内容
・ 乳酸測定の歴史と今 ~測定対象としての乳酸について~
上戸 潤(アークレイマーケティング株式会社)
・ 医療分野における乳酸に対する理解と利用
高橋勇貴(練馬光が丘病院)
・ 生体内乳酸シャトルのリニューアル~脳での役割~
橋本健志(立命館大学スポーツ健康科学部)
・ 糖、脂肪酸、及びアミノ酸に含まれる炭素の体内動態について
増田毅(環境科学技術研究所環境影響研究部)
・ 運動によるミトコンドリアの適応を高める栄養素
~タンパク質・ペプチド・アミノ酸の摂取効果に注目して~
松永 裕(森永乳業 健康栄養科学研究所)http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/hatta/ より
八田先生のオープニングトークは予想通り冬季オリンピックに触れ、
「スピードスケートの後半に乳酸が溜まったと言うのを”こんちくしょう”と思いながら見ていました」
というコメントが。
全部を振り返ると時間が足りないので簡単にいくつか。
高橋先生の医療分野でのアンケートから、
医師は乳酸を疲労物質と思っている人が多いというのが分かりました。
これは全国の病院でアンケートを取っても同様になるかと思います。
一方で看護師の方々ではやや少なめ、
リハビリを担当される方々も医師と同じで高めという数値の傾向から、
多分問題は授業を担当する人、教科書の内容であろうな、
と思いました。
若手の人たちの方が経験は少ないが最新の知識はある、
という指摘もされますし、ある程度の経験がある人たちの情報のアップデート不足でしょう。
10年ほど前に保健体育の教科書内容を変更して頂いたわけですが、
そうした作業を医療系の人たちの使う教科書にもハッキリと書いていく、
医療系の人たちにアップデートしてもらえるような情報の普及が大事、
ということですね。これは最後の総合討論でも少し触れられていました。
橋本先生の脳での話に関しまして、
最近は筋肉から脳へと行く人が多く、
まぁやはり脳ですよねというのを私は思っていますので、
予測されていたことが数値化されてきている、論文化されている、
というのを感じました。
筑波大の征矢先生が数年前の乳酸研究会でお話をされていますし、
興味を持って追っている人にとってはそこまで新しい話ではなかったのでは、
と思います。
松永先生の話は総合討論などでも質問が多かったと思いますが、
個人的にもカゼインペプチドの摂取+運動によってヒラメ筋(遅筋)において、
AMPKの活性が高まるというのは興味深かったです。
速筋では変化が見られない、単純投与でも変化は無いということから、
何かしらの因子が影響していると推測されますが、
その点に関しては今後論文として発表したいとのこと。
遅筋よりも速筋の方が肥大しやすいなどというのは知られていると思いますが、
変化しやすい、影響を受けやすい方が特に変わらず、
変化しにくい遅筋の方に変化が見られたというのは面白いですね。
今後の研究報告に期待です。