自分で補うようなことができる選手が成長する。
新人の医者と経験を積んだ医者ではほとんど能力に差がない。
それは新人の方が最新の知識を学んだりしていることや、
新たな知識を積極的に吸収しようとする結果、
急激に成長をして限界に挑戦していない経験を積んだ医者に並んでしまう、
などなど。
天才というのは努力をしているから天才なのだ、という話になりますが、
そうなるとスポーツ関連だと何もしていないのに走るのが速いやつは何なんだ?
と思いますよね。
彼らは身体的な特徴として生まれ持った高い能力がある可能性もありますが、
本人が自覚していない所で、遊びの中などで身体を鍛えてきた可能性などもある、
ということをこの筆者は言いたいのだろうな、
と思います。
なかなか面白い内容でしたので、
お時間ありましたらぜひどうぞ。
原題は
Peak: Secrets from the New Science of Expertise
という本です。
フロリダ州立大学心理学部教授のアンダース・エリクソンによって書かれ、
2015年の10月に英語版が出版され、2016年7月に日本語訳版が出版されています。
さて、この本で書かれている内容としましては、
序章に「絶対音感は生まれつきのものなのか?」
第八章に「生まれながらの天才はいるのか?」
という興味深いタイトルがあり、さらには、
第四章に「能力の差はどうやって生まれるのか?」
第五章に「なぜ経験は役に立たないのか?」
と興味深い項目があります。
当然ながら筆者の思っていること、考えていることが中心に述べられていますので、
それは違うんじゃないの?と思う点もありますが、
なるほどなぁ、という点も多くあります。
例えば記憶力などに関する話としては、
”適切な訓練によって向上する場合がほとんど”
ということが言われています。
これには実験の結果なども示されていますので納得いくものは多く、
練習に対する意識やフィードバックの重要性なども書かれています。
このフィードバックで取り組みの差が見られるが、
それによって伸びる人と伸びない人の差が生まれている、
などというのが考えられると。
帯には「練習を楽しいと感じていてはトッププレーヤーになれない」
というものが書かれていますが、
多くのトッププレーヤーは楽しくない練習をこなしている。
楽しい段階を飛び出して厳しいもの、難しいものに取り組んで、
それを解決しようと繰り返す人が伸びていく、
といった話も。
同じことをやっているように見えても差が生まれるのは、
やはり小さな点の気づきだと思われますが、
こうした差に関しては指導者・教師・コーチの関与などで減らすこともできるので、
指導者選びは大事である、とのこと。
指導者にも得手不得手があるし、指導者にも限界があるので、
習うことをすべて習得したら新たな指導者に習うことでさらに次の限界に挑戦できる。
この限界に挑んで常に次に進んでいくことが成長には大事である、
と筆者は述べています。
また、一万時間の法則というのは響きが良いから一万時間を目指そうとするが、
本質としてはその中身が重要であり、
ただ一万時間をこなせばよいわけではない。
とても当たり前の話ではありますが、
この辺りも意識しないと簡単に忘れてしまう。
その点を補うためには環境が大事である。
一緒に練習する相手などがいることで乗り越えられる。
チームスポーツには同じ練習をさせられるために伸びきれないという問題があるが、
その問題を認識して自分で補うようなことができる選手が成長する。
新人の医者と経験を積んだ医者ではほとんど能力に差がない。
それは新人の方が最新の知識を学んだりしていることや、
新たな知識を積極的に吸収しようとする結果、
急激に成長をして限界に挑戦していない経験を積んだ医者に並んでしまう、
などなど。
天才というのは努力をしているから天才なのだ、という話になりますが、
そうなるとスポーツ関連だと何もしていないのに走るのが速いやつは何なんだ?
と思いますよね。
彼らは身体的な特徴として生まれ持った高い能力がある可能性もありますが、
本人が自覚していない所で、遊びの中などで身体を鍛えてきた可能性などもある、
ということをこの筆者は言いたいのだろうな、
と思います。
なかなか面白い内容でしたので、
お時間ありましたらぜひどうぞ。
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2016年8月25日木曜日
8月メモ
Protein supplementation does not alter intramuscular anabolic signaling or endocrine response after resistance exercise in trained men.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26428621
Effect of heavy strength training on thigh muscle cross-sectional area, performance determinants, andperformance in well-trained cyclists.
MAGNITUDE AND TECHNICAL CHARACTERISTICS OF EXTERNAL FORCE PRODUCTION IN THE STARTING BLOCKS
Effect of single injection of platelet-rich plasma in comparison with corticosteroid on knee osteoarthritis: a double-blind randomized clinical trial.
