2019年11月11日月曜日

よく頂く難しい質問のお答え

オススメのサプリメントは何ですか?というのをよく聞かれますが、
ここ数年の答えとしているのがこちら。

ご注文は画像のクリックからいけますのでまとめ買いでどうぞ。


こちらの商品がサプリメントとして優れている点としましては、
筋肉を増やしたいという人にも効果的、
持久力を高めたいという人にも効果的という、
非常に万能な一品となっている点ですね。
摂取する量によりましては体重の増加などもありますので、
摂取カロリーを考えながらご使用いただければと思います。

2019年9月7日土曜日

個人的に思う論文の読み方の注意点

久々の更新となりますが、多くの人が論文を読んで情報を発信するようになった中で少々思う所がありますので簡単に。

昔の論文を使うのは良いが、そこの背景をしっかりと把握しましょう

というのが最近思う点です。過去にも触れた記憶がありますが、例えばウエイトトレーニングをすることで筋力が高まる、筋肉が増えるということが研究される中で、どのようなsetの組み方が良いのかも研究されたりしました。しかし、そうした研究において忘れられていたのが栄養補給の観点です。過去の論文においては、筋肥大をするためには成長ホルモンだ、テストステロンだ、といった分泌系の話に焦点があてられるものも多く、そうした論文においては絶食を基本としています。これは運動をする時に同じ条件にするためでありますが、じゃあ絶食にしたら本当に同じ条件なのか、となると1週間くらい同じ食事で調整しないと差はあります。睡眠やら日常生活のストレスやらでもホルモンの分泌なんかは変化を受けてしまうわけで、とにかく全く同じ条件にするというのは不可能と言ってよいと思いますが、なるべく同一にしようとするのが基本でした。この絶食による分泌をベースとして効率の良い練習を考えるということが実施されたりするわけですが、研究と違う点は食事をしているということになります。食事によって分泌は大きく変化するわけで、トレーニングの質も食事によって大きく左右されます。中長期的な実験となれば、その差はかなり広がってきます。この辺りが2週間程度の実験でもバラつきが出てくる原因であり、1か月や半年といった長期的なトレーニングににおいては、一度のトレーニングにおけるホルモン分泌を最大化するよりは、数週間、数か月後の目的とする日に最大のパフォーマンスを発揮することが出来るようになるのが大事となります。

週に2~3回のトレーニング効果を最大化
週に5~6回のトレーニング効果を最大化しさらに長期的、1年単位で強くなりたい

こう考えた時に、前者は論文においてよく見るもの、後者が日常的にトレーニングをする人が求めるものです。本当に前者が効果的なのか?という疑問はあると思います。実際、既に述べたように初日は絶食で血液を採取するという実験なんかも多く、そうした論文を活用する時には多角的に検討する必要があると思われますが、結論を見てそこだけを抜き出していることの方が多いかな、と思います。基本となるホルモンの話などが把握できたら、次は実際に食事をしている生活の中でトレーニング効果はどうなるのか、というものです。毎日ホルモン分泌を最大化し翌日は練習をしないということよりも、毎日8割程度で積み重ね食事と睡眠で回復しきれるレベルの負荷にした方が効果的であるのでは、といったことが調べられるようになってきました。この点は筋肉における合成が最大化するようにしたところで、実際に長期的に見たらそんなに大きくならなかったという話もあるわけで、合成よりも分解の抑制に意識を向けた方が良いのでは、ということも言われるようになりました。昔と今では基礎研究をしているのとそれをベースに中長期的にしたら本当にそれが起こるのか、というのを見ている違いがあるものも出ています。そうした点を考慮しながら様々な角度から見ていかないと、出されているデータを曲解してしまうことになるだろうな、と思った次第です。

2018年4月3日火曜日

高齢者のタンパク質摂取を考える

タンパク質摂取の話でいろいろ思うところがありますして、あれこれと見直してみました。

Protein Consumption and the Elderly: What Is the Optimal Level of Intake?
上記論文で引用しているものを中心に見ていくと、

「高タンパク質の摂取は虚血性心疾患のリスクを高めない」
Dietary protein and risk of ischemic heart disease in women
ただ、タンパク質を高くする食事は飽和脂肪とコレステロールの摂取を高めるので注意が必要である

