話を見ていて聞いていて思うのが、
全身に取り込んだ酸素の量とかいう当たり前の話は分かっているけれども、
何で取り込めるのかという点が分かっていない傾向の人が多いことです。
肺の容量やら肺活量やらといった話をされる人も多いので、
何ともアレな話を覚えてしまわないようにしてもらうために基本的な点を。
取りあえず先に結論。
どんな負荷でもトレーニングすれば酸素摂取量は向上します。
酸素摂取量が向上しないトレーニングなどはありません。
ただ、最も向上させるようなトレーニングをしているかどうか、この違いがあるだけ。
速く走るためには細胞を増やしていく必要がありますが、
その結果として酸素摂取量が向上していきます。
以下、説明を読んで理解したい人は。
体内に酸素を取り込むというのは、
肺胞における交換の能力、
次に酸素を送る能力があり、
細胞においての取り込む能力(交換する能力)、
上記の点を理解して頂ければよろしいかと思います。
つまり、心肺機能というのは中心部にある心臓や肺も大事ではあるが、
末端の細胞の能力というのも関わっているということです。
酸素を送り込む細胞が少なければ当然ながら高まりません。
末端の細胞においては動静脈酸素較差というのが指標とされますが、
これも酸素摂取能力にはとても大事なものです。
こうした点が理解できると最大酸素摂取量のには何が必要か?
そう聞かれた際に筋肉というのが出てくるようになるかと思います。
もちろん心拍出量などの心臓の能力も大事ではありますが、
これはトレーニング初期での適応によって早い段階である程度の能力に高まります。
ですので、
次の段階に進むということを考えると筋肉における酸素の交換、
という点に焦点を当てる事になります。
ここで大事なのは運搬するためのヘモグロビンと血液、
エネルギーを生産するミトコンドリアです。
貧血で走れないというのはヘモグロビンが鉄を結合する量が減ってしまい、
細胞に酸素を送れないので運動が継続できないということです。
ヘモグロビンはタンパク質で構成されており、
その中には鉄原子で構成されるヘムがあって、これが酸素を結合します。
貧血の人には鉄が不足している場合もあれば、
ヘモグロビンそのものが少ない場合もあるというのは、このためです。
なお、肺での酸素と二酸化炭素の交換は酸素分圧の話ですので、
鍛えてどうこうといった話にはならないと思われます。
肺を鍛えるという表現はありますが、
酸素を多く取り込むためには肺の話だけではなく、
全身の細胞を増やすというのが大事なわけです。
酸素の取り込みだけでは持久力の話を全て出来るわけではありませんので、
その点もお間違えなく。
取り込む能力が高いのは有利ですが、
その数値が高いからといって持久力が高いとも言えないのです。
理由は糖質の利用といった観点からお考えください。
ミトコンドリアや毛細血管の増加に関する話はまた別の機会に。