Neuromuscular changes associated with superior fatigue resistance in African runners
Development of maximal speed sprinting performance with changes in vertical, leg and joint stiffness
The effect of strength training volume on satellite cells, myogenic regulatory factors, and growth factors.
Resistance training-induced changes in integrated myofibrillar protein synthesis are related to hypertrophyonly after attenuation of muscle damage.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26428621
Effect of heavy strength training on thigh muscle cross-sectional area, performance determinants, andperformance in well-trained cyclists.
Neuromuscular changes associated with superior fatigue resistance in African runners
http://www.minervamedica.it/en/journals/sports-med-physical-fitness/article.php?cod=R40Y2016N07A0857
Development of maximal speed sprinting performance with changes in vertical, leg and joint stiffness
The effect of strength training volume on satellite cells, myogenic regulatory factors, and growth factors.
2016年7月25日月曜日
第24回日本運動生理学会大会の感想
個人的な感想ですので参考までにお願い致します。
2016年7月23(土)と24(日)に熊本大学黒髪キャンパスにおきまして、
第24回日本運動生理学会大会が開催されました。
私は当日の朝一の飛行機にて熊本入りしましたので、
一番最初の大会長である井福裕俊先生(熊本大学教育学部生涯スポーツ福祉学科)の講演を見ておりません。
また、シンポジウムなども同時並行で別会場において実施されましたので、
興味あるものしか見られておりません。
見に行った他の人に話を聞いて把握はしておりますが、
ほぼ抄録に記載されている通りということですので、
そちらを参考にして頂ければ。
持っていないという人の方が多数と思いますが、
そこは何とも出来ません。
ご理解下さい。
さて、
初日の午前にはシンポジウム1、座長は緒方知徳先生(広島修道大学人間環境学部)で
「骨格筋の質的・量的変化を制御する分子メカニズムの探求」
が行われました。
河野史倫先生(松本大学健康科学研究科)による
「運動が引き起こすエピジェネティクスと骨格筋の適応性変化」
という題での講演です。
これも内容としましてはほぼ抄録に記載されている通りかと思います。
言葉の説明などを丁寧に進めて頂きましたが、
どれだけトレーニングしても速筋での糖利用は遅筋に勝てないといった話から、
速筋や遅筋におけるヒストン修飾の影響についてという話へ。
”1か月のover load なトレーニングで遅筋においてサイズが有意に増加”
”遅筋においては転写誘導は上昇しているのにヒストンのアセチル化は減少した”
などが示されました。
そしてこれらは胎児期の細胞が関わるのでは?
ということで再生筋での話に移っていきました。
胎児期の筋核がどうやって消失するのかという話や、
再生筋は肥大しにくいがその理由は何かといった話、
サテライト細胞が増殖していく過程で機能が無くなっていくのでは、
といったことが示されました。
2人目の小野悠介先生(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)は
「骨格筋の修復・再生の分子メカニズム」
というテーマでのお話しでした。
3人目は小笠原理紀先生(名古屋工業大学大学院工学研究科)は
「骨格筋量調節におけるリボソーム生合成の役割」
というテーマ。
このペースで書いていくと時間が掛かりますので、
皆様が知りたいであろう話を数点挙げていきますと、
・小野先生の筋再生に関する話として
「互いに抑制して制御をしているものがある。常に量を多くしていることが良いとは限らない」
・小笠原先生のリボソーム生合成の話として
「rRNAの増加が多い人は筋の肥大も大きい」
・昼の大塚製薬によるランチョンセミナー
「ポカリスエットは薄めずにそのまま飲んでください(個人的にお伺いした質問への答え)」
・午後の教育講演 丸山敦夫先生(新潟医療福祉大学健康科学部)の話として
「筋疲労による脱抑制が運動学習の成績を高める可能性がある。疲労している中での技術トレーニングは有用である」
シンポジウム3、座長は林直亨先生(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院)による進行。
まずは林先生から
”血液が不足すると人間には何が起こるか?何が問題か?”