「高タンパク質の食事が高血圧を引き起こすわけではない」
Dietary protein and blood pressure
Sources of Dietary Protein in Relation to Blood Pressure in a General Dutch Population

「体重(kg)×0.8gのタンパク質摂取は推奨される最低限の量であり、総カロリーのうち20%程度をタンパク質で摂取するのは有用である。適切なタンパク質の摂取量を決定する研究は不足している(というか無い)」
Optimizing Protein Intake in Adults: Interpretation and Application of the Recommended Dietary Allowance Compared with the Acceptable Macronutrient Distribution Range

「タンパク質の過剰摂取は腎臓に悪影響である」
The aging kidney: structure, function, mechanisms, and therapeutic implications

「タンパク質の摂取量と骨ミネラル濃度は相関関係がある」
Dietary protein and bone health: a systematic review and meta-analysis

「1日に体重(kg)×1.5gのタンパク質の摂取か総カロリーの15~20%をタンパク質で摂取するのは高齢者にとって妥当である」
Optimal protein intake in the elderly

「6.7gのEAAの中で26%がleucineでは高齢者の筋合成は刺激されず41%だと刺激された(若者では26%でも十分そうである)」
A high proportion of leucine is required for optimal stimulation of the rate of muscle protein synthesis by essential amino acids in the elderly

そもそもに体重(kg)×0.8gが推奨される根拠も薄く、

これは最低ラインと考えるべきであろう代物だ、と言えそうである。

つづく

2018年2月17日土曜日

第14回乳酸研究会雑感

内容
・ 乳酸測定の歴史と今 ~測定対象としての乳酸について~
  上戸 潤(アークレイマーケティング株式会社)
医療分野における乳酸に対する理解と利用 
  高橋勇貴(練馬光が丘病院)
生体内乳酸シャトルのリニューアル~脳での役割~
  橋本健志(立命館大学スポーツ健康科学部)
糖、脂肪酸、及びアミノ酸に含まれる炭素の体内動態について
  増田毅(環境科学技術研究所環境影響研究部)
・ 運動によるミトコンドリアの適応を高める栄養素
  ~タンパク質・ペプチド・アミノ酸の摂取効果に注目して~
   松永 裕(森永乳業 健康栄養科学研究所)

 http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/hatta/ より

八田先生のオープニングトークは予想通り冬季オリンピックに触れ、

「スピードスケートの後半に乳酸が溜まったと言うのを”こんちくしょう”と思いながら見ていました」 

というコメントが。

全部を振り返ると時間が足りないので簡単にいくつか。

高橋先生の医療分野でのアンケートから、

医師は乳酸を疲労物質と思っている人が多いというのが分かりました。

これは全国の病院でアンケートを取っても同様になるかと思います。

一方で看護師の方々ではやや少なめ、

リハビリを担当される方々も医師と同じで高めという数値の傾向から、

多分問題は授業を担当する人、教科書の内容であろうな、

と思いました。

若手の人たちの方が経験は少ないが最新の知識はある、

という指摘もされますし、ある程度の経験がある人たちの情報のアップデート不足でしょう。

10年ほど前に保健体育の教科書内容を変更して頂いたわけですが、

そうした作業を医療系の人たちの使う教科書にもハッキリと書いていく、

医療系の人たちにアップデートしてもらえるような情報の普及が大事、

ということですね。これは最後の総合討論でも少し触れられていました。 

橋本先生の脳での話に関しまして、

最近は筋肉から脳へと行く人が多く、

まぁやはり脳ですよねというのを私は思っていますので、

予測されていたことが数値化されてきている、論文化されている、

というのを感じました。

筑波大の征矢先生が数年前の乳酸研究会でお話をされていますし、

興味を持って追っている人にとってはそこまで新しい話ではなかったのでは、

と思います。

松永先生の話は総合討論などでも質問が多かったと思いますが、

個人的にもカゼインペプチドの摂取+運動によってヒラメ筋(遅筋)において、

AMPKの活性が高まるというのは興味深かったです。

速筋では変化が見られない、単純投与でも変化は無いということから、

何かしらの因子が影響していると推測されますが、

その点に関しては今後論文として発表したいとのこと。

遅筋よりも速筋の方が肥大しやすいなどというのは知られていると思いますが、

変化しやすい、影響を受けやすい方が特に変わらず、

変化しにくい遅筋の方に変化が見られたというのは面白いですね。

今後の研究報告に期待です。