2015年6月27日土曜日

コンプレッションウェアは効果があるのでしょうか

Lower-leg compression, running mechanics, and economy in trained distance runners.


Int J Sports Physiol Perform. 2015 Jan;10(1):76-83. doi: 10.1123/ijspp.2014-0003. Epub 2014 Jun 6.

Stickford AS1, Chapman RF, Johnston JD, Stager JM.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24911991

どうなんですかね。

酸素摂取やランニングエコノミーその他に違いが出ていないので、

効果は特にないという相変わらずの結果ですね。


2015年6月26日金曜日

高負荷のトレーニングで脂肪の酸化能力は向上するか

The effect of high-intensity training on mitochondrial fat oxidation in skeletal muscle and subcutaneous adipose tissue.


Larsen S, Danielsen JH, Søndergård SD, Søgaard D, Vigelsoe A, Dybboe R, Skaaby S, Dela F, Helge JW.

Scand J Med Sci Sports. 2015 Feb;25(1):e59-69. doi: 10.1111/sms.12252. Epub 2014 May 21.


結論。ミトコンドリアは増えるし酸素摂取量は増えるけど、酸化的リン酸化も向上するけど、

mitochondrial fat oxidation はほとんど変化しない。

”酸化的リン酸化(さんかてきリンさんか、oxidative phosphorylation)とは、電子伝達系に共役して起こる一連のリン酸化(ATPの生合成)反応を指す。細胞内で起こる呼吸に関連した現象で、高エネルギー化合物のATPを産生する回路の一つ。好気性生物における、エネルギーを産生するための代謝の頂点といわれ、糖質脂質アミノ酸などの代謝がこの反応に収束する。”


アフリカの長距離選手に遺伝子の優位性はあるのか

Genetic aspects of athletic performance: the African runners phenomenon

Rodrigo Luiz Vancini, João Bosco Pesquero, Rafael Júlio Fachina,, Marília dos Santos Andrade, João Paulo Borin, Paulo César Montagner,and Claudio Andre Barbosa de Lira
J Sports Med. 2014; 5: 123–127.
Published online 2014 May 20. doi: 10.2147/OAJSM.S61361
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4037248/


結論。特に無い。

遺伝子的な特性で速いというのは、ただの言い訳でしかない現状です。

勿論、何かしら新たに発見される可能性はありますが、

現状の調査では出てきていません。

この遺伝子を持っている人は速いと言われる遺伝子が近年ありますが、

特別に多いわけでも無さそうだ、と。

2015年6月19日金曜日

酸素摂取量と貧血の話、ですかね

最大酸素摂取量の話をこの所よくしているので、少々。

話を見ていて聞いていて思うのが、

全身に取り込んだ酸素の量とかいう当たり前の話は分かっているけれども、

何で取り込めるのかという点が分かっていない傾向の人が多いことです。

肺の容量やら肺活量やらといった話をされる人も多いので、

何ともアレな話を覚えてしまわないようにしてもらうために基本的な点を。



取りあえず先に結論。

どんな負荷でもトレーニングすれば酸素摂取量は向上します。

酸素摂取量が向上しないトレーニングなどはありません。

ただ、最も向上させるようなトレーニングをしているかどうか、この違いがあるだけ。

速く走るためには細胞を増やしていく必要がありますが、

その結果として酸素摂取量が向上していきます。



以下、説明を読んで理解したい人は。



体内に酸素を取り込むというのは、

肺胞における交換の能力、

次に酸素を送る能力があり、

細胞においての取り込む能力(交換する能力)、

上記の点を理解して頂ければよろしいかと思います。

つまり、心肺機能というのは中心部にある心臓や肺も大事ではあるが、

末端の細胞の能力というのも関わっているということです。

酸素を送り込む細胞が少なければ当然ながら高まりません。

末端の細胞においては動静脈酸素較差というのが指標とされますが、

これも酸素摂取能力にはとても大事なものです。

こうした点が理解できると最大酸素摂取量のには何が必要か?

そう聞かれた際に筋肉というのが出てくるようになるかと思います。

もちろん心拍出量などの心臓の能力も大事ではありますが、

これはトレーニング初期での適応によって早い段階である程度の能力に高まります。

ですので、

次の段階に進むということを考えると筋肉における酸素の交換、

という点に焦点を当てる事になります。

ここで大事なのは運搬するためのヘモグロビンと血液、

エネルギーを生産するミトコンドリアです。

貧血で走れないというのはヘモグロビンが鉄を結合する量が減ってしまい、

細胞に酸素を送れないので運動が継続できないということです。

ヘモグロビンはタンパク質で構成されており、

その中には鉄原子で構成されるヘムがあって、これが酸素を結合します。

貧血の人には鉄が不足している場合もあれば、

ヘモグロビンそのものが少ない場合もあるというのは、このためです。

なお、肺での酸素と二酸化炭素の交換は酸素分圧の話ですので、

鍛えてどうこうといった話にはならないと思われます。

肺を鍛えるという表現はありますが、

酸素を多く取り込むためには肺の話だけではなく、

全身の細胞を増やすというのが大事なわけです。



酸素の取り込みだけでは持久力の話を全て出来るわけではありませんので、

その点もお間違えなく。

取り込む能力が高いのは有利ですが、

その数値が高いからといって持久力が高いとも言えないのです。

理由は糖質の利用といった観点からお考えください。



ミトコンドリアや毛細血管の増加に関する話はまた別の機会に。

2015年6月13日土曜日

A Review of Resistance Training-Induced Changes in Skeletal Muscle Protein Synthesis and Their Contribution to Hypertrophy


Felipe Damas, Stuart Phillips, Felipe Cassaro Vechin, Carlos Ugrinowitsch

Volume 45Issue 6pp 801-807

http://link.springer.com/article/10.1007/s40279-015-0320-0

レジスタンストレーニングに関するレビューですが、

referenceが50近くあり、孫引きして基礎的な部分を学ぶには最適かと思います。

結局のところ、

今でも筋肉がどうして肥大するのかといった点は疑問がまだまだあるわけです。

abstの序盤に筋肉を肥大する因子はトレーニングとタンパク質の投与、

そういった事が書かれていますが、

意外とこの点を忘れている人が未だに多いわけです。

トレーニングが終わった直後にタンパク質を摂取すると言われても、

全てのセットが終わった食後ではなく、

クーリングダウンなどの一連の運動が終わってからという認識の人も多いですね。

それが良いのかどうかを深く考えたいのであれば、

referenceを参考に学んでいくのが良いでしょう。