演題
・はじめに
八田 秀雄先生(東京大学 大学院総合文化研究科)
・骨格筋におけるグリコーゲンと乳酸のエネルギー供給以外の役割
渡邊 大輝 先生(大阪体育大学 大学院スポーツ科学研究科)
・高強度インターバルトレーニングの最新知見 ~トレーニング効果を生みだす最小量について~
山岸 卓樹 先生(独立行政法人日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンススポーツセンター)
・簡単・迅速に血中の乳酸濃度測定が可能 ~ラクテート・プロ2のご案内~
アークレイマーケティング㈱
・認知機能にアドバンテージをもたらすトレーニング
塚本 敏人 先生(早稲田大学 スポーツ科学学術院)
・運動後のmRNA発現変動から運動適応を考える
星野 太佑先生(電気通信大学 大学院情報理工学研究科)
・閉会にあたり
コービオンジャパン株式会社
第22回乳酸研究会開催のお知らせ | トップアスリートを支えるスポーツトレーナーのための科学的トレーニング塾
そんなわけで乳酸研究会でした。
渡邊 大輝 先生
・ATP存在下であっても筋グリコーゲンが無いと筋収縮力は低下した
・筋グリコーゲンがないと筋小胞体のカルシウムイオンの放出が低下
・グリコーゲンが安静時の30%以下になると収縮力が低下
Effects of reduced muscle glycogen on excitation–contraction coupling in rat fast-twitch muscle: a glycogen removal study | Journal of Muscle Research and Cell Motility | Springer Nature Link
その昔の乳酸仮説では乳酸が作られるとpHが低下し筋収縮力の低下とされた。
これは15度などの低温環境。人体の体温では否定された。
The effect of intracellular pH on contractile function of intact, single fibres of mouse muscle declines with increasing temperature - PubMed
乳酸が多い状態では筋の出力が向上する
Protective effects of lactic acid on force production in rat skeletal muscle - PubMed
発表者の実験
→乳酸塩は筋機能にどのような影響を及ぼすか?
筋内の乳酸塩含有量が増加すると筋収縮力が増加
KAKEN — 研究課題をさがす | 骨格筋の適応を促す細胞内カルシウム配分機構の包括的理解 (KAKENHI-PROJECT-23KK0297)
山岸 卓樹先生
・全力スプリント時には15秒くらいで酸素取り込みが一定になる
・スプリント本数が増えても生理学的な適応は高まらない
塚本 敏人先生
・脳血流を増やすのは頭痛などの原因となる(高山病に見られる症状はこれ)
・運動や外的な投与による乳酸の上昇は脳での利用を高める
・脳は乳酸やケトン体の利用をしやすい
・乳酸が作られる量が減る、脳での利用が減ると認知機能が減っていく
・細切れ運動にした場合、休息後の乳酸値が上がりにくい
→糖の摂取が大事では?グルコースとフルクトースの混合飲料などの摂取
星野 太佑先生
・エキセントリックな刺激で発現変動した遺伝子はある、コンセントリックではない
・活性酸素が生じないようにすると、エキセントリックな運動でも遺伝子発現は上昇しなかった
→エキセントリックな刺激による反応には活性酸素ROSが影響を与えていると言えそう
個人的に気になったポイントを挙げておきましたが、その後の懇親会でもいろいろと効かせていただきまして、やはりトレーニングの目的を見失ってはダメだ、ということになります。このプロトコルで実験しているけれども、じゃあそれで意味があるのか、競技パフォーマンスの向上に効果があるのか?といった点を見失ってはダメです。あとは一面的なものを見てもダメである、という点ですね。乳酸を指標とするのも大事だし、心拍などを併用する、RPEなどを併用する、競技パフォーマンスを指標とするのも大事です。目的となることが何か。あくまでパフォーマンスを高くするのが目的であれば、そこが上がっていれば正解です。でも、それが上がっていなければただ苦しいだけのことを課していると分かります。この、パフォーマンスが上がらない苦しいことを見分けるのに科学的な指標は役に立ちますよ、というのが言えるよなぁ、と思った本日でした。