という点について簡単な説明。
「脳や筋、眼では血流が不足すると意識を失ったり運動継続困難になったり、視野を失う。
これは狩猟の時代であったら狩られる」
・石井圭先生(産業技術総合研究所)
「自発的な運動をする時には運動開始前にセントラルコマンドの指令により血流は増加する」
「脚の運動を行うと上肢骨格筋のOxy・Hbが増加、上肢を行っても下肢では増えない」
・芝崎学先生(奈良女子大学研究員生活環境科学系)
「暑熱下で静脈還流量は低下するが一回拍出量は維持される」
「暑熱下では副交感神経支配が弱まることで心拍が増加する(交感神経系に関係なく)」
・池村司先生(早稲田大学スポーツ科学学術院)
「疲労困憊時では血圧が増加しても脈絡網血管の血流増加は抑制される」
・一之瀬真志先生(明治大学経営学部人間統合生理学研究室)
「運動時に生じる代謝物は血圧の低下や血管拡張の抑制に関わっている」
教育講演2は荻田太先生(鹿屋体育大学)
「運動強度という言葉がよく使われるが、どこからが高強度なのか明確ではない」
「Tabata Protocolには弱点もあるので新たなスプリントトレーニングを提案したい」
といった内容でした。
口頭発表やポスター発表で数点、私が興味深かったものを簡単にまとめますと、
・筋内脂肪が多い人に持久力が優れている傾向が見られる
・高頻度のレジスタンストレーニングはタンパク合成シグナルを活性化するが、骨格筋合成は活性化しない可能性がある(マウス実験)
・長期の高脂肪食(60%、マウス実験)摂取は速筋の筋機能低下を引き起こす(筋内脂肪は増加)
といったものです。
長時間の持久的な運動を行う人が著しく体脂肪を低くすることは、エネルギー源である(可能性がある)筋内脂肪を減らすことになるので、好ましくないことかと推測されます。また、高頻度のレジスタンストレーニングで筋肥大が引き起こしにくくなる可能性も提示されましたが、この辺りもなんとなく感覚的に理解できるものがあります。毎日やるのは筋力の向上を目的とするならば良いかもしれませんが、筋量の増加を目的とするならば止めておくべきでしょう。
以上、簡単にではありますが、まとめさせて頂きました。
2016年7月23(土)と24(日)に熊本大学黒髪キャンパスにおきまして、
第24回日本運動生理学会大会が開催されました。
私は当日の朝一の飛行機にて熊本入りしましたので、
一番最初の大会長である井福裕俊先生(熊本大学教育学部生涯スポーツ福祉学科)の講演を見ておりません。
また、シンポジウムなども同時並行で別会場において実施されましたので、
興味あるものしか見られておりません。
見に行った他の人に話を聞いて把握はしておりますが、
ほぼ抄録に記載されている通りということですので、
そちらを参考にして頂ければ。
持っていないという人の方が多数と思いますが、
そこは何とも出来ません。
ご理解下さい。
さて、
初日の午前にはシンポジウム1、座長は緒方知徳先生(広島修道大学人間環境学部)で
「骨格筋の質的・量的変化を制御する分子メカニズムの探求」
が行われました。
河野史倫先生(松本大学健康科学研究科)による
「運動が引き起こすエピジェネティクスと骨格筋の適応性変化」
という題での講演です。
これも内容としましてはほぼ抄録に記載されている通りかと思います。
言葉の説明などを丁寧に進めて頂きましたが、
どれだけトレーニングしても速筋での糖利用は遅筋に勝てないといった話から、
速筋や遅筋におけるヒストン修飾の影響についてという話へ。
”1か月のover load なトレーニングで遅筋においてサイズが有意に増加”
”遅筋においては転写誘導は上昇しているのにヒストンのアセチル化は減少した”
などが示されました。
そしてこれらは胎児期の細胞が関わるのでは?
ということで再生筋での話に移っていきました。
胎児期の筋核がどうやって消失するのかという話や、
再生筋は肥大しにくいがその理由は何かといった話、
サテライト細胞が増殖していく過程で機能が無くなっていくのでは、
といったことが示されました。
2人目の小野悠介先生(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)は
「骨格筋の修復・再生の分子メカニズム」
というテーマでのお話しでした。
3人目は小笠原理紀先生(名古屋工業大学大学院工学研究科)は
「骨格筋量調節におけるリボソーム生合成の役割」
というテーマ。
このペースで書いていくと時間が掛かりますので、
皆様が知りたいであろう話を数点挙げていきますと、
・小野先生の筋再生に関する話として
「互いに抑制して制御をしているものがある。常に量を多くしていることが良いとは限らない」
・小笠原先生のリボソーム生合成の話として
「rRNAの増加が多い人は筋の肥大も大きい」
・昼の大塚製薬によるランチョンセミナー
「ポカリスエットは薄めずにそのまま飲んでください(個人的にお伺いした質問への答え)」
・午後の教育講演 丸山敦夫先生(新潟医療福祉大学健康科学部)の話として
「筋疲労による脱抑制が運動学習の成績を高める可能性がある。疲労している中での技術トレーニングは有用である」
シンポジウム3、座長は林直亨先生(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院)による進行。
まずは林先生から
”血液が不足すると人間には何が起こるか?何が問題か?”
という点について簡単な説明。
「脳や筋、眼では血流が不足すると意識を失ったり運動継続困難になったり、視野を失う。
これは狩猟の時代であったら狩られる」
・石井圭先生(産業技術総合研究所)
「自発的な運動をする時には運動開始前にセントラルコマンドの指令により血流は増加する」
「脚の運動を行うと上肢骨格筋のOxy・Hbが増加、上肢を行っても下肢では増えない」
・芝崎学先生(奈良女子大学研究員生活環境科学系)
「暑熱下で静脈還流量は低下するが一回拍出量は維持される」
「暑熱下では副交感神経支配が弱まることで心拍が増加する(交感神経系に関係なく)」
・池村司先生(早稲田大学スポーツ科学学術院)
「疲労困憊時では血圧が増加しても脈絡網血管の血流増加は抑制される」
・一之瀬真志先生(明治大学経営学部人間統合生理学研究室)
「運動時に生じる代謝物は血圧の低下や血管拡張の抑制に関わっている」
教育講演2は荻田太先生(鹿屋体育大学)
「運動強度という言葉がよく使われるが、どこからが高強度なのか明確ではない」
「Tabata Protocolには弱点もあるので新たなスプリントトレーニングを提案したい」
といった内容でした。
口頭発表やポスター発表で数点、私が興味深かったものを簡単にまとめますと、
・筋内脂肪が多い人に持久力が優れている傾向が見られる
・高頻度のレジスタンストレーニングはタンパク合成シグナルを活性化するが、骨格筋合成は活性化しない可能性がある(マウス実験)
・長期の高脂肪食(60%、マウス実験)摂取は速筋の筋機能低下を引き起こす(筋内脂肪は増加)
といったものです。
長時間の持久的な運動を行う人が著しく体脂肪を低くすることは、エネルギー源である(可能性がある)筋内脂肪を減らすことになるので、好ましくないことかと推測されます。また、高頻度のレジスタンストレーニングで筋肥大が引き起こしにくくなる可能性も提示されましたが、この辺りもなんとなく感覚的に理解できるものがあります。毎日やるのは筋力の向上を目的とするならば良いかもしれませんが、筋量の増加を目的とするならば止めておくべきでしょう。
以上、簡単にではありますが、まとめさせて頂きました。
2016年6月28日火曜日
メモ・クレアチン
Creatine supplementation in endurance sports
Med Sci Sports Exerc. 1998 Jul;30(7):1123-9.
Resistance Training and Co-supplementation with Creatine and Protein in Older Subjects with Frailty
J Frailty Aging. 2016;5(2):126-34. doi: 10.14283/jfa.2016.85.
Asian J Sports Med. 2016 Mar 1;7(1):e26843. doi: 10.5812/asjsm.26843. eCollection 2016.
J Physiol. 2004 Mar 1; 555(Pt 2): 409–421.
Published online 2004 Jan 9. doi: 10.1113/jphysiol.2003.056291
Creatine Supplementation Induces Alteration in Cross-Sectional Area in Skeletal Muscle Fibers of Wistar
Creatine Supplementation Induces Alteration in Cross-Sectional Area in Skeletal Muscle Fibers of Wistar
Creatine Supplementation Induces Alteration in Cross-Sectional Area in Skeletal Muscle Fibers of Wistar
Creatine Supplementation Induces Alteration in Cross-Sectional Area in Skeletal Muscle Fibers of Wistar
Creatine Supplementation Induces Alteration in Cross-Sectional Area in Skeletal Muscle Fibers of Wistar
Creatine Supplementation Induces Alteration in Cross-Sectional Area in Skeletal Muscle Fibers of Wistar
Creatine Supplementation Induces Alteration in Cross-Sectional Area in Skeletal Muscle Fibers of Wistar Rats Under Swimming Training
J Sports Sci Med. 2002 Sep; 1(3): 87–95.Published online 2002 Sep 1.
Amino Acids. 2016 May 19
Amino Acids. 2016 Apr 23
Amino Acids. 2016 Apr 16
Creatine supplementation does not alter neuromuscular recovery after eccentric exercise
Muscle Nerve. 2016 Mar 1. doi: 10.1002/mus.25091
The role of dietary creatine
Amino Acids. 2016 Feb 13Short-term creatine supplementation has no impact on upper-body anaerobic power in trained wrestlers
J Int Soc Sports Nutr. 2015 Dec 9;12:45. doi: 10.1186/s12970-015-0107-6. eCollection 2015.
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